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図鑑等における説明事例 |
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仮種皮の名が登場する植物たち(仮種皮と紛らわしいものも含む) |
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科 |
属 |
種名 |
種子の態様 |
ニシキギ科 |
ツルウメモドキ属 |
ツルウメモドキ |
・刮ハは3裂して朱〜赤色で光沢のある仮種皮に包まれた種子を出す。種子は1個の刮ハに4〜6個あるが、仮種皮同士が結合して一体をなす。【改訂日本の野生植物】
・種子は橙赤色の仮種皮に包まれる。【樹に咲く花】 |
ニシキギ属 |
ニシキギ、ツルマサキ、マサキ、マユミ、ヒロハノツリバナ、ツリバナ、オオツリバナ |
・種子は朱色で光沢のある仮種皮に包まれる。鳥散布。【改訂日本の野生植物】
・種子は橙赤色の仮種皮に包まれる。【樹に咲く花】 |
モクレイシ属 |
モクレイシ |
・モクレイシ属では果実は刮ハ、種子の種皮はしばしばやや肉質を帯び紅色または褐色、仮種皮はない。【改訂日本の野生植物】
・種子には仮種皮はない。ニシキギ科では仮種皮をもつ種が多く、モクレイシの赤い種子も仮種皮のように見えるが、そうではない。【植物の世界】
・種子は橙赤色で、仮種皮はない。【樹に咲く花】 ・刮ハは楕円形、2裂し中から赤色の種子が現れる。【原色日本植物図鑑】
・刮ハは縦に裂開して、赤色の仮種皮に包まれた大形の種子を現す。【APG原色樹木大図鑑】
・果実は楕円形で、熟すと2裂して、中から赤色の仮種皮に包まれた美しい種子が現れる。【世界大百科事典】
・モクレイシという名は、実が割れて赤い仮種皮が見えるのが、ツルレイシ(ニガウリのこと)の赤い種子に似ている木という意味から付けられました。【国立科学博物館附属自然教育園】 |
トベラ科 |
トベラ属 |
トベラ |
・種子は赤橙色、粘液質の仮種皮におおわれる。【改訂日本の野生植物】 → 旧版では「種子は歪んだ腎形、赤橙色で粘液質の物質に包まれている。」としていた。
・果実は熟すと3つに裂けて赤い粘った種子を出す。【新牧野日本植物図鑑】
・果実は粘った赤い種子を8〜12個だす。【樹に咲く花】
・種子は赤褐色で平滑、粘液で包まれている。【原色日本植物図鑑】 |
コヤスノキ |
・種子は赤橙色、粘液質の仮種皮におおわれる。【改訂日本の野生植物】 → 旧版では「種子は腎形、赤橙色になる。」としていた。
・種子は赤い粘質のある仮種皮に包まれる。【新牧野日本植物図鑑】
・種子は赤褐色で平滑、粘液で包まれている。【原色日本植物図鑑】 |
アケビ科 |
アケビ属 |
アケビ、ミツバアケビ |
・アケビ科種子は黒色、半透明の仮種皮をもつ。【改訂日本の野生植物】 → 旧版でも同じ表現となっている。
・果実は液果で、果肉は白色、アケビ種子は褐色から黒褐色を帯び、ミツバアケビ種子は黒褐色。【樹に咲く花】
・種子は黒色で白い果肉に包まれる。【原色日本植物図鑑】
・アケビの液果は熟すと縦に列開する。種子は黒色、半透明白色の果肉は甘く、食べられる。【園芸植物大事典】 |
ムベ属 |
ムベ |
・種子は黒色、半透明の仮種皮をもつ。【改訂日本の野生植物】 → 旧版でも同じ表現となっている。 ・種子は黒色【原色日本植物図鑑】 |
モクレン科 |
モクレン属 |
コブシ、ホオノキほかモクレン属全種 |
・モクレン科では種子は多くは肉質の珠皮(?)をもつ。【改訂日本の野生植物】
・モクレン属の種皮外部は肉質となる。【改訂日本の野生植物】
・果実は袋果が集まった集合果で、成熟すると裂開して、赤い種子を出す。種子を包む種皮は赤い外層、肉質の白い中層、黒くてかたい内層の3層構造になっている。【樹に咲く花】
・袋果は背面で裂開し、赤色肉質の外種皮と黒色硬質内種皮をもつ種子を出す。【園芸植物大事典】
・モクレン属の種子は赤色の仮種皮に包まれた核果様となる。【原色日本植物図鑑】
・ホオノキの種子は朱色の仮種皮で包まれる。種子は黒色。コブシの仮種皮は朱紅色。【図説樹木学】
・ホオノキ、コブシでは果実(袋果)が裂開して緋紅色の仮種皮でおおわれた種子を出す。【木の大百科】 |
オガタマノキ属 |
オガタマノキ |
・分果に赤色の種子を含む。【改訂日本の野生植物】
・果実は袋果が集まった集合果で、成熟すると裂開して、赤い種子を出す。種子を包む種皮は赤い外層、肉質の白い中層、黒くてかたい内層の3層構造になっている。【樹に咲く花】
・種子は赤い仮種皮に包まれ、偏球形。【原色日本植物図鑑】 |
スイレン科 |
スイレン属 |
ヒツジグサ |
・スイレン属では種子に種衣がある。【改訂日本の野生植物】
・ヒツジグサの種子は肉質の仮種皮に包まれる。【原色日本植物図鑑】
・スイレン属では仮種皮は膜質【図説植物用語事典】 |
コウホネ属 |
コウホネ |
・コウホネ属では種子に種衣はない。【改訂日本の野生植物】 ・コウホネの種子は卵形。【原色日本植物図鑑】 |
トウダイグサ科 |
ナンキンハゼ属 |
ナンキンハゼ |
・種子は中軸につき、白色ろう質の仮種皮が全体を包む。【日本の野生植物】
・種子は長さ約7ミリの広卵形。白いロウ質の仮種皮に包まれ、冬になっても果実の中軸についたまま残っていることが多い。果皮はひとりでに落ちる。かつては種子からロウや油をとった。種子は有毒。【樹に咲く花】
・ 種子は偏球形、黒色、長さ約8mm、幅6-7mm で、 外側が白色のろう質の仮種皮が覆っている。【中国植物誌】 |
ミソハギ科
(旧ザクロ科) |
ザクロ属 |
ザクロ |
・西アジア原産。食用とするのは赤色多汁の外種皮。【園芸植物大事典】
・果実は熟すと果皮が不規則に割れて、多汁の外種皮に包まれた種子が露出する。【園芸植物図譜】
・ザクロの種子の外皮は淡紅色で甘酸っぱい液を含み、食べられる。【樹に咲く花】
・種皮の外皮は多汁質で甘酸っぱい液を包み食べられる。種子の内皮は骨質(木質)でかたい。【原色日本植物図鑑】
・漿果は球形に近く、直径5-12センチ、通常淡黄褐色又は淡黄緑色で、時には白色、まれに暗紫色。種子は多数で鈍角形で紅色から乳白色、肉質の外種皮が食用となる。【中国植物誌】
*英語情報ではザクロの種子を包むものは仮種皮 aril としている。 |
イチイ科 |
イチイ属 |
イチイ |
・種子は紅色で液質の仮種皮におおわれる。【改訂日本の野生植物】
・種子は赤い肉質の種衣でとりかこまれているが、上端は包まれていない。【原色日本植物図鑑】 |
カヤ |
・種子は緑色から紫褐色になる仮種皮に全面包まれるが、熟すと仮種皮は裂けて種子が現れる。【改訂日本の野生植物】
・種子は赤い仮種皮に包まれている。【樹に咲く花】
・種子は種衣に包まれ楕円形【原色日本植物図鑑】
・外種皮は熟して裂け、内種皮はかたい。【新牧野日本植物図鑑】 |
イヌガヤ属 |
イヌガヤ |
・種皮外層は紅紫色の肉質、種皮内層は薄い木質で灰褐色を帯びる。【改訂日本の野生植物】
・外種皮(?)は肉質でヤニくさいが甘味がある。【樹に咲く花】
・種子の外種皮は初め緑白色、成熟すれば褐紫色、皮汁はやにくさく、食べない。【原色日本植物図鑑】 |
ハイイヌガヤ |
・種皮外層は紅色に熟し、甘いので食べられる。【改訂日本の野生植物】
・外種皮(?)はやわらかく、ヤニくさいが、甘味があり食べられる。【樹に咲く花】
・種子の外皮は淡紅紫色、やにくさいが、甘くて食べることがある。【原色日本植物図鑑】 |
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★ ツルウメモドキ・マサキ・マユミ・ヒロハツリバナ・ツリバナの果実と種子、イチイ・シナマオウの種子の様子についてはこちらを参照
★ モクレイシの果実と種子の様子の詳細についてはこちらを参照
★ ミツバアケビ・ムベの果実と種子の様子についてはこちらを参照
★ モクレン科樹種の果実と種子の様子についてはこちらを参照
★ カヤ、イヌガヤ、ハイイヌガヤの種子の様子についてはこちらを参照 |
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説明内容の気づきの点 |
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ニシキギ科のツルウメモドキ属とニシキギ属樹種の種子については仮種皮の存在が広く認知されている。 |
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ニシキギ科モクレイシ属のモクレイシについては種子が仮種皮に包まれているとする見解と仮種皮がないとする見解の両方が見られる。さらに、仮種皮がないとしている場合、これが何なのかについて、残念ながら一言も触れていない理由はわからない。しかしながら、「植物の世界」で、種子を包む赤いものについて、 「仮種皮のように見えるが、そうではない。」と自信と確信に満ちた表現となっている。 |
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トベラ属樹種の種子は仮種皮説が優勢な印象であるが、新牧野植物図鑑ではトベラとコヤスノキのうち、コヤスノキの説明に際してのみ仮種皮があるとしていて、記述が統一されていない。 |
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アケビ属とムベ属の種子の周りのベチョベチョのものを仮種皮と見なす考えは、必ずしも統一されていない印象であるが、日本の野生植物では旧版、改訂版とも一貫して仮種皮としている。 |
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モクレン科のモクレン属及びオガタマノキ属樹種の種子については、かつては仮種皮とみなされていたような印象がある。なお、「改訂日本の野生植物」で、「モクレン科では種子は多くは肉質の珠皮をもつ。」としている表現についてはよくわからない。 |
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スイレン科スイレン属の種子は仮種皮の存在が認知されているが、日本の野生植物で本属に限って「種衣」の語を使用している。執筆者の違いに由来する用語の不統一と思われる。なお、同じスイレン科でもコウホネ属では仮種皮がないようである。 |
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トウダイグサ科ナンキンハゼ属のナンキンハゼの種子は奇妙であるが白いロウ質の仮種皮に包まれているという認識は一般的になっている模様である。 |
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ザクロの種子を包む淡紅色、透明多汁質のものについて、国内の図鑑では「外種皮」あるいは「種子の外皮」としているが、海外情報ではこれが 「aril (仮種皮、種衣)」であるとしているのが普通である。 (説明の事例は後出) 外来種でもあることから、以降は赤いものは仮種皮として理解する。 |
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イチイ科イチイ属のイチイ、カヤについては従前から種子が仮種皮に包まれると理解されてきたようである。一方、カヤの種子に似た形態のイヌガヤ属のイヌガヤとハイイヌガヤ種子の果肉状のものについては一致して種皮外層又は外種皮(?)とされている。
しかしながら、「イチイ属とカヤ属の仮種皮はイヌガヤ属の外種皮(と呼ばれている器官)と同じ起源を持つ器官の可能性も出てきました。また、外種皮というのは被子植物のみが持つ器官であるため、裸子植物に対する用語としては適切ではなく、国際的には肉質種皮(sarcotesta)と呼ばれることが多い。(2013.6.6 日本植物生理学会 みんなのひろば)」という見解も紹介されていて、見極めが難しいことを物語っている。 |
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仮種皮と種衣の語は同義であるが、「原色日本植物図鑑」では、イチイとカヤに限って「種衣」の語を使っていて、書籍内で用語が統一されていない。 |
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そもそも仮種皮とは一体何なのか |
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簡潔に言えば、仮種皮(aril)とは「種子の表面全体をおおう附属物(an additional exterior covering the surface of a seed, called aril)」を指し、珠柄又は胎座起源とされ、日本語では種衣とも呼んでいる。 |
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また、種子先(珠孔付近)にある珠皮起源の多肉質の附属物や種子のへそ近くにできる付属物(ストロフィオール strophiole とも)を種枕 caruncle と呼び 、種鱗が肥厚して種子をおおうものを套被 epimatium (イヌマキ種子など)と呼んでいる。 |
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仮種皮や種枕のような附属物はまとめてアリロイド arilloid と呼び、特にこれがアリの食餌となって種子が散布される場合、その附属物をエライオソーム elaiosome と呼んでいる。(★エライオソームの例についてはこちらを参照)
種子の付属物としては、これらのほかに種髪(種子の毛束には胎座起源と珠皮起源のものがある。)や種翼(被子植物では外種皮が伸長したもの)が知られている。
こうした植物学的講釈を見ても、いかに現物を眺めたところで、フムフムということにはならないから、まあそういうものかと受け止めざるをえない。樹種によっては専門家でも見解の相違が生じる様な印象があるから、植物の個々の部位についてその由来を顕微鏡的に見極めるのは難しいことなのであろう。
それはそれとしてであるが、そもそも「仮種皮」の名前は誤解を招くあまりよろしくない呼称である。社会通念的には「仮」の語は「暫定的な」というニュアンスが強く、素直な感性で受け止めれば、あとで本当の種皮が形成されるような印象があって紛らわしい。退化途上にある雄しべを「退化雄しべ」と呼ばずに「仮雄しべ」と呼んで、紛らわしい印象を与えているのと似ている。したがって、仮種皮の別称とされている「種衣」の語を優先して使用した方がまだ健全と思われる。この語であれば、少なくとも暫定的なニュアンスは排除できる。 |
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ニシキギの種子でケーススタディ |
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種子の形成プロセスを顕微鏡的に追跡することなどできないから、見掛けの様子だけを観察することにする。
ついでなので、種子内の胚の様子も確認してみることにする。 |
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裂開したニシキギの果実の様子 1
果皮が裂開すると、ふつう橙赤色の仮種皮に包まれた1〜2個の分果をみせる。 |
裂開したニシキギの果実の様子 2
この果実では3個の分果が見られた。 こうした種子は典型的な鳥散布依存なのであろう。 |
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ニシキギの種子三態 |
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左:仮種皮に包まれた種子 中:仮種皮を剥がした種子 右:種皮を剥がした状態 |
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仮種皮を剥がしたニシキギ種子
ニシキギの種皮は二種皮性とされる。黄色の筋状のものは珠柄か。 |
柔らかい外種皮の一部を
剥がした状態
膜状の柔らかい外種皮の一部がめくれ上がった状態となっている。 |
やや硬い内種皮のほとんどを
剥がした状態
残った内種皮が種子の下方のみに残っている。 |
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ニシキギ種子の胚乳の中の
胚の様子 |
取り出したニシキギの胚
2枚ある子葉を少しずらして撮影したものである。 |
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モクレイシの種子の様子の場合 |
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モクレイシの果実
果皮が脱落寸前の様子である。 |
モクレイシの種子
赤い外種皮(仮種皮?)を剥がした状態であるが、これを爪で擦っても内種皮があるようには見えない。。 |
モクレイシ種子の横断面
断面を拡大して見ると、薄い層状になったものを確認することができる。 |
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★ モクレイシ種子の胚の様子についてはこちらを参照 |
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赤い粘着質の層が仮種皮なのかそれとも種皮なのか見つめていてもさっぱりわからないが、これを剥がすと、感触としては胚乳が露出したように見え、肉眼的には膜質あるいは皮質の種子内部を守るための層があるようには見えない。そこで、種子の断面を拡大して見てみると、表面にわずかに層状の構造があるようには見えるが、これが一体何なのかはよくわからない。なお、これを鳥が食べた場合に、赤い層は仮に消化できたとしてもごく薄く見せかけの餌でしかない。本当のところ、どの部分で消化に耐えるのかはさっぱりわからない。 |
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ザクロの種子の場合 |
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ザクロの種子を包む透明・淡紅色のものについて、これが仮種皮であるとの認識に立って説明している事例を掲げると、以下のとおりである。 |
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果実内は種子を取り巻く多肉質で汁が多くて食べられる液嚢(sacs)(aril 仮種皮、種衣 )が納まった区画に分かれている。【Missouri Botanical Garden】 |
ザクロ種子の仮種皮(arils)は中央に位置する種子から放射状に広がった単層の液質の細胞でできている。液質の細胞はキッチリと納まっていて、横断面は多角形で、細胞の外側表面が上皮(cuticle)でおおわれて肉厚となっている。【Hazel
Y. Wetzstein】 |
汁を含んだ仮種皮は、種子の表皮細胞に由来する薄い膜組織として形成されている。ザクロの種子の数は200から1,400位まで幅がある。【英語版Wikipedia】
注:多くの引用文献を明示しているが、上記内容が「仮種皮は珠柄又は胎座起源とされる」ことと内容が噛み合っているのかはよくわからない。 |
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仮種皮に包まれたザクロ種子の様子
仮種皮は透明質で美しく、中の種子が透けて見える。 |
ザクロ種子の様子
一見すると核果の内果皮のように見えて、硬くて厚いが、あくまで種子の種皮ということになる。ただし、この硬い種皮は薄い膜質の層に包まれていた。種皮が2種皮性として認知されているのかは確認できない。 |
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ザクロ種子の胚の様子 1
ザクロ種子の種皮を剥がしても胚乳らしきものが見当たらず、これが何なのかよくわからない。 |
ザクロの種子の胚の様子 2
左の写真の裏側の様子であるが、よくわからないことに変わりはない。 |
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ザクロ種子の縦断面
種皮に包まれた状態のままで縦に割った断面の様子である。当初は胚乳の中にかわいい胚が収まっているものと予想したが、調べてみると「種子は無胚乳種子で、胚は十分に分化している(脂性)。子葉は2個で大きく、渦巻状に丸まっている。胚はクロロフィルを欠く。(L. Watson and M.J.
Dallwitz delta-intkey.com)」とされるから、写真で複数の層状に見えるのは丸まった子葉の縦断面の様子ということになる。 |
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ザクロ種子の横断面 |
ザクロ種子の胚の横断面 |
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2枚の子葉は、ぴったり張り付いた状態で単純に渦巻状になっているようではなく、絡み合うようにそれぞれが時に屈曲しながら複雑に巻いているようである。
左の図はたまたま目にしたザクロ種子の横断面図であるが、必ずしも図のように巻いているものではないようである。具体的な巻きの形態はよい現物サンプルが作りにくくて観察しにくい。
また、2枚の子葉を壊さずにほぐして広げることも困難であり、現物の子葉の形態を見極めることはできないのはもどかしい。
いろいろな植物の種子の胚をしばしばのぞき見ているが、こういったタイプは初めてである。 |
仮種皮に包まれたザクロ種子の横断面図
(L. Watson and M.J. Dallwitz) |
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【追記 2018.4】 ザクロの種子の芽生えの様子 |
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グルグル巻きとなったザクロ種子の子葉の形態が気になったため、芽生えの様子を確認してみた。サンプル種子はアメリカ産ザクロのものである |
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ザクロの芽生え 1
芽生え後に種皮を脱ぎ捨てた直後の様子で、子葉が巻き簾状になっているのはわかるが、2枚の子葉の相互関係はわからない。 |
ザクロの芽生え 2
程なくこのようになっていたもので、大雑把に言えば、巻いた1枚の子葉をもう1枚の子葉が巻いていたといった印象である。 |
ザクロの芽生え 3
展開した子葉の様子で、2枚とも形が不整形である。中心部には既に2枚の本葉が姿を見せている。 |
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