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続々・樹の散歩道
  アオキの葉裏の謎の微小生命体
   
葉裏のワンダーランド その6


 葉裏のワンダーランドシリーズも6本目となったが、今度はアオキの葉裏で奇妙なものを見かけた。白い放射状の稜のあるドーム構造である。シンプルな糸の薄膜状のドーム構造のものであれば、現在までに @ クスノキの葉裏のマルカイガラムシ科の仲間(こちらを参照)、A タケ類の葉裏のタケスゴモリハダニの巣(こちらを参照)、 B ヤツデの葉裏のコナカゲロウ科の2重の繭 (こちらを参照)の存在を確認したが、今度のものは同様の繊維質であるが、脆いもののある程度の硬さと厚味がある上に放射状の補強材のある構造で、従前に見たカイガラムシを連想する印象でもない。このドームを壊して中を見ると、さらに薄い膜に覆われていて、これを剥がすと黄色のシンプルな形態の微小生命体が姿を現した。 【2019.9】 


 白いドームの形態だけに着目すると、巷のうわさによればこの個性的なドームはキバラコナカゲロウの繭と考えられているものと全く同じものに見える。しかし、中の住人はどう見ても蛹ではない

  中の生命体は単に丸っこいだけで脚は見当たらないが、片側が薄くなってやや尖り、縁に小さなギザギザがある。子細に見れば、腹節のようなしわ構造が確認できる。ということは、カイガラムシの仲間の雌成虫である可能性が浮上する。

 そこで、写真で改めて観察すると、(背側から見た状態で)口針らしきものが伸び出ているのが確認できる。

 種は同定できないが、山勘で、マルカイガラムシ科のカイガラムシの一種の雌成虫と推定することにした。
 

 果樹等に被害を及ぼすカイガラムシではないためか、参考となる情報が得られない。

 以下はその様子である。 
 
 
       マルカイガラムシの仲間 1 
       マルカイガラムシの仲間 2  
 
 
                     マルカイガラムシの仲間 3 
 さらに薄い膜に覆われた状態でじっとしている。中の住人は丸くて黄色であることがわかる。 
 
 
                 マルカイガラムシの仲間 4(雌成虫・背側)
 体長は1ミリにも満たない大きさで、例によって脚は退化していて、頭部、胸部、腹部の境界もはっきりしない。矢印部は腹側から伸び出た口針と思われる。  
 病害虫情報を検索すると、介殻の形態は全く異なるが、柑橘類につくアカマルカイガラムシやナシにつくナシマルカイガラムシ雌成虫の形態に近似している。
 
 
                 マルカイガラムシの仲間 5(雌成虫・腹側)
 背側と腹側に目立った違いがないため、どちらであったかわからなくなってしまう。裏返した際に背側で見えていた口針が切れてしまったのかも知れない。矢印部口吻の基部と思われる。