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実は、この「ぽろたん」は2代目である。ホームセンターで2,980円もするこの苗木を最初に買ったのが平成20年の秋であったが、この品種はやや樹勢が弱い印象があって、翌年葉を出したものの、落葉後にあっさり枯れてしまった。仕方なく再度2,980円で昨年購入し、今度こそと念力を注入したところ、なんと、運良く小さな樹に国旗玉≠フようにひとつだけ果実を付けた次第である。 |
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ぽろたんの唯一の果実
大きさはやはり栽培種級である。けなげにひとつだけ実を付けている姿は愛おしいものである。 |
姿を見せたぽろたんの堅果
2個はむっちり大きいが、1個はぺらぺらのしいなであった。初めてつける果実であるから、許してあげよう。 |
貴重なぽろたん二兄弟
中国種の血が混ざっているのではないかとの噂もあったが、淡色の座の部分が大きいから、中国栗ではないと推定できる。 |
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ぱっくり割れたイガの中には、待望の2粒の栗が入っていた。1粒はしいなであったが、まだ小さい樹でありながら実を付けただけでも上出来である。 |
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貴重な2粒であり、ひとつをオーブンで焼き、もうひとつをフライパンで転がして焼くこととした。事前処理として、爆発防止のため、栗の座(色の薄い部分。おしり。)に切り込みを入れた。 |
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1 |
オーブン焼き |
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オーブンで180度、15分焼いた場合。これは広く紹介されている方法でる。 |
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チラリと素肌を見せたぽろたん
切り込み部分がぱっくり口を開いた。
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きれいに渋皮が剥けたぽろたん
渋皮の一部がやや未練がましく粘り着いたが、まあ上出来である。
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中国栗と違って、渋皮がやや厚めで粘る感じがあったが、渋皮の一部がまとわりついただけで、概ねきれいに剥けた。
しかし、指定時間では少々短かった模様で、ホクホクとはならず、少々堅めであった。甘さはやはり天津甘栗などの中国栗に及ばないのは仕方がない。 |
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2 |
フライパン焼き |
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フライパンを使用して、弱火で転がしながら適宜焼いた場合。 |
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切り込み部分が開いたが、渋皮が粘っている雰囲気がある。 |
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残念ながら、こちらはぽろっとは剥けなかった。このため、スプーンでほじほじした。 |
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正確な時間は計測していないが、弱火で鬼皮に適度な焦げ目が付くまでしばらく転がして焼いてみた。以前に中国栗の品種である岡山1号(こちらを参照)を焼いた時と同様の取り扱いである。
切り込みを入れた部分が十分に開いた状態で火を止め、渋皮を鬼皮もろとも開こうとしたが、渋皮は離れる気配がない。仕方なく小さなスプーンで掻き出す羽目になった。しかも、オーブンの場合と同様やや堅めであった。 |
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★ぽろたんの焼き栗試験総括 |
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甘さでは中国栗に及ばないことは他の日本栗と同様で、街中の天津甘栗に取って代わるということにはならないであろう。焼き栗で中国栗に対抗するのは無理であり、焼き栗であれば岡山1号(〜2号、3号)に任せた方が良さそうである。
そもそも、日本栗、中国栗(焼き栗に適す)、ヨーロッパ栗(菓子原料に適す)はそれぞれの特性があって、そのことを踏まえて現在の栗の加工食品が存在するということである。 |
A |
オーブン焼きと同様に、電子レンジでも渋皮が剥けるといわれることから、従来からの日本栗の宿命であった栗剥きの手間とロス(歩留まり低下)からは解放されることになる。 |
B |
従来の栗納豆は、栗剥きに伴う多面体構造であったが、この栗の登場により、初めて自然なかたちの日本栗の栗納豆が見られることになるであろう。 |
C |
フライパン焼きは渋皮離れがよろしくなかった。ぽろたんの実がさらに手に入ったら、念のために電子レンジ処理と、フライパン焼きの再試験を実施したい。 |
D |
なお、ぽろたんの樹勢がやや弱い印象があるが、これがぽろたんの特性なのか、接ぎ木した苗木が本調子でないのかは不明である。 |
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<ぽろたんに関する参考情報> |
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早生の主要品種である「丹沢(たんざわ)」の子であり、渋皮がポロンと剥けることと、広く愛されて欲しいとの願いを込めて「ぽろたん」と命名された。
交雑組み合わせ:550-40{290-5(森早生×改良豊多摩)×国見}×丹沢)
【(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所】 |
A |
鬼皮にナイフなどで切れ目を入れ、電子レンジ(700W)で2分、または家庭用オーブン(180度)で15分調理するだけで、鬼皮と渋皮が簡単に剥けて、栗ご飯や菓子の材料として利用できます。
【兵庫県立農林水産技術総合センター 農林技術センター 園芸部 ほか】 |
B |
ぽろたんにより、焼き栗、モンブラン、マロングラッセを試作し、試作品と市販品を対象に、消費者に実際食べていただき、味を評価する官能試験実施した結果、焼き栗とマロングラッセでは、ぽろたんによる試作品が最も高い評価を得た。焼き栗にした場合、市販の天津甘栗ほど剥皮製はよくなかった。マロングラッセにした場合、他の和栗よりもおいしかった。本場のヨーロッパ産の高級なマロングラッセとも比較したが、食味が優れるだけでなく、大きさや美しさも優っていた。以上のことから新品種ぽろたんの特性に適する用途は、マロングラッセであることを解明した。【京都府森林技術センター報告(抄)】 |
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【追記】 |
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見たくないものを見てしまった。ぽろたんの苗木が昨年の購入価格のほぼ半額の 1,480円で販売されていた。とんでもない高価格であったが、早くも値崩れか。実に腹立たしい!!
ちなみに、一般的な品種は580〜780円で、大粒品種とされる紫峰は980円であった。 |
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*その他の焼き栗についてはこちらを参照。 |
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