トップページへ  樹の散歩道目次へ   続・樹の散歩道目次へ  続々・樹の散歩道目次へ
続々・樹の散歩道
 コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ
 イスノキで見せる姿とは全く別物であることにビックリ!!


 おもしろそうな虫を求めて、たまたまコナラの葉裏をチラリと見たところ、小さな多数の黒点が全面に分布しているのを確認した。大きさは0.5ミリにも満たないもので、扁平で葉に密着していて、動く気配もない。ということは、コナジラミの幼虫の可能性を感じたが、それにしても小さすぎである。あるいは菌類の閉子嚢殻かもしれないし、まずは持ち帰って拡大写真を撮ることにした。その上で調べてみると、コナラの葉裏の黒い点は、イスノキの葉でよく知られた虫えいであるイスノキハタマフシからコナラに移住(二次寄生)したヤノイスアブラムシ Neothoracaphis yanonis有翅虫が産み落とした幼虫が成長した奇妙な極小の無翅成虫≠ナあることが判明した。アブラムシ類を理解するのは大変で、ワンダーランドをちょっとだけのぞき見ても、うなり声を上げるしかない。 【2020.1】 


 図鑑等で学んだことに基づいて、実際に目にした様子を適宜挿入して、変身の過程を追ってみることにする。しかし、手持ちの写真は全く不十分であるため、知り合いの救援を求めつつ、今後見かけた場合は、随時追記することとしたい。  
 
T  イスノキハタマフシ及びその住人のヤノイスアブラムシ  
 
@  一次寄主(冬寄主植物)のイスノキの芽の基部で越冬した卵(越冬卵)が春の新葉展開直前に孵化  
 
   ★ 卵及び孵化直後の幹母幼虫は極めて微小と思われ、肉眼で確認することはできなかった。   
     
A  この幹母幼虫(1世代のみ・無翅型)がイスノキの新葉に寄生して吸汁を始めると虫えいの形成が開始される。  
     
   【2020.4 追記 ★ 以下の写真は4月上旬時点】   
 
       イスノキの新葉に形成された初期の虫えい 1 (4月上旬)
 展開したまだ小さな新葉のほとんどに初期の虫えいが形成されていた。観察には誠に都合のよい個体であった。
 
     
 
 イスノキの新葉に形成された初期の虫えい 2(葉表)
 幹母幼虫が収まった部分はやや厚みがあって、周囲が赤くなっている。 
 イスノキの新葉に形成された初期の虫えい 3(葉裏)
 幹母幼虫は葉裏側から虫えいを形成する。写真は自ら形成した陥没孔がほぼ閉鎖した状態にある。  
 
     
 
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 1(幹母幼虫)
 幹母幼虫はイスノキの葉裏にとりついている。微小な幼虫で、体長は0.5ミリにも満たない。
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 2(幹母幼虫)
 周囲の葉組織が次第に盛り上がってくるとともに、虫の直下は凹んでくる。
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 3(幹母幼虫)
 やがて、幹母幼虫は陥没した孔の中に収まったような状態となる。
     
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 4(幹母幼虫)
 孔は次第に閉じ始め、孔の縁には毛状の組織が見られる。
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 5(幹母幼虫)
 毛状の組織が発達して、幹母幼虫は見えなくなっている。
ヤノイスアブラムシによる虫えいの初期形成過程 6(幹母幼虫)
 写真の状態の後に、肉質の葉組織で虫室が閉鎖される。
 
     
   【2020.4 追記 ★ 以下の写真は4月下旬時点】   
 
   完全に閉鎖した虫えい 1 
 葉の横から見た虫えいの様子で、表側は丸く膨らみ、裏側は頂部が尖った状態で膨らんでいる。本来の形態である。
 完全に閉鎖した虫えい 2 ・葉表
 葉表の側はきれいなドーム型となっている。
 完全に閉鎖した虫えい 3 ・葉裏
 周囲が毛で覆われていた孔は葉の肉質の組織により完全に閉鎖されている。中の幹母はこの段階では裏側の膨らみの内側に鎮座していることが多かった。
     
  虫えいの葉裏側の頂部の様子
 頂部に毛が残っているが、完全閉鎖されている。この部分は中で繁殖した有翅胎生雌虫の脱出口となる。 
  ヤノイスアブラムシの幹母 1
 虫えい内で見られた幹母(幼虫)で、体長は1ミリほどに育ち、体が丸くなっている。さらに栄養補給しながら、今後コツコツと産仔するのであろう。 
  ヤノイスアブラムシの幹母 2
 
体色は当初よりも淡色となっている。尻の部分にはカメムシ目の幼虫でよく見られる白い綿状のロウ物質らしきものが見られる。口吻の口針は短い。
 
     
 
      ヤノイスアブラムシの幹母 3       ヤノイスアブラムシの幹母 4・腹側
 
     
B  イスノキの虫えい内で幹母から第2世代の有翅胎生雌虫が繁殖  
 
   【2020.4 追記 ★ 以下の写真は4月末時点   
 
        大きくなった虫えいの様子
 大きな虫えいは径が7〜8ミリ程度となっていて、幹母成虫による産仔が始まっていた。  
     ヤノイスアブラムシの幹母成虫 1
 幹母成虫は体長が引き続き1ミリほどしかないが体がパンパンになっており、仔虫を産下する気満々である。
   
     ヤノイスアブラムシの幹母成虫2
 横っ腹も十分に張り出している。 
    ヤノイスアブラムシの幹母成虫 3(尻部)
 尻の左右にロウ物質らしきものが見られる。 
   
       ヤノイスアブラムシの出産シーン
 仔虫は尻の側から生まれている。間もなくポトリと産み落とされた。お母さん(幹母)が腹側を見せているのは、逃亡防止のため、この状態とさせてもらったものである。
   ヤノイスアブラムシの生まれたての赤ちゃん
 赤ちゃん(イスノキでの第二世代の幼虫)は、生まれ落ちると程なく足を伸ばして動き始めた。 
   
   ヤノイスアブラムシの幹母成虫と仔虫 1 
 次々と産下されている仔虫の様子で、赤矢印は幹母成虫で、虫えい内での位置はいろいろであった。
   ヤノイスアブラムシの幹母成虫と仔虫 1
 仔虫は既に脱皮しているものが見られ、尻にはロウ物質がついている。生まれた時期の違いから大きさの差が生じている。赤矢印は幹母成虫である。 
   
    ヤノイスアブラムシの幹母成虫と仔虫 3
 産下された仔虫たちの様子である。右側に見られる褐色のカスのようなものは、幹母の脱皮殻と思われる。
    ヤノイスアブラムシの幹母成虫と仔虫 4
 時間をかけて、小さな幹母成虫はプリプリと仔虫(有翅胎生雌虫の幼虫)を次々と産下するようである。
 
     
   【2020.5 追記 ★ 以下の写真は5月下旬時点   
 
        イスノキハタマフシの断面 1
  ヤノイスアブラムシの幼虫がすくすくと育っている。
  淡黄色出会った幼虫は橙色となっている。
        イスノキハタマフシの断面 2 
 赤矢印が幹母で、子供たちは既にお母さんより大きくなっている。左下にはまだ小さな仔虫も見られる。
   
   イスノキハタマフシ内のヤノイスアブラムシ
   の幼虫 1 (背側)

 翅芽が確認でき、有翅型の幼虫であることがわかる。
 大きさは1ミリを少し超えている。
   イスノキハタマフシ内のヤノイスアブラムシ
   の幼虫 2 (腹側)
 チビでも吸汁のための口器を備えている。
 
     
C  7月上旬にイスノキの虫えいから有翅胎生雌虫が脱出  
 
 
    イスノキの葉のイスノキハタマフシ(葉表側)
 5月下旬の写真で葉表側が赤く色づいている。脱出時期には幅があって、写真の虫えいでは既にヤノイスアブラムシの有翅虫は脱出済みである。
    イスノキの葉のイスノキハタマフシ(葉裏側)
 左の写真の葉裏の様子で、虫えいの尖った頂部が裂開して、空っぽである。
 次に裂開の途中経過を見てみる。
 
     
 
   イスノキハタマフシの葉表側   イスノキハタマフシの葉裏側 1
裂開時期には虫えいの葉裏側の頂端部が乾燥して放射状に割れ目が入る。 
   イスノキハタマフシの葉裏側 2
 頂端部が三角状に割れて反り返り、成虫の出口となる。 
 
     
 
   ヤノイスアブラムシ成虫の脱出時期の様子 1
 裂開前の虫えいを割った様子で、成虫がひしめいていた。
  ヤノイスアブラムシ成虫の脱出時期の様子 2
 
   
  ヤノイスアブラムシ成虫の脱出時期の様子 3
 裂開前の虫えいを割ったもので、この例ではまだ成虫と幼虫が入り交じっている。 
   1個の虫えい内の成虫と幼虫の様子の例
  
   
 ヤノイスアブラムシの成虫の様子 1(背側) ヤノイスアブラムシの成虫の様子 2(腹側)
 
     
D  二次寄主(夏寄主植物)のコナラの葉裏に有翅胎生雌虫が移住  
E  黄白色の幼虫を産下  
     
   以下は6月上旬にコナラの葉裏で見られたもので、イスノキの虫えいから飛来したヤノイスアブラムシの有翅胎生雌虫が産下した仔虫(幼虫)と思われる。   
     
 
  ヤノイスアブラムシ有翅虫が
  コナラで産下した仔虫 1
  ヤノイスアブラムシ有翅虫が
  コナラで産下した仔虫 2 
  ヤノイスアブラムシ有翅虫が
  コナラで産下した仔虫 3 
 
     
F  幼虫はコナジラミの幼虫のように見える黒色の無翅胎生雌虫となって夏を越す  
G  10月初旬から産仔を開始して黄白色の幼虫が増殖  
     
 
      コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ1 
 都内であちこちのコナラの葉裏を見たところ、案外広くみられることが判明した。しかし、イスノキが植栽されていることは極めて少ないことから、不思議なことである。
(10月上旬)
      コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ 2 
 背中の中央に、ロウ質なのか白い筋のあるものが多い。黄白色の虫は、成虫が産下した若い幼虫と思われる。 大きさは0.5ミリ弱である。(9月下旬)
   
    コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ成虫 2 
 背中に白い部分のあるタイプの成虫で、後脚がはっきりわかる。(9月下旬)
  コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ成虫 2 (腹側)
 裏返してみると、写真右側に1対の後脚が確認でき、その他の脚はごちゃついていれわかりにくい。(10月上旬)
   
       産仔中のヤノイスアブラムシ成虫
 産み落とされる寸前の仔虫の様子で、中空に浮いた状態となっている。(横浜市 鈴木さん撮影)
            産仔後の様子
 仔虫は成虫よりわずかに小さい程度であるから、見た限りでは複数産むとは思えない。(横浜市 鈴木さん撮影)
   
   
    コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ幼虫 1 
 よく知られているコナラの葉上で確認できる有翅型のヤノイスアブラムシの幼虫の姿である。体長は1ミリほどに成長している。(12月中旬) 
   コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ幼虫 2 
 黒いバックで撮影した幼虫で、終齢幼虫と思われる。
 (12月中旬)  
 
     
H  幼虫は10月下旬に有翅産性虫となる  
     
 
  コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ幼虫から有翅
  虫が羽化する様子 1
 (横浜市 鈴木さん撮影) 
  コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ幼虫から有翅
  虫が羽化する様子 2
(横浜市 鈴木さん撮影) 
   
  コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ有翅成虫 1    コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ有翅成虫 2 
 
 
     
     
 
             コナラの葉裏のヤノイスアブラムシ有翅成虫 3 
 たぶん、腹には仔虫を抱えているものと思われる。
 
     
I  有翅産性虫となってイスノキに戻る  
     
    以下は、11月下旬にイスノキの葉裏で見られたアブラムシで、1枚の葉裏に1〜2匹がとまっているのがしばしば見られた。たぶん、ヤノイスアブラムシの有翅産性虫と思われる。いずれも腹部が随分小さい印象があったことから、既に産仔したのであろう。たぶん、イスノキの葉裏にたどり着くと、さっさと産仔するものと思われる。肝心な胎生の幼虫についてであるが、とりあえずは目に入らなかった。  
     
 
    イスノキの葉裏のヤノイスアブラムシの
    有翅産性虫 1(背側)
 
    イスノキの葉裏のヤノイスアブラムシの
    有翅産性虫 2(腹側)
 
 
     
 
          イスノキの葉裏のヤノイスアブラムシの有翅産性虫 3(背側) 
 
           イスノキの葉裏のヤノイスアブラムシの有翅産性虫 4(腹側) 
 腹部が極端に小さく(産仔中又は産仔後にぺちゃんこになったのであろう。)いかにもアンバランスである。
 
     
J  イスノキの葉裏に両性世代の雄虫と無翅の産卵雌虫を産下  
     
   12月上旬にイスノキの葉裏を確認すると、成虫とともに多数の胎生の幼虫(仔虫)を確認した。背部の4条の斑点模様はコナラの葉裏で見られる幼虫の場合と同様である。とりあえずは、雄と雌の区別はわからない。   
     
 
 イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの有翅産性虫と幼虫
この写真では、1匹の成虫と2匹の幼虫が見られる。 
   イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 1 
 この写真では5匹の幼虫が見られる。
 
     
 
           イスノキの葉裏のヤノイスアブラムシの有翅産性虫 5(腹側) 
 仔虫を産み落としたと思われる有翅産性虫の腹を改めて見てみると、縮んだ蛇腹のような状態となっている。既に役目を終えているから、お迎えが来るのを待っているだけなのであろう。
 
     
   イスノキの葉裏でヤノイスアブラムシの有翅成虫が産仔する現場をぜひとも確認したかったが、実際にはこれが困難であったことから、コナラの葉裏で見られた同有翅成虫を補足し、少々気の毒ながらテープで磔(はりつけ)状態として様子を見たところ、ほどなく5匹の仔虫を産んだ状態を確認することができた。以下の写真のとおりである。   
     
 
                  微小な幼虫を産み落とした有翅産性虫(腹側)
 有翅虫の腹は萎縮していて、既にないに等しい 
 
     
 
               イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 2  
 
     
 
   イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 3 
 翅芽が見えないから、無翅の産卵雌虫であろうか? 
 体長は0.5ミリほどである。
   イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 4  
 左の幼虫より小さな若い幼虫か? 雄虫は何処に?
 
     
 
                イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 5
 
すくすくと育って、体長は1ミリほどになっている。体の表面に見られる毛状のものは、透明なガラス管状の形態となっている。余分な体液を蒸散させる役割があるのかは未確認。コナラの葉裏で見られる幼虫と似ているが、こちらは無翅型である。雌雄は不明。
 
                イスノキ葉裏のヤノイスアブラムシの幼虫 6(腹側)
 腹側の様子である。幼虫をひっくり返そうとすると、口針(写真赤矢印)がしっかりと葉に食い込んでいて、簡単ではない。
 
     
K  雌は交尾後に芽の基部に産卵  
     
   ★1月下旬に観察個体のイスノキの葉裏を見ると、既に幼虫はまれに見られる程度であったが、成虫らしきものは確認できなかった。
 ★肝心の卵の存在であるが、極めて微小なもののようで、芽の基部を観察するも、残念ながら卵らしきものは確認できなかった。 肉眼で確認するのは難しそうである。
 
     
L  卵で越冬(以下繰り返し)   
     
     
<追記 1>   
     
U  イスノキエダコタマフシ及びその住人のイスノタマフシアブラムシ   
     
   イスノキの虫えいについては種類が多く、ふだんはその一部しか目にすることがなく、ごく一般的な存在であるイスノキハタマフシの印象が特に強い。このため、虫えいから有翅虫が脱出する時期については夏がふつうという思い込みがあったが、イスノキエダコタマフシイスノタマフシアブラムシ Monzenia globuli の場合は、秋に有翅虫が脱出することを最近知った。しかも、このアブラムシは前記のヤノイスアブラムシのように寄主転換はせず、周年イスノキで生活するという。日本原色虫えい図鑑ほかによれば、イスノキエダコタマフシ及びイスノタマフシアブラムシの生態は以下のとおりである。   
     
@  11月下旬から12月上旬に両性世代の雌が、イスノキの芽あるいは枝の基部に産卵。卵は暗緑色で、表面が微細な白色棒状のロウ物質で覆われる(卵期は約5カ月)   
     
A  4月末から5月初めに孵化。幹母1齢幼虫は、芽の基部に小さな虫えい原基(径0.3ミリ)を形成   
     
B  6月下旬に虫えい(径約1ミリ)の中で幹母成虫となり、7月初めに産仔を始める   
     
C  第2世代は8月末頃に成虫となり産仔を始める   
     
D  その後、虫えいは急速に肥大して、径11ミリくらいになる。虫えいは緑色で壁は薄くて柔らかい   
     
E  10月下旬に虫えいは裂開して、中から100〜120匹の有翅産性虫が出現   
     
 
   イスノキの芽の部位のイスノキエダコタマフシ
 イスノキでしばしば見られる虫えいで、イスノタマフシアブラムシが中で蠢いている。 (10月下旬)
        裂開したイスノキエダコタマフシ 
 ほとんどのアブラムシは脱出済みであるが、虫えいの外壁に赤褐色と暗褐色の小さなアブラムシが群れていて、1匹の有翅虫もとまっている。有翅虫は別種の印象があることから、これらは別物かもしれない。(11月上旬)
   
      イスノキエダコタマフシの断面
 イスノタマフシアブラムシの大小有翅幼虫と有翅成虫がひしめき合っている。(10月下旬)
       イスノキエダコタマフシの断面
 イスノタマフシアブラムシの有翅成虫のみが見える。通常はこの下に小さな幼虫も見られる。(11月上旬) 
 
     
 
 
 1個のイスノキエダコタマフシを割って取りだしたイスノタマフシアブラムシの有翅産性虫の集団   虫えいを冷凍状態にして割ったものである。そうでもしなければ、翅を持ったアブラムシが室内で拡散してとんでもないことになる。わずかに幼虫が見られる。(11月上旬) 
 
     
 
 
    イスノタマフシアブラムシの有翅産性虫 1      イスノタマフシアブラムシの有翅産性虫 2 
 
     
 
              イスノタマフシアブラムシの有翅型の幼虫など
 虫えい内で見られた幼虫ほかを取り出したものである。有翅型の幼虫としては成熟度により暗赤褐色〜淡橙色〜淡黄緑色のものが見られる。一方、無翅型の黒色の大小のアブラムシも見られる。黒色のものは複数見られることから幹母とも思えず、これが何なのかは未確認である。(11月上旬)  
 
     
 
   イスノタマフシアブラムシの有翅型の幼虫 1     イスノタマフシアブラムシの有翅型の幼虫 2  
   
   
   イスノタマフシアブラムシの有翅型の幼虫 3      イスノタマフシアブラムシの有翅型の幼虫 4  
   
   
  イスノタマフシアブラムシの無翅型の幼虫? 1   イスノタマフシアブラムシの無翅型の幼虫? 2(腹側)
   
  イスノタマフシアブラムシの無翅型の幼虫 3 ?      イスノタマフシアブラムシの幼虫? 4 ? 
 
     
F   有翅産性虫が葉裏に両性世代の無翅のを産下する
 このアブラムシは寄主を転換することなく、周年イスノキで生活し、1年4世代を重ねる
 
 
     
 
  有翅産性虫がイスノキの葉裏に産下した幼虫? 
  (11月上旬)
有翅産性虫がイスノキの葉裏に産下した幼虫? 
   
有翅産性虫がイスノキの葉裏に産下した幼虫? 有翅産性虫がイスノキの葉裏に産下した幼虫?(腹側)
 
     
   形態に違いのある上記2種が、有翅産性虫が産下した無翅の雄と雌なのであろうか? 参考書がなくて、断定できない。   
     
<追記 2: イスノキの謎のアブラムシ>   
     
    謎のアブラムシ その1 (10月上旬)  
 
   イスノキの梢端で見られたアブラムシ A-1
 わずかにイスノキハタマフシの古い虫えいが見られるイスノキの梢端でわずかに見られた有翅型のアブラムシ幼虫である。触角が長く、ヤノイスアブラムシやイスノタマフシアブラムシとは異なっているが、素性は不明である。 
   イスノキの梢端で見られたアブラムシ A-2 
 明らかな角状管尾片が確認できる点も、。前出の2種とは異なっている。
 
     
     
    謎のアブラムシ その2 ( 横浜市 鈴木さん撮影 )  
 
              イスノキエダコタマフシの表面のアブラムシ B-1 (10月下旬)
 裂開前のイスノキエダコタマフシの表面で群れていたというアブラムシである。よく見ると、触角は長く、明確な角状管と尾片を持った姿はイスノキの梢端で見られたアブラムシに似ている。
 虫えいの住人とは異種のアブラムシが、虫えいの外壁から吸汁しているように見える風景であるが、素性は未確認である。
 
     
 
  イスノキエダコタマフシの表面のアブラムシ B-2
 この虫えいでは有翅型の成虫が見られる。
(11月上旬)
  イスノキエダコタマフシの表面のアブラムシ B-3 
 成虫はやはりヤノイスアブラムシやイスノタマフシアブラムシと異なって、翅のたたみ方が異なっている。 
 
     
 謎のアブラムシ その3    
 イスノキの葉裏(成葉)でヤノイスアブラムシの観察をしていた際に、径1ミリほどのカルデラ状の微少な穴が見られ、顕微鏡で中をのぞき込むと、小さな虫の腹節らしきものが見られた。住人を掻き出すと、暗赤褐色の正体不明のアブラムシが2匹登場した。
 イスノキの葉に開放系の虫えいをつくるアブラムシの一種ということなのであろうか・・・ (12月上旬)

【2020.4 追記】

 後の学習から、このアブラムシはヤノイスアブラムシの幹母幼虫が春先にイスノキの葉裏で虫えいを作ろうとして、何らかの理由で失敗し、12月に至ったものと推定される。通常は1匹の幹母幼虫が1つの虫えいを形成するが、2匹見られたのは不思議である。、
 
 
    イスノキの葉裏の微少な虫えいか? 
 → ヤノイスアブラムシが虫えいの形成に失敗した例に違いない。孔が閉鎖せずに、茶褐色となっている。 
    左の虫えいの中のアブラムシ(種名不明) 
  → 間違いなく、ヤノイスアブラムシの幹母である。