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続々・樹の散歩道
  白い果実探し


 前から気づいていたことであるが、白色の果実というものがそもそも非常に少ないことを不思議に感じていた。思い浮かべてみると、赤い果実が圧倒的に多いように思われる。小動物や鳥に果実を食べてもらって種子を運んでもらうには、たぶん赤色は最もアピールできる色なのであろうことは想像できる。あるい黒紫色の果実であっても果柄等が赤くて、2色効果でアピールするケースも見られる。こうしたことを念頭に置くと、突然変異由来の園芸品種は別にして、白い果実とは奇妙な選択である。白い果実に惹かれる鳥がいるのかはわからないが、ひょっとして何ら戦略もなく、成り行きでこうなっているのかも知れない。このことを考えてもよくわからないから、頭に浮かんだ白い果実をリストアップして遊んでみることにする。 【2020.3】 


 (白色の果実)  
    セッコウボク(雪晃木)
スイカズラ科セッコウボク属の落葉低木
Symphoricarpos albus
       スズメウリ 
ウリ科スズメウリ属のつる性1年草
Melothria japonica
        アマメシバ
トウダイグサ科アマメシバ属の常緑低木 Sauropus androgynus 
     
   
     シロミノコムラサキ
クマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木 Callicarpa dichotoma var. albi-fructus 
        ノブドウ
ブドウ科ノブドウ属のつる性落葉低木
Ampelopsis glandulosa var. heterophylla白実のほか多様な色の果実が見られる。 
   クロランサス・エラチオール
センリョウ科チャラン属の亜低木 
Chloranthus elatior
     
      クサスギカズラ 
キジカクシ科クサスギカズラ属の多年草
Asparagus cochinchinensis 
生薬名は天門冬(てんもんどう)。黒い果実が透けて見えるため、果実の色を汚白色と表現することもある。
      シロミノマンリョウ
ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木
Ardisia crenata f. leucocarpa
果実が黄熟するキミノマンリョウ f. xanthocarpa も見られる。
   タマゴナス(観賞用白なす)
ナス科ナス属の常緑亜低木 
Solanum melongena var. pumilio
これは食用の白なではなくて、観賞用の矮性白ナスである。成熟すると黄色くなってしまう。「たまごのなる木」の名前で販売されている例もある。
     
 
       フッキソウ
ツゲ科フッキソウ属の常緑亜低木
Pachysandra terminalis 
2本の角状のものは、残った花柱である。
  シロミナンテン(シロナンテン)
メギ科ナンテン属の常緑低木
Nandina domestica  'Shironanten'
果実は淡黄色であるが、シロミナンテンと呼ばれてきた。
       シロマユミ
ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木
Euonymus sieboldianus cv. 
マユミの白実品種である。
     
 
    イズセンリョウ(雄花)
ヤブコウジ科イズセンリョウ属の常緑低木 Maesa japonica 
果実は乳白色に熟すとされる。雌雄異株で、植栽例は少ない。この果実は残念ながら未撮影。
 ゴーテリア・ムクロナタ(真珠の木) の果実
 南米原産のツツジ科シラタマノキ属の常緑低木 Gaulthe mucronata これは北海道の(株)羊蹄フラワーがハッピーベリーの名で販売。ピンク果実もある。旧属名のペルネティアの名でも呼ばれている。シラタマノキやチェッカーベリーのお仲間である。 
         白なす
 ナス科ナス属の多年草 Solanum melongena (国内では1年草扱い)
 ナスの食用栽培品種で、写真は東京日野産の販売品。
 
 
   白い果実として、ついつい「白いちご」を頭に浮かべてしまうが、植物大好きおばさんの前でこんなことを口にしたら、待ってましたとばかりに、上から目線で厳しい指導を受けることになる。イチゴの食用となる赤い部分は果実そのものではなく、植物としては「花托」に相当する部分なのだそうで、果実はタネのような赤いつぶつぶの一つ一つが該当するという。   
     
 その他に自前の写真はなく、この場には並んでいないがシラタマノキセイヨウヤドリギなども頭に浮かぶものの、やはり数が少なくて寂しいため、以下に白い種子についても登場願うことにした。  
 
    (白色の種子)  
     ナンキンハゼの種子
トウダイグサ科ナンキンハゼ属の落葉高木 Triadica sebifera
種皮が真っ白な蝋状物質の仮種皮で覆われていて美しく、脂肪に富んでいて、鳥が食べる。
     ミヤマシキミの種子
ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木
Skimmia japonica 
核は艶のある乳白色で美しい。
   シロハナマメ(白花豆)
マメ科インゲン属のつる性一年草作物 Phaseolus coccineus 
花も白色で、主に北海道で生産されている。甘納豆が食べたくなる。
     
       センリョウの核
センリョウ科センリョウ属の常緑小低木
Chloranthus glaber 
核は直径3〜4ミリ。
      マンリョウの核
ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木
Ardisia crenata 
核は直径5〜6ミリで、手まりのような模様が美しい。
      イチョウの銀杏
イチョウ科イチョウ属の落葉高木
Ginkgo biloba
くさい外種皮を除いた中種皮は白色で、ふつう2稜がある。 
     
   
     エゴマの種子(白種子)
シソ科シソ属の一年生作物
Perilla frutescens var. frutescens
白エゴマの名もあるが、暗色の黒種子(黒エゴマ)対して相対的に白いということなのであろう。あまり白くなく、客観的に言えば淡褐色である。