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続・樹の散歩道 森のソーセージを食する
ここで「森のソーセージ」と呼んだものは、見たことのある人ならすぐにピンと来るであろう「ツチアケビ」のことである。この名称はもちろん、つる性のアケビの果実をイメージしたことによるものであるが、その形態や色合いは、むしろタコウィンナーに利用される日本固有の(決して上質ではない)真っ赤なウィンナーソーセージといった風情である。どこにでも生育するものではないようであり、今までに2回だけ見たことがある。森の中で突然このミステリアスな植物体に遭遇すれば、誰もがしばらくの間は目が釘付けとなることは間違いない。「朝日百科
植物の世界」でも見開き2ページにわたる巨大な写真が掲載されていて、編集者も読者と驚きを共有したかったに違いない。 何とも奇妙で興味深いツチアケビであるが、調べてみると面白い性質があることを知った。 【2013.11】 |
1 | ツチアケビの様子 | |||||||||||
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ウィンナーソーセージが見事に鈴なりにぶら下がっていた。それほどごつい躯体ではないのに、これだけの重さに耐えていることが不思議なくらいである。 赤い果実は小ぶりのサツマイモのようでもある。別名のヤマトウガラシの名は、赤いトウガラシに見立てたものである。他にヤマノカミノシャクジョウ、ヤマシャクジョウ、キツネノシャクジョウの名もあって、これは果実が多数ぶら下がった様子を、修験者の錫杖(しゃくじょう)に例えたものである。 |
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2 | 図鑑での説明事例(抄) | |||||||||||
野にある植物とは全く異質で、葉が見られないし、かといってキノコとも全く違っているし、見ただけではこれをどう理解してよいのかさっぱりわからない。図鑑等には次のように説明されている。 | ||||||||||||
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3 | 薬用としてのツチアケビ やはり、珍奇なものは何か効用がありそうな気持ちにさせるのであろうか。薬学的な知見・講釈は目にしないし、一般性をもった漢方処方としては認知度が低い印象であるが、民間薬としては案外広く知られていた模様で、広辞苑にまで、その〝興味深い薬効〟について記されている。 |
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現に乾燥品が非常に高い値段で販売されている例もあり、また効果を信じて焼酎漬けにして楽しんでいる例もあるようである。やはり、「強壮・強精」の語を目にすると、弱い人は強くなりたいと考え、また強い人はさらに強くなりたいとの欲望を抱くのであろう。ただし、残念ながら実際の効果に関する詳細な体験的レポートは目にしない。 | ||||||||||||
4 | ツチアケビの試食 この奇妙な果実の最も興味深い点は、もちろん糖度が高いとされること及び強精効果が謳われていることである。強精はともかく、〝スイカ並み〟とされる甘さだけは是非とも体験してみなければならない。 |
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試食結果: 丸かじりする元気はないから、果実の一部の果皮を取り除いて、おそるおそるその様子を見てみた。 水気が多い内部はスイカのような質感で、さらに小さな暗褐色の翼のある平たく丸い種子がグチャグチャに入り組んでいる。また、困ったことには奇妙な臭いが鼻を突いた。決してどぎついものではないが、やはり不快臭の一種である。この臭いは食欲を減退させるには十分で、多数の種子まで気持ち悪いものに見えてきてしまい、先程までは旺盛であった探求心がやや萎えてしまった。しかしせっかくでもあり、思い切って水気の多い果実の中味を口に含んでみた。 やや甘く感じるが、まずい!! ついでにウリのような質感の果皮も口にしてみたが、甘さは弱く、人の食べ物とはならない!! 二度と口にすることはないであろう。 |
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5 | 参考: オニクのはなし ツチアケビで遊んでいて、「オニク」のことを思い出した。この植物についても名前を聞いてピンと来る人が必ずいるはずである。それもそのはず、この植物もツチアケビと同様に珍奇な存在で、ピンピン効果が知られている。 かつて知り合いがオニクを漬けた焼酎をもったいぶりながら振る舞ってくれたことがあった。瓶の底には暗色の棒状の奇妙なものが沈んでいて、これが希少なもので、昔から強精効果が知られているとの講釈を聞いた上で飲んでみた。 その場には妻帯者と独身者が数人居合わせていて、自覚できる効果がみられた場合は情報交換する手はずとなっていた。その時は興味と期待で随分盛り上がったものの、残念ながら、翌日以降に効果を物語る興味深いレポートは全く聞くことがなかった。ということで、この手のものはよくわからない。 実は、オニクは先のツチアケビよりも漢方として認知度が高く、成分についても知見があるから面白そうな存在である。しかし、強精効果を謳うものは、総論的には即効性を期待するのは無理であり、長く服用しなければだめであるとか、元々精力旺盛な人が欲を出しても効果は期待できないとか、真相は闇の中である。ひょっとして、腎虚寸前の患者なら効果がみられるのかも知れないが、遅効性では手遅れになる可能性もある。先入観に満ちた個人的な感覚では、植物系よりもマムシやスッポンのような動物系の方が即効性がありそうな気がしてならない。 いずれにしても、こうした精力剤は毛生え薬と並んで、とりわけ事業者にとっては魅力ある市場として永遠に存在し続けるのであろう。 |
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