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ソクズのあらまし |
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本種は図鑑では「人家の付近」あるいは「山里の民家近く」に生えるとして一般に説明されていて、一見どこにでもありそうな雑草といった印象であるが、こうした旧来の条件に値する環境が既に失われてきたのか、定番の複数の図鑑でも撮影場所として薬用植物園にお世話になっているのを確認した。ということで、自分も同様で、結果として複数の薬用植物園にお世話になっている。 |
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花期のソクズの花序の様子
ガマズミ科(旧 スイカズラ科→レンプクソウ科)ニワトコ属の多年草 。
Sambucus chinensis 別名クサニワトコ。
蜜を分泌する黄色の腺体がよく目立つ。中国から薬用に入れたものが野生化したものとする見解が支配的。中国名は接骨草、蒴藋(さくだく、さくちょう) などがある。接骨草の名は、木本のニワトコ(中国名 接骨木)に似ることによる。ソクズの全草又は根を乾燥したものが中薬の「蒴藋」、「接骨草」、で、漢方では「蒴藋」の名を踏襲している。中薬ではリウマチによる疼痛、腎炎水腫、脚気浮腫、痢疾、黄疸、慢性気管炎、風疹瘙痒、丹毒、瘡腫、打撲、骨折を治す(中薬大辞典)としていて、漢方ではリウマチや腫れものに浴用とし、煎じて洗浄用とする(日本の野生植物)という。
なお、和名に関しては諸説を目にするが、中国名の蒴藋(さくだく)の字音より転化したものとする説が広く受け入れられている。 |
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花期のソクズの様子
高さは1.5メートルほどにもなるが、中国植物誌では1-2m、中薬大事典では3mに達するとしている。 |
ソクズの葉の様子
葉は5~7小葉からなる。 |
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多数の白い小さな花だけの大型草本としてはセリ科の退屈な花が思い浮かぶが、ソクズの場合は花序に点在する黄色の蜜腺体がアクセントになっていて、よーく見れば美しく、個人的には好きな野草の一つである。しかし、背丈を超す高さがあるため、引き寄せないと花を観察できない。
ソクズでは、蜜を出す腺体が個々の花とは別に存在することから、時に「花外蜜腺」とみなしていることがあるが、花序内の花の分業化した存在であることから、花外蜜腺の語で括ることには違和感がある。 |
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ソクズの花と蜜腺体 1
花冠は5裂し、雄しべは5個、雌しべは1個で頭状。個々の花には蜜はなく、黄色の杯状の蜜腺体(腺体)にタップリ蜜を貯める。 |
ソクズの花と蜜腺体 2
蜜腺体は厚手のボウル型とも表現でき、魅惑の蜜が盛り上がっているのがふつうであった。 |
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ソクズの花と蜜腺体 3 |
ソクズの蜜腺体 |
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ソクズの蜜壺(蜜腺体)を訪れたお客さん(昆虫)たちの例 |
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ソクズの蜜腺体は魅力的な存在であることから、さまざまな虫が訪れていて、以下はその例である。誰が最も送受粉に貢献しているのかはよくわからない。 |
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クロヤマアリ |
ツマグロヒョウモン |
アオスジアゲハ |
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ハエの仲間 |
ハチの仲間 |
クマバチ |
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ソクズの戦略は成功しているのか |
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ソクズの花序では、個々の花では蜜をもたず、パラパラと存在する黄色い腺体にその役割を委ねているわけであるが、個々の花に蜜腺をもつよりも総体として負担軽減になっているのかも知れない。しかし、この仕組みでは個々の花が確実に受粉するのは難しいであろうことは容易に想像できる。以下の写真は結実の様子である。 |
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ソクズの結実した果実(核果)の様子 1
結実率は高くないことがわかる。 |
ソクズの結実した果実(核果)の様子 2
役割を終えた蜜腺体は黄色の色合いを失っているが、そのまましっかり残っている。 |
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一方、既に知られていることとして、ソクズは地下茎をひいて繁殖する栄養繁殖をしっかり行っているという事実がある。言わば、種子繁殖との両面作戦である。実際に種子が繁殖にどの程度貢献しているのかは確認できないが、できる限り多くの実をつけなければ一族の繁栄を確保できないということでもなさそうである。ごくわずかな種子を生産するのならともかく、仮にほとんど全ての花を結実させたら、却って負担が大きすぎるようにも思われる。たぶん、結実のためにそんなに踏ん張る必要はないのであろう。ソクズの現在の繁殖様式は自らが“総合勘案”した適応なのであろうが、この選択が本当に合理的・効率的なのかを客観的に評価するなどはやはり難しい話である。ただ、植物のさまざま適応の様子、努力振りを観察するのは実に楽しいことである。 |
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<比較用:ニワトコの花と結実の様子> |
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ニワトコの花
ニワトコはソクズと同様ガマズミ科ニワトコ属で、花もよく似ているが、雌しべの柱頭が暗紫色である点が異なる。 |
ニワトコの果実
ニワトコは別途蜜腺体をもたないが、結実はソクズに比べるとはるかに良好である。 |
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