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豊かな土壌昆虫ワールドの住人の例 |
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植木鉢の土の表面で見られる小さな虫は、見た範囲では有機質分を含んだ湿った土が大好きなようである。肉眼で簡単に確認できたのはトビムシ類と思われるもの(以下トビムシと呼ぶ)とササラダニ類と思われるもの(以下ササラダニと呼ぶ。)である。目を凝らして見ると、とにかくこの二種がウジャウジャいた! |
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トビムシ 1 |
トビムシ 2 |
トビムシ 3 |
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ササラダニ 1 |
ササラダニ 2 |
ササラダニ 3 |
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袋入りの園芸土のみを使用しているにもかかわらず、基本的には閉鎖空間であるはずの室内の植木鉢で、多数の土壌昆虫が蠢いているのは不思議なことである。森林土壌であれば、目が眩むほどの多様で多数の土壌昆虫を確認できるはずであるが、室内でこういった状態となるのは信じ難いことである。 |
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薄気味悪い土壌センチュウ |
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ナギの種子の発芽試験をしていたところ、一部露出した状態の種子の様子が少々おかしいため、取り出してみたところ、割れた種皮の下に薄気味悪いセンチュウがウジャウジャ蠢いているのを確認した。種子の胚乳部が腐り始めていて、このセンチュウの仕業なのか、腐食質が好きなのかはよくわからない。センチュウの種類など確認しようがないが、伸びた状態で5ミリほどある。
種子に取り付いていたことから、凶悪な植物寄生性のセンチュウの可能性も否定できない。恐怖のアニサキスを連想してしまって、あー気持ち悪い!! |
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3 |
憎きコバエ |
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コバエはもちろん土壌昆虫ではないが、湿った有機質を含む土壌が発生源となる種類が存在するということである。室内の植木鉢で発生するのは主としてキノコバエであろうといわれている。これは非常にタチが悪く、食べ物や人の顔にもまとわりつくから非常に嫌われる。湿ったところが好きなためか、鼻の穴にも侵入しようとする行動はまったく許せない。そこで、コバエ退治の薬剤を色々試してみたが、据え置きの誘引殺虫タイプ2種はコバエの種類が不適合であったのかほとんど効果なしであった。別にスプレータイプも試してみたところ、価格が少々高いのが難であったが、わずかな噴霧で大量のコバエを一気に撃墜するのに成功した。本当は土壌にかけるタイプのほうが予防・根絶効果を期待できるようであるが、ささやかな栽培であることから見合わせた。
注:確信はないが,以下の写真はとりあえずはキノコバエと信じることにする。 |
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キノコバエ 1 |
キノコバエ 2 |
キノコバエ 3
クロバネキノコバエの一種か? |
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有効成分がトランスフルトリン、フタルスリンとある。
キノコバエが飛び回っている方向に向けてわずかにスプレーし、しばらくしてから様子を見ると、鉢の外に悶死したキノコバエをわんさか見ることができる。揮発性の殺虫成分のようであり、人体への影響が心配になるほどの強烈な効き目である。 |
試した殺虫剤の外観
アース製薬製で、「1プッシュでコバエがいなくなる!コバエがコロリ」とある。 |
製品の説明書き
適用害虫はショウジョウバエ、チョウバエ、キノコバエ等のコバエとある。コバエにも色々な種類がいることがわかる。 |
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土壌昆虫やコバエの発生を根絶するには |
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直ちに結論を出すことはできないが、大量のコバエやトビムシの発生は、百均の土に原因があるような気がしてきた。つまり、元々生息・繁殖条件が整うことを期待していた大量の卵が土の中に含まれていたのではないかという疑念を持つに至ったのである。純粋の無機質の土であったり、高温殺菌された土であればこんな事態を招くことはないのではないかと思えるからである。つまり土の選択が重要なカギとなっているのではないだろうか。
コバエとトビムシを比較すると、コバエは人にとっては直接的な不快虫であるが、トビムシなどの土壌昆虫は、考えてみれば植物に直接害を与える種類のセンチュウなどとは異なり、一般的には有害なものではさそうである。つまり、土壌の生態系を形成する穏やかな一員であろう。従って、土壌中のトビムシなどは特に根絶するためにエネルギーを投入する必要はなさそうである。
ということで、課題はうっとうしいコバエである。安物の園芸土にコバエの卵が大量に含まれているのか否かが特に重要な問題である。 |
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コバエとトビムシの発生試験 |
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手元にある次の4種類の園芸土をそれぞれヨーグルトカップに入れ、水を加えてプラスチック板でフタをして密閉し、様子を観察することにした。これで虫が発生したら、正真正銘の虫の卵入り特製園芸土ということになる。
2週間経過を見た結果は以下のとおりである。厳密な試験ではないが、むしろ発生が少なかったことが驚きであり、この件に関する科学的な詳細は不明である。(注:本当は準備できるのであれば、出来の良いシャーレを使用した方がよい。) |
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区分 |
商品名 |
扱い・生産国 |
主な配合原料名 |
結果 |
備考 |
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花の土 |
ダイソー・日本 |
ココピート、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、堆肥、赤土、くん炭 |
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バーク堆肥、汚泥の使用はないとしている。 |
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野菜の土 |
ダイソー・日本 |
ココピート、バーミキュライト、パーライト、ピートモス、堆肥、赤土、くん炭 |
わずかなトビムシを確認 |
バーク堆肥、汚泥の使用はないとしている。 |
3 |
かるーい花と野菜の元肥入培養土 |
ダイソー・日本 |
ココヤシピート、クリンカアッシュ
(Clinker ash) |
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4 |
肥料入り培養土 |
キャンドゥ・日本 |
*原料表示なし |
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<参考:世界大百科事典(抄)> |
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① |
トビムシ(跳虫) spring‐tail
トビムシ目 Collembola に属する昆虫の総称。おもな栄養源は、植物質、腐植質、菌糸、胞子で、落葉の中や湿った腐植土に多いが、生活圏は広く、草原、樹上、洞窟の奥、シロアリやアリの巣内、水面、雪上、雪渓や氷河の上にすら見いだされる。第4腹節にある跳躍器 furca(叉状(さじよう)突起)と呼ばれる器官の筋肉が収縮すると、腹面に曲げ込まれた跳躍器は、勢いよく後方にのび、その瞬間激しく地面をたたく。このひとたたきで、体長の100倍程度の距離までも跳べる。この種の運動器官は、他の昆虫はもちろん、近縁の動物にも見当たらない。もっとも地中でくらすトビムシでは跳躍器は退縮している。
一時に大量に現れ、農作物の苗や新芽に大害を与えることもある。
【日本分類学会連合】トビムシ目は国内で380種が確認されている。 |
② |
ササラダニ(簓蜱) oribatid mites
蛛形(ちゆけい)綱(クモ綱)ダニ目ササラダニ亜目 Oribatei(Oribatida、Cryptostigmata)に属する自活性の節足動物の総称。体長0.3~1.5mm、褐色~黒色で甲虫のように堅い表皮に覆われるものが多い。おもに土、落葉、コケの中にすみ、植物質の腐りかけたものを食べ、生態系の中で分解者の重要な役割を果たす。 |
③ |
キノコバエ fungus gnat
双翅目長角亜目キノコバエ科 Mycetophilidae に属する昆虫の総称。幼虫期に大部分の種がキノコに寄生するのでこの名がある。小型ないし中型、脚は細長く繊細。触角は数珠状。単眼は存在する。翅は発達したものから痕跡的なものまであり、翅脈は単純。成虫は、森林、洞穴の入口、倒木や岩の下など湿気の多い、うす暗いところに生息する。温暖な地方では、一年中どれかの種が出現する。世界で約2000種知られているが、日本では150種くらい記録があるのみで、生態などもほとんど不明である。幼虫は、キノコに寄生し、主として傘部に侵入する。湿った土や落葉下、木材の中などに生息する種もある。ナカモンキノコバエは、シイタケなど10種類以上のキノコから発生した記録がある。本種のほかにも、ホソキノコバエ類など食用キノコの害虫として知られているものもある。キノコの寿命が短いことから、幼虫の発育は早く、約1週間で老熟して蛹化(ようか)する。 |
④ |
センチュウ(線虫) nematode
ネマトーダとも。線形動物門 Nematoda を構成する無脊椎動物の総称。土壌中では、原生動物を除くと、動物としてはもっとも個体数が多く、また動植物の体内、海洋、河川、湖沼にも分布し、凍土から温泉まで、ほぼ生物が生存できるすべての場所に広く分布している。生活様式も多様で、動植物に寄生する寄生性から、自活性で腐植質やそこに繁殖する微生物を食べる腐生性、他のセンチュウその他の微小生物を食べる捕食性などがある。
植物寄生性センチュウにはシダ類など下等植物に寄生する種類もあるが、各種の農作物に寄生して被害をもたらすものが多数含まれる。
自活性センチュウの多くは、他の微小生物と複雑にからみ合いながら土壌中での有機物分解過程の一端を担っており、土壌の肥沃度や通気性、保水力など農業上重要な諸性質を維持、改良していくうえで大きな役割を果たしている。
植物寄生性センチュウには農林業上重要な種類が数百種含まれ、そのほとんどは生活史の一部または全部を土壌中で過ごす。大さじいっぱいくらいの土壌からしばしば数百~数千のセンチュウが分離されるが、この中には腐生性、捕食性、植物寄生性など各種のセンチュウが混じっている。植物寄生性センチュウは大きくても数 mm、ふつうは1mm以下なので、識別には顕微鏡が必要であるが、口針をもっているので比較的容易に見分けられる。センチュウはこの口針によって植物の組織に侵入したり、汁液を吸収したりする。寄生部位は芽、葉、茎、根、球根、いも、種子などさまざまで、外部から吸汁するもの、内部に侵入するもの、組織の内外を移動するもの、定着するものと寄生のしかたも多様である。 |
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【2018.4 追記: ホシはキノコバエの幼虫か? 】 |
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小さなポットにイイギリの種子を取り播きして、芽生えの様子を観察しようともくろんでいたのであるが、小さな双葉が多数出てもすべて茎が切れて全滅する事態となった。土に接した葉も食べられていた。そこで、よーく見てみると、小さな幼虫が蠢いているのが確認された。調べてみると、キノコバエの幼虫と思われる。うっとうしいキノコバエは、幼虫のときから悪さをしているようである。 |
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イイギリの芽生え |
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イイギリの芽生え 1 |
イイギリの芽生え 2 |
イイギリの芽生え 3 |
イイギリの芽生え 4 |
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イイギリは大きな樹となり、赤い果実をタップリつけるとヒヨドリがこれを食べるために鈴生りとなっている姿はお馴染みである。種子は2ミリほどで小さく、芽生えの双葉も非常に小さい。キノコバエの幼虫の仕業で、これから先の姿を確認することができなかった。 |
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イイギリの芽生えを全滅させた犯人 |
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キノコバエの幼虫 1
体長は3~4ミリほど(伸縮する)であるが、内蔵が完全に透けて見え、しかもその各部が微妙に自律運動をしているのが確認でき、憎たらしい存在であるが、教育用の素材としたら面白そうである。
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キノコバエの幼虫 2
頭部の側の部分である。 |
キノコバエの幼虫 3
尾部の側の部分である。 |
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キノコバエの蛹 1 |
キノコバエの蛹 2
左の蛹との色の違いは成熟度の違いによるものと思われる。 |
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【2021.5 追記: トビムシの「跳躍器」の様子】 |
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先に登場したトビムシに関して、肝心な「飛ぶ」器官である「跳躍器」の確認ができていなかったことから、その様子を観察してみることにした。
トビムシは一般に腹部に折りたたんだ跳躍器を使って、ピョーンと飛ぶことからこの名があるが、種によっては跳躍器をもたないものもあるという。
また、トビムシは土壌中で有機物(腐植)や菌類を食して良好な土壌環境の形成に貢献している模様であるが、種によっては住環境で突然増殖して、不快虫としても認知されている。植木鉢の中のトビムシであれば大城半分に観察の対象とすることができるが、住宅内でこんなものが大発生したら、家族が悲鳴を上げるに違いない。 |
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トビムシの跳躍器の様子 1 (背面)
トビムシが跳躍器を後方に伸ばした状態である。普段はこれを腹部にたたみ込んでいて、危険が及ぶと一気に後方に伸ばして体を飛ばす。跳躍器には細かい毛があり、先端は二股に割れている。
脚が不自然な状態となっているのは、逃亡を防ぐために粘着テープで拘束していることによる。 |
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トビムシの跳躍器の様子 2 (腹面)
トビムシを腹側から見たもので、跳躍器を腹側にピッタリと折り込んでいる。 |
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トビムシの跳躍器の様子 3 (腹面)
腹部には縦方向に幅広の溝があり、普段は跳躍器がこの凹みに収まっているものと思われる。 |
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トビムシの跳躍器の様子 4 (側面)
跳躍器の中央部が少々曲がっていることから、ここに節があるようである。跳躍時に爆発的に地面を叩き付けることや、収納のし易さの両面で合理性があるように思われる。 |
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トビムシの跳躍器の様子 5 (側面)
この状態で、跳躍器の先端部が上向きに反り返っているということは、地面に叩き付ける際には、二股になって広がった先端部の形態と相まって、地面を確実にグリップすることに効果を発揮しているように見える。 |
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トビムシの跳躍器の様子 6 (側面)
跳躍器がまっすぐ後ろに伸びた状態である。頭部がややこちら向き、下向きとなっている。 |
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