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樹の散歩道
 森の贈り物 突然の極上ぷるぷるゼリー・デザート


 クヌギの木をふと見上げると、小枝に目にも鮮やかなオレンジ色の謎の物体が付着している。よく見るとしっとりしていて実にみずみずしく、そのきれいな色と相まって食欲をそそられる。つついてみればぷよぷよとしていい食感を予想させ、思わず気持ちが高ぶってしまった。これは極上の森の贈り物に違いないとの確信に至った。【2010.5】


 というのは冗談で、本当を言うと、色は素直に美しいと感じたが、別項でも採り上げた石クラゲ(参照)の親戚と思わせるような不気味な印象で、謎のぶよぶよ生命体の再来を思わせる風情である。しかし、白い器に盛り、それだけを見たら、間違いなく思わず舌なめずりしたくなる高級デザートと化すであろう。で、本当にやってみた。
輝く色彩と、みずみずしいぷるぷる感!!
この写真を見て生唾の出ない人はいないであろう。
 試みとして、以下のとおり、印象が似たものとしてみかんゼリーとマンゴープリンで挟み撃ちにしてみた。しかし、ぷるぷる君は一向に動じることなく、余裕綽々で、その魅力では全く引けを取らなかった。
    みかんゼリー
    森の贈り物
    マンゴープリン
 さて、このぷるぷる君の素性であるが、アカキクラゲ科アカキクラゲは針葉樹に付くというから対象外で、シロキクラゲ科のコガネニカワタケは広葉樹に付くというが、色も形態も違うような・・・今ひとつ自信が持てない。図鑑の写真の印象では,アカキクラゲそのものであるが、実際に付いていたのはクヌギクリであったから、やはり違うのであろう。また、名前の確認とあわせて美味しい食べ方も知りたいが、絞り込みができないと調べるにも支障がある。特に香りはなく、多分毒はないであろうが、ほとんど水であるから味もなく、固有の食感だけなのかもしれない。

 先に採り上げた石クラゲ(イシクラゲ)の場合は食用になることを知ったが、こちらのぷるぷる君は乾燥すると、体積はほとんどゼロとなり、わずかに膠質のカスを残すだけであるから、乾燥利用は考えられない。となると、ゼリーそのものの味が問題となるが、残念ながら試食する勇気は全くないため、どなたかのレポートに期待したい。

 石クラゲの膨張率も恐るべきものであったが、こちらはそれ以上かも知れない。雨上がり直後に採取したものを乾燥し、再び水分を与えたところ、しっかり復元するのを確認した。恐るべき生命体である。
クヌギの枝に付着した状態。点状に存在する形態も見られた。
採取して室内で乾燥した状態。カスが付いているとしか見えないため、この状態では存在を認知できない。 水を与えてやると、再び膨潤して元どおりの姿となった。
 具体的な講釈は困難であるため、とりあえずは、顕微鏡写真を添えて、同定のための資料として残すことにして、本件は捜査を終了することとしたい。