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樹の散歩道 平成おかき・あられ・せんべい事情 日本の伝統の米菓の外観、原料、添加物のいま
日本伝統のおかき(かき餅)、あられ、せんべい(煎餅)は以前から大好きで、この嗜好に全く変化はない。(実は、かつては大嫌いであったあんこ系和菓子も、いつの間にか大好きになってしまって、例えば「赤福」のしっとりしたあんこを想像しただけで生唾が出てしまう。)ただし、最近は購入に際しては原材料表示を見る癖がついて、ただの1点のみ、でんぷんが増量剤として使用されているものだけを避けるように注意している。その他特に神経質になっている点はないが、近年、原材料表記の “ある変化” と店の陳列棚で目にする商品の動向に関して、少々気になることがある。 【2012.7】 |
* ここでは水稲餅米、うるち米原料の製品を対象とし、したがって小麦粉、デンプン原料の製品は扱わない。 |
原材料表示から、明らかにデンプンを増量剤として使用していることがわかる製品を避ける理由は、その製品が比較的安くても、米や餅米の本来の食感や味覚が犠牲になっているからである。あとは原料米が外国産であっても決して選別の直接的な基準としていないが、ただ近年輸入原料(米)に依存した製品が増えてきた印象がある。さらに、以前から気付いていたことであるが、この実に日本的であるはずの米菓の「製品」自体が輸入されていて、百円ショップではごく普通の存在と化していて、その品数も間違いなく増えている現実がある。またしても、国内の中小事業者が過酷な低価格化競争に晒されている実態が肌で感じられ、先行きに不安を覚える。 とりあえず、以下に改めて楽しみながら検分した製品を並べてみる。こうして並べただけでその魅力的な色合いにうっとりしてしまう。そして、こうした製品が間違いなく永遠に不滅であることが確信出来る。 |
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1 | こだわり系の製品例 | ||||||||||||||||
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2 | 米菓大手等の量産普及系製品例 | ||||||||||||||||
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3 | 低価格系の製品例(百均) | ||||||||||||||||
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4 | 3系統の総論的感想 | ||||||||||||||||
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残念ながら、自分はこれら製品の素材の違いを味で明確に識別する能力は持ち合わせていないことを自覚しており、ほとんどの人も同様と思われる実態の中で、結局のところ、多くの消費者は価格と味を総合勘案して普段の商品を選択しているのであろう。 もちろん、身近なところにも百均の中国製の菓子を怖がって絶対に買わないと宣言している者が確かにいる。しかし、個人的には特に気にならないし、実はしょっちゅう食べている。もちろんある日、驚愕の事実が明らかにされる危険性はゼロではないと思われるが、それは国産でも同じことである。 米菓を巡るっては、グチャグチャに複雑となっているコメ問題に由来する悩ましい問題が存在する。米菓生産者が願うのは、一定の品質が確保されたコメが妥当な価格で円滑にいつでも必要量が確保できることであると思われる。製品の質で差別化を図るのであれば、本来はこの条件の下での話であろう。ゴタゴタしている間に、日本の大手の米菓生産者が国外で積極的に製品を生産して国内に大量に持ち込めば、国内の中小事業者は壊滅状態に陥る恐れを感じる。 あるデパートで出張販売していた新潟の生産者は、原料にこだわり、新しい味の製品開発にも努めているのは、自分たちの生き残りをかけているということなのだと説明してくれた言葉が印象的であった。 |
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5 | 関心事項メモ | ||||||||||||||||
@ | 醤油系の魅惑の照りについて 素人考えでも照りを出すためには、醤油(たまり醤油など)、みりん、糖類を使えば効果が期待できそうで、実際の製品の原材料もこれらが列挙されている。ただし、Oの製品で、光沢剤が使用されているのを確認した。ワックス系なのかは不明で、べたつき防止の機能も考えられるが、味は良くても余分な印象がある。 |
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A | 醤油系の深い色について 照りと一体の深い色合いに関して、醤油だけで色を出すより、着色料を補助的に使うことで自由自在に色調整ができるのであろう。カラメル色素、パプリカ色素等は広く使用されているのを確認した。色に魅力を感じていた立場からすると、いかにも残念なことである。 |
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B | サラダ味について 餅米系の揚げ餅は多分本当に揚げていると思われるが、サラダ味の方は焼き上げた直後にサラダ油と塩・調味料を掛けているのだという。サラダ塩味の「ぽんせん」や沖縄の「塩せんべい」と同様の仕上げである。要は油っ気がないと塩や調味料が付着しないのである。サラダ味(塩味)の名の由来は、サラダ油に由来するものと説明されていて、激安パーム油の使用も確認できることがあるが、植物油脂の名に隠れて、個々には確認できない。 なお、パーム油は飽和脂肪酸が多く、一部に危険性を指摘する声があるが、価格が安いため各種食品や工業原料として広く大量に利用されている。かつて米軍が日本の一般市民を焼き殺し、木造が主体の住居を焼き尽くすために開発し、大量に使用した焼夷弾はパーム油と粗製ガソリン等が原料であったことが知られている。パーム油が悪魔の所業に等しい戦争犯罪に使用された歴史的事実である。 |
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C | 増粘剤、糊料について 加工デンプンが増粘剤として、プルランが糊料として広く使用されている。これらは想像するに、調味料を含んだ醤油ダレの付着性を高めるために使用されているものと思われる。また、醤油系の照りを増す効果もありそうである。これらはサラダ味系の仕上げでは案の定使用されていない。 なお、ただの「デンプン」の位置付けについては、実質的には増量剤の性格を持つものと考えられる。 |
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D | その他 蛋白加水分解物は調味目的の使用が一般的とされる。甘味料として植物系のステビア、甘草を使用している例があるが、べたつきの抑制には効果があるのかもしれない。 |
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E | 餅米系とうるち米系の食感と味 おかきやあられは餅米系で、煎餅はうるち米系と、それぞれの世界を形成しているが、餅米とうるち米の両者を使用した製品も見られる(I)。個人的には餅米系が好きであるが、原料米の違いによる食感や味の違いを的確な言葉で表現するのは難しい。出張販売のおやじさんに聞いたこともあるが、明解な回答はなかった。強いて食感のみで言えば、餅米系はザクザク、うるち米系は幅広でサクサクからバリバリまでか・・・ |
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6 | 総括 魅惑の焦げ色、(若干の補正が見られるものの)芸術的でさえある深みのある醤油色と照り、そしてからだの求めにピッタリ応えるその味には底知れぬ魅力を感じ、引きつけられ、いとおしく感じ、こころの安らぎさえ覚える。これは明らかに原日本人としての遺伝子レベルの性向に由来するものであることが確信できる。 上質な製品が現在でも伝統の技術に支えられて誠実につくり続けられており、この日本味は是非とも大切にしたいものである。量産品の合間であっても、好みの至高の芸術品を味わい、ささやかな幸せにひたりつつ、この文化を支えたいものである。 (追申) 餅米・うるち米系以外では、小麦粉系の「ぽんせん」は別項で紹介したとおりの魅力があり、同じく小麦粉系の南部煎餅もしばしば食べたくなる。また、なぜか愛知県が圧倒的なシェアを誇るデンプン系の「えびせんべい」も結構な味で、特に小エビが丸ごと入ったものはもうたまらない魅力がある。ああ・・・書いていてまた食べたくなった!! |
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【追記 2012.9】 | |||||||||||||||||
Q のせんべいは中国で事業展開する台湾系企業「中国旺旺(わんわん)控股」の子会社「瀋陽旺旺食品有限公司」の製品である。岩塚製菓のおかげで大成功した企業であるが、何を考えたのか、先に尖閣に不法上陸した香港の活動家を単独資金援助したのがこの会社の会長である。もう二度と口にすることはない。 |
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