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続・樹の散歩道 図鑑ではわかりにくいモクゲンジの花
この樹の花は両性花なのか雌雄同株なのか
モクゲンジの名の樹は、植栽木としてそれほど多く見られるものではなくて、かつて西日本の2箇所でたまたま見たことがある。同属のオオモクゲンジも同様で、都内では神代植物園と小石川植物園で見かけた。さらに東大の構内にもあるそうである。 さて、まずはモクゲンジに関してであるが、この比較的樹高の大きな樹が都内の東御苑にもさり気なく植栽されている。花の少ない6月中旬頃から鮮やかな黄金色の花を多数つけて、タイサンボクと張り合っているように見えた。この円錐花序の花は非常に小さいため、目を近づけてよくみると、ほとんどが雄花なのかな思いつつも、後日改めて見れば雌花が混じったように見える花序や、中には主として雌花で構成されているように見える花序もあるようであるが・・・ 【2015.9】 |
1 | モクゲンジの外観 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2 | モクゲンジの個々の花の様子 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
モクゲンジの花については、 ・ 花弁は4個で、基部には上向きに2個の赤いハート形の付属体があり、強く反曲する。 ・ 雄しべはふつう8個あり、全体に短毛がある。 とされている。(日本の野生植物ほか) また、モクゲンジの花の性型について調べてみると、ハンディな図鑑では言及はなく、比較的詳しい図鑑では次のように簡潔に記述されているが、内容は一致していない。 |
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①と②は同じで、両性花をつけている(雌雄両全株)との意である。 ③は①、②とは異なっていて、両性花と雄花で構成されている(雌雄同株)としている。 ④は幅広の表現で③を含むような印象もある。雑居性とは一般的には両性花と単性花を持つものを指しているが、 書籍では雄花と雌花とした図を示している。 例えばトチノキであれば花が比較的大きく、この円錘花序が両性花と雄花で構成されている雌雄同株であることは見たとおりのことで確認しやすいが、モクゲンジの場合は、花が小さいことに加えて、花によっては形態的に変化する途中のように見えるものもあって、非常にわかりにくい。 そこで、目の届く範囲でざっと見た限りでは、雌しべが退化した雄花(と思われるもの)の比率が高いように見え、一方で雌花をさがすと、雄しべが退化した雌花(と思われるもの)が花序内で雄花と混在している場合と、時にその雌花が多くを占める花序が一部で見られた。 ( このことについてはあとで再検討する。) 両性花なのか単性花なのかは、厳密には雄しべ、雌しべの実際の機能を見極めて判断する必要がある。 雄花と思われる花は、次々と落ちてしまうから、その雌しべは完全に退化したものと理解され、「雄花」の呼称でよいことになる。 雌花と思われる花は、雄しべが機能を有するのか否かは見ただけではわからない。雄しべが完全な機能を有していて、なおかつ結実に貢献していれば「両性花」ということになる。しかし、明らかにその雄しべは生育不良で貧弱な姿となっており、完全な機能を有しているとは考えにくいことから、以下ではこの花を「雌花」と呼ぶことにする。 |
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(モクゲンジの小花の様子) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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さて、冒頭で触れた花序内の雄花と雌花の比率に関することであるが、若い果実が目視できる段階になって、真相が見えてきた。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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以下は気づきの点である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ということで、目視の範囲では、モクゲンジは雄花と雌花で構成される雌雄同株(雌雄異花同株)として理解しておくことにした。なお、モクゲンジやオオモクゲンジの個性的な蒴果については別の機会に採り上げることとしたい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
【追記:モクゲンジの芽生えの様子】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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