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いずれも折れた部分の幹には無惨にも1センチを超える大きな穴が複数あって、枝や幹を支えられるような状況ではなかったことを理解した。そこで、穴の奥にまだ犯人が隠れ住んでいる可能性を感じ、力尽きで分岐部で折損した枝の元側を鋸でざっくり切ってみた。その途端に穴から巨大で長い触覚を持った犯人があわてて飛び出してきたのである。これにはこちらも少々あわててしまった。そこで心を落ち着けて、まずはこの犯人を拘束し、次に鉈で材を縦割りしてみた。すると、今度は巨大な幼虫がゴロンと転がり出てきたのである。その大きさと醜悪さには思わす体がのけぞってしまった。これは最悪の状態であった。栗を痛めつけた憎き犯人が割れたのである。それは、かつて目にしたものを遥かに凌ぐ規格外の巨体の持ち主であった。
この凶悪犯の正体は、姿形が明らかにカミキリムシ類であったことから、関係する図鑑で確認すると、「ミヤマカミキリ」であることを確認した。 |
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ミヤマカミキリの成虫(6月下旬)
遠目には褐色のカミキリムシの1種であることがわかるだけであるが、表情を見るとなかなかの迫力である。 |
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ミヤマカミキリの成虫の素顔
何とも恐ろしい大顎である。樹皮をガリガリかじることもあるというから、そのために必要なのであろう。 |
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ミヤマカミキリの成虫の素顔
眉毛のよう形態に見えるものは複眼のようである。このカミキリがさらに巨大化したら、間違いなく人を襲うであろう。 |
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いかにも凶悪な表情で、「甲虫カタチ観察図鑑」には次のように記されている。
「ミヤマカミキリは攻撃的なカミキリで、樹液に集まった時など、他の昆虫を蹴散らしてしまうこともある。ミヤマカミキリとカブトムシやクワガタを同じケースに入れると、あっという間に脚を切られてしまうから要注意だ。」 |
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ミヤマカミキリの大きな幼虫 1(6月下旬)
幼虫のバックは縦に割ったクリの太い枝部で、幼虫が食い散らかしてできた太いトンネルがが見られる。 |
ミヤマカミキリの大きな幼虫 2(6月下旬) |
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棒切れで幼虫を突いてみると、全くブヨブヨしておらず、それどころか硬くゴワゴワした感触であった。もちろん、直接手で触る気持ちにはなれなかった。10段腹状態である。あー気持ち悪い!!
ところがである。各種カミキリムシの幼虫はたくましき食の探求者にとっては、何よりの美味なるなるごちそうであるらしい。たしかに、世界では昆虫食は決して珍しいものではないが、これを口にするなどとてもできそうもない。 |
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<参考:ミヤマカミキリとは> |
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ミヤマカミキリ (カミキリムシ科 Mallambyx raddci )
@カミキリムシ科の昆虫(甲虫)。日本各地に産し、朝鮮半島、東シベリア、中国にも分布する。体長34〜57ミリの大型の種類で、体は黒色であるが、灰黄色の短毛を蜜布しており、下面の毛はやや長く淡色。前胸は中央が横へ膨らみ、背面に強い横じわがあるのが特徴。触角は雄では体よりかなり長く、雌では体よりやや短い。成虫は夏に現れ、夜間に活動し、シイやカシ類の樹木に集まり、幼虫はそれらの生木の内部を食害する害虫で、4年目に蛹を経て成虫となる。(日本大百科全書)
A栗に害を及ぼす。(昆虫レファレンス事典)
B成虫は6月下旬から暗くなると樹上に現れる。産卵は7月上・中旬の夜間、樹皮の凹み等に産卵管を突き出して突き出して1個の卵を産み、続いて産卵管から乳黄白色のにかわ状の液を出して卵を固着させる蛾、これは後に薄茶色に変わる。卵は7から10日間で孵化し、孵化した幼虫はすぐ樹皮に侵入、樹皮と辺材部を不整形に食べ、細かいのこぎり状のふんを樹の外に出す。樹皮下の食べ跡は幼虫の成長にしたがって次第に大きくなる。また樹皮下を食べるとともに若齢時から材への食入孔をつくる。この穴も幼虫の発育とともに次第に太く長くなり、老熟期には20〜25センチに達する。幼虫はこの穴をすみかとして、樹皮下に出てはそこを食べているらしく、時々ギリギリと音を出す。4年目の5月下旬に蛹になる。羽化した成虫は幼虫の時に作った孔道を通って樹皮下に出、樹皮に孔を開けて樹の外に出る。体長34〜57ミリ。(原色日本昆虫生態図鑑 カミキリ編 抄) |
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成虫も幼虫も5センチほどもある超弩級の大きさで、昔は普通に見られた黒い体に白い斑点のあるゴマダラカミキリがいかにも小さく見えてしまう。こんな巨大な虫に食い荒らされたら、クリの木はひとたまりもない。硬い幹の内部に直径1センチを超える穴を縦横無尽に開けるパワーには凄まじいものを感じる。成虫の大顎は恐ろしいほど鋭い。幼虫の口器については子細に観察はしていないが、木材に大穴を開けるパワーを考えると、最強のトンネル掘削用の超硬カッター付きボーリングマシンなみの能力である。 |
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