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続・樹の散歩道
 ホソバイヌビワの雄株と雌株はどのように識別するのか


 植物観察のガイドの講釈に由来する話題のその2である。ガイドの対象となっているあるフィールド内に1本のホソバイヌビワが植栽されていて、もちろんこの樹は雌雄異株であることは周知の事実であるが、この植栽樹についてあるガイドは雄株であるとし、別のガイドは雌株であるとの説明をしていた。これはいい勉強材料ではあるが、イヌビワの仲間は変わり者で、おおよそのことを理解するだけでもハードルが高く感じて、やや気が重くなる。例えば、「果実のように見える花嚢の内側に多数の花が存在する。」とか、「種子に見えるものが実は真の果実である。」とか、「食べられる部分は多くの花の花軸である。」とか、イチジクの実の理解が難しいのと同様に訳がわからない。加えて外から見えない「虫えい」の存在も絡んで、日常的には理解することから少々距離を置いてしまうのが本当のところであった。しかし、冒頭に掲げた事情があるため、正しい理解を目指して、ストレスが生じない程度に検討してみたい。 【2015.10】  


 注:以下、イヌビワホソバイヌビワとは、葉の形状だけが異なり、花嚢(果嚢)については同様の性状であるとの理解を前提とする。   
 
           課題のホソバイヌビワ           別の箇所のホソバイヌビワ
 
     
   葉の幅や長さに関しては明らかに個体差が見られる。ときにイヌビワの樹の下方に細長いホソバイヌビワのような葉を付けているものも見られた。イヌビワはクワ科イチジク属の落葉低木で、葉の基部はわずかに心形、円形、まれに鈍形とされるが、日常の感覚的には、心形となった葉はよい識別点となる。花嚢(果嚢)はビワ(クワ科ビワ属)というより小さいイチジクといった風情であるから、「ヒメイチジク」の名の方がしっくりするが、イチジクは江戸時代に渡来したとされ、ビワに較べるとはるかに新参者となるから、残念ながら名前については仕方がない。    
     
   ホソバイヌビワの雄株と雌株の違い    
     
   そもそも花嚢(果嚢)がついていない状態では、両者の識別は困難と思われ、したがって、雌雄の花嚢(果嚢)の識別が課題となる。図鑑等によれば、ホソバイヌビワはイヌビワの葉が細いタイプ(変種または品種)としていて、イヌビワの雄の花嚢(果嚢)と雌の花嚢(果嚢)の違いについて、次のような説明例を目にすることができる。   
     
   ホソバイヌビワの雌雄の花嚢(果嚢)の違い   
 
 資料 雄花嚢(果嚢)  雌花嚢(果嚢) 
樹に咲く花  雄の花嚢の基部は細長くのびることが多い。花嚢には雄花と虫えい花が混在する。
 雄花には花被片が5個と雄しべが2個ある。虫えい花の花柱は短く、柱頭は皿状。
 果嚢は黒紫色に熟すが食べられない。(注:原文は「かたくて食べられない。」としているが、実際には赤くなったものは柔らかい。なめてみたが甘さは感じなかった。ほとんどの虫えい花の子房相当部分は虫えいとなっているから、食べる対象とはなり得ない。) 
 花嚢の基部はあまり伸びない。雌花のみがある。
 雌花には花被片5個と雌しべが1個あり、花柱は長い。
 果嚢は黒紫色に熟す。上部に割れ目が入る。食べられる。 
したたかな植物たち  雄の果嚢は熟しても虫だらけで食べられない。(注:味については言及していない。) 
植物観察事典  (虫えい花と混在する)雄花は果嚢の入口にだけある。
 雄花は花弁がなく、5〜6枚の白い萼と、3本またはそれ以下の雄しべがある。
 虫えい花の子房は球形で、この中にイヌビワコバチが産卵する。
 雄果嚢は長めの楕円形で赤く熟すが食用にならない。 
 雌花は花弁がなく、萼片3〜5枚と1本の雌しべとがある。
 雌果嚢は球形で黒く熟して食べられる。
 果嚢の中にある小粒で、我々が種子と思っているものが真の果実である。 
原色日本植物図鑑  雄株には雄花嚢ができる。雄花嚢には大部分に虫えい花があり、入口に雄花がある。
 虫えい花には柄があり、花被片は5、子房は球形で柄があり、側に花柱があり、柱頭は皿状、イヌビワコバチがこの皿を通して産卵する。
 雄花は無柄または有柄、花被片は数個、雄しべは1〜3。
 虫えい花が先熟し、授精し、胚珠が発育し、それを食べてイヌビワコバチが育ち、虫えい花から出るときに雄しべが熟す。
 花嚢は紅色になる。 
 雌株には雌花嚢ができる。雌花嚢には雌花だけがある。雌花の花被片は3〜5、子房は有柄、花柱は側生し、柱頭は線形。
花嚢は紫黒色に熟す。種子は卵形、淡褐色、長さ1.6ミリ。 
 
     
  <メモ>   
 
 イヌビワは外から花が見えないから(見えたとしても)、花嚢果嚢の語の厳密な使い分けは困難で、表記の際は厄介である。「嚢果」の語の使用例も見る。したがって、以下の記述に際してもこれら用語の使い方はアバウトなものとならざるを得ない。 
 雄花嚢の説明で、書籍により @ 雄花と虫えい花が混在する としている場合と、A 雄花と雌花が存在するとしている場合があって、混乱する恐れがある。
 @の「虫えい花」の語が混乱の要因で、これはもちろん、まだ虫えいとなっていないものを指していて、やがて虫えいとなる不稔性の雌花?→注)ともいわれるが、これでもわかりにくい。そこで別の言い方をして、例えば「イヌビワの雄花嚢には雌花に相当する器官があり、その子房様の器官(雌花の子房に相当する部分)は自らのシナリオに基づき、イヌビワコバチの揺りかごとなるべく存在し、イヌビワコバチがこれに産卵することで、晴れて虫えいとなることができる。」としても少々ややこしい。
 したがって、これを単に「雌花」としていてもわかりにくい。 いずれにしても、一般に言われる虫えいの形成される仕組みとは全く異なっているため、「虫えい」の呼称自体に違和感をもつほどである。

注:日本植物生理学会の「みんなのひろば(2009-07-03回答)」では、「雄株の雌花はコバチによって運ばれた花粉で受精し、種子形成を開始します。でも雄株の種子の中身はコバチの餌として利用されるため、種子まで成長できません。従って、イヌビワ雄株の雌花は不稔ではないが、ふつう種子はできません。」としている。
 客観的にどう表現するのが適正なのか、難しいことである。受精する雌花が存在することに着目すれば、そもそもこの花嚢を雄花嚢と呼ぶのが果たしてふさわしいのかということにもなってしまう。
 
     
   現物の検分   
     
    以下は、課題としたホソバイヌビワの株の花嚢を検分した写真である。  
 
   
        花嚢の様子
 この色になって、落果しているものが多く見られた。基部が長く、雄の花嚢であることをうかがわせる。
     花嚢の先端部の様子
 先端部には鱗片が円柱を形成して、緩やかに閉じている。
        花嚢の断面
 鱗片の直下には雄しべが多数確認できる。他の箇所にもわずかに散在していた。
     
      先端部直下の様子
 雄しべの葯が花粉を出していることが確認できる。
      虫えい花の様子
 雄花の雄しべの存在から、こちらは虫えい花であることがわかる。
   姿を見せたイヌビワコバチ
 丸い虫えいを破ってイヌビワコバチが姿を見せた。
 
     
   まずは、このホソバイヌビワの花嚢の外観からであるが、図鑑の説明にもあるとおり、花嚢の基部の長さは有力な識別点になりそうである。写真は基部が長い(苞のある部分まで長い)からたぶん雄の花嚢と予想できる。次に花嚢をザックリ割って見てみて、花嚢の頂部、穴の付近に雄しべが多くあれば間違いなく雄の花嚢ということになる。変則的な形態の花で見にくいが、間違いなく雄しべがあるから、これは雄の花嚢と理解できる。さらに、イヌビワコバチが虫えいから這い出すのも確認したから、正真正銘の雄株である。    
     
 
 右に掲げる写真は都内の別の箇所に植栽されていたホソバイヌビワである。花嚢の直下に苞が見られ、基部が短いから雌の花嚢である可能性を感じ、確認のために花嚢を割って見たのであるが、残念ながらこれも雄の花嚢であった。ホソバイヌビワの雄の花嚢の基部の長さには変異の幅があることを確認した。 

 なお、この雄個体では、なぜか花嚢が赤くならずに、この色の状態で次々と落果していた。
 
     
   ついでながら、かつて撮ったホソバイヌビワの写真を点検してみると、西日本の2箇所ののものも、外観からは雄の花嚢と判断された。ホソバイヌビワを植栽しているところは、承知している範囲ではそれほど多くないため、方針を変更し、今回はどこにでもザワザワと存在するイヌビワで雌雄の花嚢を比較することにした。   
     
 
    イヌビワの典型的な葉
     イヌビワの雄花嚢
    イヌビワの雌花嚢
 
     
   
     イヌビワの雌果嚢
 この果嚢では果柄の基部が太いが、苞は果嚢にへばりついている。
  イヌビワの雌花嚢の雌花
 子房はやや扁平で、上に細く伸びたものが花柱か? 花被片は5個とされるが、観察はしにくい。  
    イヌビワ雌果嚢の断面
 この雌果嚢は少々小振りであるが、雄果嚢と異なり内部がジューシーで、もちろん甘い。 
 
     
 
       イヌビワの別の個体の雌果嚢
 花柄の基部の様子が上のものとはまた異なっている。
 いかにも美味しそうな外観である。
      同左イヌビワ雌果嚢の断面
 上等の甘い味であった。 
 
     
     
   結論的には、イヌビワでは雄花嚢の基部の長さは個体差があるが、雌花嚢では基部が極めて短く、苞が花嚢にへばりついた状態にあることを確認した。これを承知していれば、花嚢の外観で雌雄の識別が可能であり、花嚢の基部の様子を確認するのが最も手っ取り早い実用的な識別ポイントになる。

 機会があればホソバイヌビワの雌花嚢でも念のために確認したいが、たぶん同様と思われる。

(注)イヌビワの花嚢を割ると果肉が出す白い乳液にはひどいベタつきがあって実にうっとうしく、もううんざりである。 
 
     
   なお、ややこしくなるのでとりあえずは触れなかったが、理屈の上では普通は成熟した雌の果嚢には雌の悶死したイヌビワコバチが少なくとも1匹はいるはずであるが、そのままの形態を残した死体は確認できなかった。しばしば黒いカスが確認できるが、これが形が崩れた雌の残骸かもしれない。これに対して雄の花嚢(果嚢)には雄と雌のイヌビワコバチがそこそこいるはずである。これについては容易に確認できたが、次の項で関係情報を整理する。   
     
   イヌビワとイヌビワコバチの密接で複雑な関係   
     
   この件については、しばしば採り上げられている定番の植物観察会的ネタであるが、おおよそのことを理解するのは難儀で、書籍の記述を読んでも直ぐに忘れてしまう。しかも「虫えい」の存在が知られているものの、花嚢の中のことであって、簡単に目で確認できるものでもないから、これも理解しにくい。

 このため、関係書籍のポイントを抽出し、機会を捉えながら認識を深めるための参考メモとすることにした。なお、具体的な詳しい振る舞いがよくわからないが、雄の花嚢ではイヌビワコバチとは科の異なるイヌビワオナガコバチの姿も見られるため、併せてこのコバチの情報も抽出した。 
 
     
 
【徹底図解昆虫の世界】

 イチジク属は世界には約900種が知られるが、1種類のイチジクは、それに完全に特殊化した、ただ1種類のコバチによってのみ送粉されている。
【したたかな植物たち】(再構成 、一部用語を置き換え)

 未熟実に見えるが花嚢(かのう)で、正確には、多数の花が軸につき、その軸が肥大して花の集まりを包み込んだものである。
 イヌビワは雌雄異株で雄株には雄の花嚢がつき、雌株には雌の花嚢がつく。
 雄の花嚢から雌の花嚢に花粉を運ぶのはイヌビワコバチである。
 雄の花嚢で雄のコバチが先に蛹から羽化(注:翅はなくても羽化)し、羽化前の雌のコバチと交尾して、花嚢の中で命を終える。その後花嚢が口を開き、内部の酸素濃度が急激に上昇し、それが引き金になって雌のコバチの羽化が促される。花嚢の中では雄花が花粉を一斉に放出し、雌コバチは花粉を付けて外へ飛び立つ。
 雌コバチは産卵に適したイヌビワの若い花嚢を見つけると、閉じた口の鱗片をかき分けて中に入り込む。この際、雌コバチの翅はたいてい鱗片に掛かり抜け落ちる。
 入り込んだのが雄の花嚢であれば、その中には雄花のほかに虫えい花があって、この雌しべは短く、コバチの産卵管が奥まで届き産卵ができる。孵化した幼虫は虫えい花の内部組織を食べて育つ。
 一方、雌の花嚢に入り込んだコバチは、雌花の雌しべが細長くて産卵管が奥に届かず、産卵ができずに動き回る間に、体についた花粉が雌しべの柱頭に付いて受粉が完了する。コバチは産卵できないままに花嚢の中で命を終える。このため、食用可能な雌の果嚢には必ず絶命したコバチが入っていることになる。
 
【虫こぶ入門(増補版):蓮葉 重(八坂書房)】抄

 特定のイチジク類には特定のイチジクコチ類花粉を媒介し、共生関係を維持している。
 イヌビワコバチは雄嚢果と雌嚢果の若い花嚢を区別できずいわば“誤る”ことによってイヌビワとの共生関係が維持される。つまり、イヌビワコバチが雄嚢果のみを選択して浸入すれば、虫こぶはできるが種子はできないので、何れイヌビワは絶えてしまう。逆に雌嚢果のみを選択して浸入するなら、種子はできるがイヌビワコバチの子孫が絶えてしまうというわけである。

 イヌビワオナガコバチの雌は、雄嚢果のみを選択して、嚢果の外壁から長い産卵管を差し込んで産卵する。そのため、雄果嚢から脱出する際に花粉を体表に付着させることはあっても、花粉の媒介には関与しない。雄はイヌビワコバチの雄のそれよりも大きな大顎を持ち、頭部もよりがっちりしている。このことにどんな意味があるのかはよくわかっていない。(注:この記述では「嚢果」と「果嚢」の語を使用しているが、使い分けているようでもない。) 
【世界文化生物大図鑑】

イヌビワコバチ:イチジクコバチ科 Blastophaga nipponia
体長♀約1.7ミリ、♂約1.4ミリ。♀は全体黒褐色。触角は11節で第3節は小さくて先端にとげ状の突起(距)がある。♂は無翅で体は淡黄色。前脚と後脚は太く、中脚は細い。触角は短小で3節からなる。イヌビワの子房内に産卵すると子房が虫えいになる。♂は、♀が羽化しない間に虫えいに穴を開けで腹部を入れ、♀と交尾をする。
♂のと産の顔面には幅広い縦溝がある。(原色昆虫体図鑑)

イヌビワオナガコバチ:オナガコバチ科 Goniogaster inubiae
体長♀約1.7ミリ、♂約2ミリ。♀の体は黒色。触角は12節からなる。産卵管は体長の約2倍。♂は無翅で淡黄色(赤黄色)、触角は11節からなる。前胸背板は大きい。後脚は太い。イヌビワコバチに寄生することが知られている。
♂の頭部はほぼ四角形で長さよりも幅が広い。(原色昆虫体図鑑)
♀は花嚢の外から産卵管を差し入れて産卵する。 
【日本原色虫えい図鑑】抄

 イヌビワコバチ Blastophaga nipponica Grandi によってイヌビワ雄株の果嚢内の花に形成される虫えいがイヌビワハナコバチフシで、1〜5ミリの柄があり、4〜5枚の鱗片状の花被に包まれ、短い花柱がある。イヌビワ雌株の果嚢内に形成される果実とよく似ているが、果実はいくらか扁平で表面がざらつき、花柱が長いのに対し、虫えいはほぼ球形で表面平滑、花柱が短いなどの点で区別できる。雄株の虫えいのつまった果嚢は成熟すると黄〜赤に色づき、果嚢小口の鱗片が緩んで口を開く。雌株の果実の入った果嚢は、黒紫色に熟し液質となり、表面は光沢がある。

 〔生態〕近畿地方では年2〜3世代。越冬世代の成虫は5〜6月に羽化し、その時期に大量に形成されている雄株の果嚢に潜入し、小花の花柱から産卵管を差し込み、胚珠に卵を産み付ける。この世代はおよそ1ヶ月半で羽化し、果嚢内で交尾した後、雌だけが外に出てくる。その頃イヌビワの雄花が花粉を出しており、雌コバチは身体に花粉を付けて出てくる。7〜8月に大量にコバチの発生が見られる。この時期には、コバチを受け入れられる若い果嚢は雄株に少なく雌株に多い。多くのコバチが雌株の果嚢に潜入するが、ここでは小花の花柱がコバチの産卵管より長いため産卵できず、イヌビワの受粉のみが行われる。夏に産卵されたものの多くは秋に羽化し越冬世代を産卵するが、夏の終わりに産卵されたものの一部にはそのまま越冬するものがあるかも知れない。イヌビワコバチが寄生している果嚢に、イヌビワオナガコバチが果嚢の外から卵を産み付ける。初期には2種類の幼虫が見られるが、最終的に羽化するのはオナガコバチだけだと思われる。 
<参考>
・(虫えいの名称の付け方には色々あって、)イヌビワハナコバチフシの名は、外見上、正常な器官と虫えい化したものと見分けがつきにくいことから、虫えい形成者iのイヌビワコバチの名が使われたもの。(日本原色虫えい図鑑)  
 
     
   花嚢(果嚢)の中の住人の素顔  
     
   以下はイヌビワ及びホソバイヌビワの雄花嚢(果嚢)内で見られた虫たちの様子である。雌花嚢(果嚢)にも雌のイヌビワコバチの “死体” があるはずであるが、見つけることはできなかった。    
     
 
   イヌビワコバチの虫えい花
 薄いカプセル状の虫えい内のイヌビワコバチ雌が透けて見える。花柱もまだ確認できる。
(ホソバイヌビワの雄花嚢の虫えい)
   頭を出したイヌビワコバチ雌
 虫えいといっても雌花嚢の雌花の子房と同様の形態である。
(ホソバイヌビワの雄花嚢の虫えい)
 姿を見せたイヌビワコバチ雌
 虫えいから出ると、直ちにせわしく動き回る。(ホソバイヌビワの雄花嚢) 
     
      イヌビワコバチ雌
 (ホソバイヌビワの雄花嚢)
    イヌビワコバチ雄1
 (イヌビワの雄花嚢内)
     イヌビワコバチ雄 2 
 (ホソバイヌビワの雄花嚢内)
     
      イヌビワコバチ雄 3
 (イヌビワの雄花嚢内)
    イヌビワコバチ雄 4
 (ホソバイヌビワの雄花嚢内) 
   イヌビワオナガコバチ雌 1
 (イヌビワの雄花嚢内)
     
   イヌビワオナガコバチ雌 2
 (ホソバイヌビワの雄花嚢内)
  イヌビワオナガコバチ雄 1 
 イヌビワコバチの雄に較べると、顎がはるかに大きく凶悪な表情である。
 (ホソバイヌビワの雄花嚢内)
  イヌビワオナガコバチ雄 2 
 (イヌビワの雄花嚢内)
     
  イヌビワオナガコバチ雄 3 
 (ホソバイヌビワの雄花嚢内)
       謎の小さな幼虫
 花嚢内の虫えいの外で蠢いていた幼虫。そもそもイヌビワオナガコバチの幼虫の情報さえ得られないから、これが何なのかさっぱりわからない。
(イヌビワの雄花嚢内)
    謎の小さな幼虫 (同左)
 (イヌビワの雄花嚢内)
 
     
  【2015.11 追記】   
   本項で課題としたホソバイヌビワは、結果として雄株であることが明らかになったわけであるが、その後に奇妙な風景を目にすることになった。お役目を果たした全ての雄花嚢を落とした後に、今度は改めて小粒の花嚢を多数つけたのである。正に第2ラウンドの “開花” である。この花嚢は小さいままで10月下旬以降に赤色〜赤紫色になって、パラパラと落ち始めていた。今年はあちこちでいろいろな樹種で狂い咲き(返り咲き)が見られたから、この樹も本気で狂ってしまったのであろうか。  
 
 そこで、赤色の雄花嚢を割って見ると、全く未成熟な印象で、イヌビワコバチもたぶん訪れることもなく、空しく花嚢を落としているものと思われる。

 なお、この雄花嚢はいずれも直径12ミリほどの小粒であるが、その外観は、まるで雌花嚢のように見えるからややこしい。