樹の散歩道
スーパーボールの仲間たち
ジャノヒゲの実(正しくは種子)の皮(正しくは種皮)を剥いた白い半透明の種子はよく弾んで面白い。もちろん水気はあるが堅くて不思議な質感である。刃物で切るとサクッときれいに真二つになる。よく弾むメカニズムを解説したものには出会っていないが、とりあえず見た目に似たものの弾力テストをしてみた。【2008.3】 |
1 | ジャノヒゲ 東アジア、日本に分布するユリ科ジャノヒゲ属の常緑の多年草。庭先、公園の境によく植栽されている。冬に葉をまくり上げると美しい紺色の実(種子)が姿を現す。薄皮をツルンと剥ぎ取った種子を硬い面に打ち付けるとよく弾み、元祖弾み玉、スーパーポールとしてよく知られている。生活環境に密着した存在で、子供たちにとっても身近な遊び材料であったということである。
ジャノヒゲは葉をまくり上げなければ実の有無を確認できないのが難である。 さて、それでは似たような種子を付けるヤブランやノシランではどうであろうか? |
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2 | ヤブラン 本州、四国、九州、沖縄に分布するユリ科ヤブラン属の常緑の多年草。公園、ビル周辺緑化のグランドカバーなどに多用されている。秋に黒紫色の果実(種子)を付ける。 検定結果は、 スーパーボール認定!! しかも、実は最も確保しやすい。
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3 | ノシラン 日本の房総半島以西、沖縄等に分布するユリ科ジャノヒゲ属の常緑の多年草。公園植栽でしばしば見かける。冬に熟す実(種子)はコバルト色で美しく、ジャノヒゲやヤブランよりも大型である。ラブビーボール型の実であるが、皮を剥くとほぼ球形であることがわかる。 検定結果は、 これもスーパーボール認定!! ただし、実が大きい割りには中味が小さい。
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4 | キチジョウソウ 関東以西に分布するユリ科キチジョウソウ属の常緑の多年草。果実は液果で、果肉の中に白い種子が多くの果実で2個、小さい果実で1個見られた。3個のこともあるそうである。 種子は2つの場合は角の取れた半球状、ひとつの場合はややいびつであるがほぼ球形である。種子をカッターでスパッと切った感触は既にスーパーボールとして認定された種子達よりやや堅いものの、似た感触がある。そこで一粒種子のものを検定対象とした。 検定結果は、 これもスーパーボール認定!! ただし、必ずしも毎年花を付けるわけではなく、実の付きもあまりよくないこと、一粒種子の実が少ない上に小さ過ぎることから、実用性に乏しいことが難である。
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ユリ科のジャノヒゲ属とヤブラン属の果実は朔果でも、果皮が薄くて離脱しやすく、種子がむき出しになって成熟するという。要は果実のように見えるのは種子であるということである。しかし、離脱途上の果皮は日常的には確認しにくいため、よくわからない常識である。 ★ ヤブランの果皮らしきものについてはこちらを参照。 |
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