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続・樹の散歩道
  戦慄の貼り紙  


  ○○区のある図書館で、とんでもない張り紙を目にした。今思い返しただけでも鳥肌が立つほどである。これを目にした時は、しばらくの間は体が硬直し、次いで3つの思いが渦巻き、最後は深いため息をつくことになった。
 一つ目の思いは、正常な精神状態でこんなことが果たしてできるのかという疑念である。
 二つ目の思いは、第一発見者とならずに済んだ安堵感である。
 三つ目の思いは、これを目の当たりにした施設管理者に対する憐憫の情である。【2015.12】


 この信じ難い張り紙は、次のとおりで、小便器に大便!事件が背景となっている。  
 
 
 
 実はこの貼り紙は謎だらけである。

 まずは成人男子が、果たしてこんなことをするか? という点である。

 ウンコの直径がどのようであったのかはわからないが、人がある程度の頻度で出入りする場所で、成人男子が汚いケツをむき出しにして(もちろん後ろ向きであろう)、心に余裕をもってウンコなどできるのであろうか? とてもこんな情景は想像できないし、想像したくもない。

 となると、子供の犯行か? 中国では(親の指示の下に)街中であろうと、電車内であろうと、決して珍しい風景ではないらしいことは、しばしば報道される情報で学んでいる。しかし、さすがに日本国内では子供でもこんなことができるとは思えない(親もさせない!)。ということは、我慢できなくなった幼子を連れた親が、使用中でふさがっていた状態で、やむを得ず子供の両足を抱えてリリースさせたのか? しかし、常識ある日本人にはこんなことはできまい。

 となると、悪意に満ちた攻撃的な犯行の可能性が考えられる。残念なことに、日本でもムシャクシャすると、何でもやらかす輩が存在することは否定できない。それにしても、これはあまりにも衝撃的である。そして、施設管理者に対しては途方もない甚大・強烈な精神的ダメージを与えたことは間違いない。このことをわかって犯行に及んでいるとすれば、相当タチが悪い。
(注)「ムシャクシャ」の語は定型的な警察による包括的な表現で、犯人は決してこんな言葉は口にしない。

 担当者は、ウンの悪かった第一発見者からの通報で、この現場に急行したに違いない。たぶん、ウンコからは湯気が出ていたであろうし、狭い空間は目が眩むほどの強烈な臭いに満ちていたであろう。

 オーマイガーである。気の毒な担当者は頭をかきむしり、嘆きの声を上げ、嗚咽し、ついには怒りに体を震わせたであろう。そして、自らの職務の現実に立ち返って上司に報告し、とりあえずは立ち入り禁止の表示をした上で同僚との共同作業で息を極力止め、歯を食いしばって全く未経験の過酷な後始末≠フ職務を遂行したのであろう。

 昔の泥棒の間では、忍び込んだ家で、帰り際に部屋でウンコをすると捕まらないという伝説があったと聞いたことがあるが、そんなこととは全く関係ない。
 
 
 そもそも、人は他人のウンコの臭いは我慢がならないのである。大腸がんの検診で多くの人は「正しい大便のとり方」の説明書きに素直に従って、毎年自分のウンコに対しては真正面に向き合っているが、決してその匂いは苦痛にはなっていない。自分の屁も全く苦痛にならない。しかし、どんなに美人でもそのウンコや屁は臭いはず(実は残念ながら嗅いだことがない)であり、家族のものであっても我慢がならないものである。
 
 
 
                 ウンコ2兄弟?
 
このイラストは「正しい大便のとり方」を指南しているお馴染みのマスコット(ウンチ君?)であるが、よく見ると、ウンコがウンコを出そうとしていることになり、かなり変である。   
 
 
 ということで、ウンコはやはりしかるべきところで処理しなければならない。本来あるはずのないところで突然人糞がとぐろを巻いていたら、これは強力な兵器に等しい破壊力を有し、平穏な日常生活は一気に瓦解してしまう。  
 
   なお、トイレの張り紙といえば、小便器からこぼすことのないように穏やかに注意を促す次のようなものが記憶にある。   
     
 
・  朝顔の 外にこぼすな 松茸の水 
・  あなたのものは、あなたが考えているほど大きくありませんので、どうぞ、一歩前に出てください。 
 
     
 【2017.1 追記】 図書館における戦慄の張り紙 その2   
 
 図書館は日々、さまざまな試練にさらされているようである。以下は別の図書館で見かけた驚くべき貼り紙である。  
     
 
    ふつうに見られた雑誌の貼り紙        雑誌架に置くことを取りやめた旨の貼り紙
 
     
   多くの雑誌に「切り取り厳禁 切り取りが続く場合は購入を中止することもあります。」とした悲愴的な貼り紙が見られた。また雑誌架には現物の雑誌が置かれていない箇所が多数あり、切り取りの激しさに耐えきれずに、多くの雑誌がカウンターで管理せざるを得ない状況にまで追い込まれていることがわかる。女性雑誌であっても状況に変わりがない。

 これほど野蛮な行為が常態化している図書館は珍しく、地域住民の質が恐いレベルにあると受け止めざるを得ない。あるいは、昔からこの程度の粗暴な行為は当該地域にあっては日常茶飯事で、特に驚くほどのことではないのかも知れない。何とも信じ難い風景であり、日本国内の現実とは思えない。