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コーヒーの木(コーヒーノキ)の様子 |
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コーヒーの木の葉の様子
エチオピア原産のアカネ科の常緑低木 coffea arabica で、葉は対生する。
葉には艶があり、低木であるため、観葉植物としても楽しまれている。 |
コーヒーの木の成熟中の果実
果実は赤熟し、果肉には甘みがあるが、ほとんどを種子が占めていて食用には向かない。果実にはコーヒーチェリー coffee cherries 、コーヒーベリー
coffee berries の名がある。個々の花の開花にバラツキがあるため、果実の成熟もバラツキが生じる。 |
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コーヒーの木(コーヒーノキ)の花、果実、種子の様子 |
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コーヒーの木の花の蕾
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コーヒーの木の花 1
花冠は5裂する。写真の花では雄しべがまだ開いていない。 |
コーヒーの木の花 2
雄しべが開いて花粉を放出している。 |
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コーヒーの木の花 3
花柱が長く伸び出して、柱頭が2裂している。花は両性花であるが、雄性先熟のように見える。 |
コーヒーの木の成熟果実
鮮やかな赤色で美しい。この後に少し暗色となる。果実にはコーヒー豆(核、果核)が2つ入っている。まれに3個入っているものが見られた。 |
コーヒーの木の果実の断面
果実中の1つの核(果核)だけを切断した状態の果実の断面である。核(果核)は粘液質の物質(ペクチン層)に覆われていて、2つの核(果核)が平らな面(腹面)を向かい合わせにして収まっている。 |
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コーヒーの木の種子
左は核=内果皮(パーチメント)に覆われた種子で、右は内果皮と種皮(銀皮 シルバースキン)を剥がした状態で、胚乳が裸出した姿である。 |
コーヒーの木の種子の断面
左の種子の胚乳では、中心部で少々逆巻きとなっているが、右の種子ではシンプルな渦巻状になっている。灰色の胚乳は合成樹脂のように堅い。ジャコウネコも消化できずに、そのまま出してくれるはずである。 |
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(コーヒーの木の種子の腹面のセンターカットの由来)
種子の断面を観察すると、コーヒー豆に筋(センターカット)が形成されている由来が構造的に理解できる。
つまり、コーヒーの木の種子の胚乳は伊達巻きのような渦巻構造で、その巻きの末端部が筋となっていることがわかる。さらに、巻いている胚乳の表面は全体が薄皮に覆われているため、結果として薄皮が種子の筋から胚乳の内部にめり込んでいるように見えることになっている。
別の言い方をすると、全体が薄い種皮に包まれた伸し餅状の胚乳をロール巻きにした構造となっている。
なお、ロール巻きとなった胚乳は、断面の写真をよく見ると2層となっているように見え、追ってローストしたコーヒー豆の断面(後出)を観察したところ、このことを確信することができた。 |
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(コーヒーの木の種子の胚の位置) |
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コーヒーの木の種子の丸い面(背面)から見た様子
薄い殻状の内果皮と渋皮風の銀皮を剥ぎ取った状態の種子で、胚乳越しに中の胚が透けて見える。ということは、胚は種子表面に近い箇所に位置していることがわかる。 |
胚乳中のコーヒーの木の胚 1−1
巻いた板状の胚乳の中に収まっていた胚の様子である。 |
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胚乳は非常に硬い上に薄手素材のロール巻き構造であるため、カキノキの種子のように胚乳を割って胚の様子を簡単に目で確認することができない。ただし、内果皮と薄皮状の種皮を剥ぎ取ってあれば、筋の反対側(背面)の果柄側の隅に胚の幼根部分が白く透けて見える。特に幼根の先端部分が収まった部分では胚乳が極薄となっていて、幼根がほとんど露出寸前の状態となっている。 |
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(コーヒーの木の種子内の胚の様子) |
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コーヒーの木の胚 1−2
取り出した胚の様子 |
コーヒーの木の胚 1−3
人為的に子葉を開いた状態 |
コーヒーの木の胚 2
別の種子の胚の様子 |
コーヒーの木の胚 3
別の種子の胚の様子 |
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巻き込んだ胚乳から胚を取り出すのは簡単ではないが、何とかできないことはない。胚は非常に小さいことに驚く。極小の2枚の子葉も確認できる。 |
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(市販のローストされたコーヒー豆(種子)の断面の様子) |
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市販のロースとしたコーヒー豆の断面を参考までに見てみたところ、ローストに伴う収縮に伴い、2層となった胚乳が部分的に剥離して空洞が生じているのがはっきりと確認することができた。ゴミが挟まったように見える部分は食い込んだような状態となっている種皮である。 |
ローストされたコーヒーの豆の断面
写真はそれぞれ別のコーヒー豆の断面の様子である。 |
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コーヒーの木(コーヒーノキ)の芽生えの様子 |
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その1 ふつうの芽生え |
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コーヒーの木の芽生え 1
コーヒー豆が姿を現した。 |
コーヒーの木の芽生え 2
子葉を早く開きたくて苦しんでいる風情である。 |
コーヒーの木の芽生え 3
やっと子葉を展開した。 |
コーヒーの木の芽生え 4
本葉を開いた状態である。 |
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その2 1つの種子に胚が2つあったと思われるケースの芽生え
まれにこうしたことがあるらしく、2本の茎が1つの種子を持ち上げるという奇妙な風景が見られた。 |
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コーヒーの木の奇妙な
芽生え 1
3個の種子の芽生えの様子で、うち1つに胚が2つあったようである。(矢印) |
コーヒーの木の奇妙な
芽生え 2 |
コーヒーの木の奇妙な
芽生え 3 |
コーヒーの木の奇妙な
芽生え 4
問題なく2本とも成長中である。 |
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コーヒー豆を茎の先端につけた芽生えの姿は何とも面白い。コーヒーノキの芽生えを見ると、伸び上がった茎が種子を持ち上げ、のちに子葉が種皮を破ってこれをを脱ぎ捨て、それからおもむろに子葉を展開するパターン(子葉地上展開型)であることがわかる。
他の植物の子葉地表展開型のものと比較すると、 |
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内果皮(パーチメント)の中で成長した2枚の子葉は内果皮に阻まれて簡単に脱出できず、しわくちゃに圧縮された様な状態となり、思わず手を貸してやりたくなるほどパンパンになる。 |
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結局のところ、薄くて硬い内果皮は強靱で、単純にパックリと2つに割れることはなく、踏ん張り踏ん張った末にやっと破れるという、子葉にとっては何とも厳しい試練となっている印象がある。どう見ても内果皮が丈夫すぎるようである。 |
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なお、胚乳は、オシロイバナやイヌマキの場合と違って、余すことなくとことん吸い尽くされている印象がある。 |
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コーヒー豆入りチョコレートあるいはコーヒー味チョコレートの例 |
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コーヒーもチョコレートもそれぞれ長きにわたって愛されてきた香り高い嗜好品であるが、これらが合体した製品が存在しており、いいハーモニーを醸し出している。 |
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(1) |
コーヒー豆チョコレートの例 |
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A チョコ豆コーヒー CHOCO BEANS |
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夢の島熱帯植物園で販売されていたチョコ豆コーヒー 製造者は都内キャピタル株式会社で、製造者のラベルの製品も同じ価格で販売されている。60g 324円 |
製品の粒と中味のコーヒー豆
使用されているコーヒー豆はやや小粒で、食感はやや硬めで、グラム単価は高めである。 |
チョコを半分除いた状態
コーヒーノキの果実の断面のような印象となるが、本物は種子が2個入っているが、これはもちろん1個だけである。 |
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B ドトール コーヒービーンズチョコ |
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ドトール コーヒービーンズチョコ
ドトールのコーヒー豆をカバヤ食品株式会社がチョコレートでくるんだものである。 42g 130〜135円 |
製品の粒と中味のコーヒー豆
コーヒー豆は上の製品より柔らかめで、強いジャリジャリ感が気になる人にはこちらの製品の方がよい。 |
チョコを半分除いた状態
断面を見るとチョコレートは内側がホワイトチョコレート、外側がミルクチョコレートと2層になっている。 |
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C セブンイレブン コーヒービーンズチョコ |
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セブンイレブン コーヒービーンズチョコ
前出ドトールの製品と同様に、カバヤ食品株式会社が製造している。33g 140円 |
製品の粒と中味のコーヒー豆
豆の大きさにバラツキがあるため、粒の大きさにバラツキが生じている。 |
チョコを半分除いた状態
こちらの場合のチョコレートは単層のミルクチョコレートである。 |
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セブン&アイグループとカバヤ食品の共同開発によるもので、コーヒー豆は味の素ゼネラルフーヅが供給するキリマンジャロ豆とされれ、細かく砕いたコーヒー豆をチョコレートにも練り込んでいるという。
薄めのチョコレートコーティングのため、粒はやや小さめである。ドトールとセブンイレブンの製品を食べ比べると、やはり少々違いを感じるが、人により好みは異なることからコメントはやめにする。 |
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そもそもローストしたものであってもコーヒー豆はそのままでは口の中がジャリジャリするだけで、食用には全く適さない代物である。そこでこのチョコレートでくるんだ製品であるが、口に入れて噛んだ直後はカリカリとした食感が小気味よく、コーヒーの風味も心地よいのであるが、やがて口中で粉砕されたコーヒー豆が残留して違和感を覚えるのは避けられない。つまり、最初はチョコレートのお陰で不快さが緩和されていたに過ぎないことがわかる。残念ながら、コーヒーのカスは煮ても焼いてもカスである。やはり、チョコレートとの相性のベストマッチはマカダミアナッツを筆頭としたナッツ類であることを改めて痛感した次第である。ただ、たまには気分転換にはいいかもしれない。 |
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(2) |
コーヒー味チョコレートの例 |
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コーヒー豆の形態を模して、コーヒーの味を付加した小粒チョコレートである。芸の細かさが実に日本的である。
1971年に誕生した歴史のあるコーヒー味のチョコレートで、口の中に不快なカスが残る心配はない。コーヒーの風味とチョコレートの味をどうしても同時に味わいたい場合はお手頃な製品で、現在でも変わらずに健在であることは喜ばしいことである。マーブルチョコレートと同様の糖衣タイプである。
写真の製品には45周年のロゴが入っている。32g 124円 |
明治のコーヒービート |
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参考 |
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<コーヒーの木の果実・種子の内部構造 呼称例> |
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コーヒーは外来文化であるため、コーヒーの木の果実、コーヒー豆の内部構造についてはいろいろな英語の呼称がそのまま使用されていたり、学術名と商品としての呼称が混在するなどしているなど、必ずしも統一されていないため、以下にいろいろな呼称を寄せ集めてみた。 |
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呼 称 |
メ モ |
核果 drupe |
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果皮 pericarp |
→ 3層の果皮の総称 |
外皮、外果皮 outer skin ( epicarp ,exocarp) |
→ 最外層の赤い果皮 |
果肉、中果皮 pulp layer (mesocarp) |
→ 外果皮内側の薄い果肉 |
ミューシレージ mucilage ,ペクチン層 pectin layer |
→ 内果皮を覆う粘液質の層 |
パーチメント parchment ,内果皮 (hull ,endocarp) |
→ 硬い薄皮 |
種子 seed |
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シルバースキン silver skin ,銀皮,種皮 (testa , epidermis , integument) |
→ 柔らかい薄皮 |
コーヒー豆 coffee bean |
→ 種子から種皮を剥がした状態のもの |
センターカット center cut |
→ コーヒー豆の溝を指す |
胚乳 endosperm |
→ コーヒー豆の本体 |
胚 embryo |
→ 2個の子葉、胚軸、幼根からなる芽生えのもと |
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核果の内部構造の一般的な呼称は、以下のとおりである。(コーヒーの木の果実は核果に区分されている。) |
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核果 drupe |
外果皮 exocarp |
果肉(中果皮) mesocarp |
果核(核) stone, putamen |
内果皮 endocarp |
種子 seed |
種皮 seed coat |
胚乳 endosperm |
胚 embryo |
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<利用されているコーヒーの木の種類(アカネ科コーヒーノキ属) > |
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coffea arabica |
アラビアコーヒーノキ(アラビカコーヒーノキ) |
エチオピアのアビシニア高原の原産
最も広く栽培されている。 |
coffea robusta
coffea canephora |
コンゴコーヒーノキ(ロブスタコーヒーノキ) |
熱帯アフリカの原産 |
coffea liberica |
リベリアコーヒーノキ(リベリカコーヒーノキ) |
西アフリカ原産 |
coffea bengalensis |
ベンガルコーヒー |
インド原産 |
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ベンガルコーヒー 1
coffea bengalensis |
ベンガルコーヒー 2
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ベンガルコーヒー 3
花の様子はアラビアコーヒーノキとは随分異なっている。雌しべは外からは見えない。 |
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