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ダイズとアズキの芽生えに関する一般的な説明 |
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教材としてのダイズ(大豆)とアズキ(小豆)の選定は、いかにも生活に密着した、誰もが知っている最も一般的な食用豆であることによるものであることは容易にわかる。
説明のポイントとなっているのは、ダイズは栄養をためた子葉が地上に出て開いたのちに茎をのばして対生の葉(初生葉)を開くのに対して、小豆では栄養をためた子葉が土の中にもぐったままで、茎が地上に伸び出てから葉(初生葉)を開くという点で、両者の対照的な違いに重点が置かれている。その後の葉の様子については普通は触れられていない。 |
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ダイズとアズキの芽生えの観察 |
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ダイズもアズキも種子が吸水するとプックリと驚くほど大きくなることがよく知られている。豆をしばしば煮ることがあるお母さんにとっては常識である。カチカチに乾燥して眠っていた種子が水を得て速やかに吸水して目を覚まし、発芽に向けての準備をして、ちゃんと期待に応えてくれるというのは、大人でも素朴な感動を覚える。
両者を早速水でふやかした上で小さな容器に植えて様子を観察したところ、どちらもマメ科らしく対生する初生葉が当初はその主脈部分で2つに折り畳まれていて、これが向かい合った状態で(その折り畳まれた葉が)互い違いになって重なっていた。
次に出た3出複葉の本葉も上畳まれた状態で出てきた。 |
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(1) |
ダイズの場合 (使用種子:帯広市川西農協扱い) |
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ダイズの芽生え 1
根を出した状態である。(発根して土中に伸びた根を引き抜いたもの。) |
ダイズの芽生え 2
茎が緑色になった種子を持ち上げ、種皮は脱落する。
(2つの種子が芽ばえた状態) |
ダイズの芽生え 3
子葉がやや開き、折り畳んだ初生葉を出す。 |
ダイズの芽生え 4
展開途中の初生葉 |
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ダイズの芽生え 5
子葉、初生葉がともに開いた状態である。 |
ダイズの芽生え 6
2個の3出複葉が出始めたところである。ダイズの茎・葉は毛が多い。 |
ダイズの芽生え 7
この場合は3出複葉を対生して展開している。 |
ダイズの芽生え 8
この場合は3出複葉が互生となっている。 |
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@ |
子葉は「地上展開型」で、根を出した後に茎が伸び上がり、緑色となって閉じた状態の子葉を持ち上げる。子葉はやや大きくなり、種皮を脱ぎ落として双葉状態に展開する。 |
A |
この一方で、まだ開ききらない子葉の間から初生葉が姿を見せ、やがて単葉で対生して展開する。初生葉は夜間は下向きに垂れ下がる(就眠運動、睡眠運動)。 |
B |
次に茎の頂部から本来の3出複葉の本葉を互生して次々と出す。時に最初の本葉を対生して出すこともある。展開した本葉は夜間は下向きに垂れ下がる(就眠運動、睡眠運動)。 |
C |
やや遅れて子葉の葉腋から貧弱な3出複葉を出すことがあるが、中途半端な存在である。 |
D |
子葉は本葉が2個展開した頃に黄色となり、ほどなく脱落する。養分を出し切り、補完的な光合成も終えて、初期の役割を終えたものと理解できる。 |
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(2) |
アズキの場合 (使用種子:大納言・帯広市川西農協扱い) |
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アズキの芽生え 1
根を出した状態である。(発根して土中に伸びた根を引き抜いたもの。) |
アズキの芽生え 2
茎はお辞儀をした状態となっている。種皮をまとった子葉は転がったままである。 |
アズキの芽生え 3
初生葉が見え始めた。 |
アズキの芽生え 4
子葉の間から抜け出た展開前の初生葉。 |
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アズキの芽生え 5
茎が直立した状態。 |
アズキの芽生え 6
初生葉が開いた状態。 |
アズキの芽生え 7
成長段階の異なる2個の3出複葉が対生して出ている。 |
アズキの芽生え 8
この場合は単葉と3出複葉が対生している。 |
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子葉は「地表存置型」で、閉じたままの子葉を地表に残した状態で種皮を破って根を下方に出し、次に茎が出てくる。こうした過程はドングリの芽生えとやや似たイメージである。 |
A |
茎は子葉の間からお辞儀をした状態で伸び出し、その先端に折り畳まれた初生葉をつけている。茎が直立するのと並行して初生葉が大きくなる。初生葉はダイズと同様に単葉で対生し、展開後は夜間は下に垂れ下がる(就眠運動、睡眠運動)。 |
B |
次に茎の頂部から3出複葉をふつうに出すと思ったところが、以下のように2つのパターンが見られた。 |
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A: 単葉と3出複葉が対生している場合。(3出複葉は遅れて展開) |
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B: 3出複葉が対生している場合。(片方の葉は遅れて展開) |
C |
次いで、頂部から複数のシュートを出し、3出複葉の本葉を出す。 |
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よい子達にどのように説明するのが望ましいか |
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ダイズとアズキの芽生えについて、3出複葉が出るまでの様子の違いを子供達にやさしく、客観的にに説明するには細心の注意が必要である。そこで、次はその試案である。 |
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ダイズとアズキは皆さんもよく知っているマメの仲間ですが、芽の出方がちょっと違っています。 |
A |
タネは乾いたままでは芽が出ないので、ふつうはかるく土をかぶせて水をやり、芽が出るのを待つことになります。 |
B |
いろいろな植物のタネは、自然のままでは土の中にもぐることはできず、乾燥したままで芽を出せないものが多くありますが、土の凸凹の間にうまく入り込んだり、枯れ葉の下になっていたりして、芽を出すのにふさわしい時期に土が湿っていれば、うまく芽を出すチャンスがあります。 |
C |
ダイズはまず根を土の中に伸ばし、次にタネを茎がそのまま持ち上げてタネの中味そのものであった子葉と呼ぶ2枚の厚い葉を開きます。この厚い葉には、ダイズにとってのしばらくの間の栄養が含まれています。皆さんがタネに土をかぶせていた場合は、土の中からマメがニョキッとでてくることになります。次に子葉の間から茎が少し伸びて薄い2枚の向き合った葉を出し、その次にダイズにとってはふつうの葉である3枚葉をやっと出します。 |
D |
アズキもまず根を土の中伸ばしますが、ダイズとは違って茎がタネを上に持ち上げることはありません。タネは地面に転がった状態で小さな閉じた葉をつけた茎がお辞儀をしたような形で伸び出て、薄い2枚の向き合った葉を広げます。閉じたままの子葉はもちろんしばらくの間の栄養が含まれています。皆さんがタネに土をかぶせていた場合は、土の中からお辞儀をしたような茎がニョキッと出てきます。その次にダイズと同じように、アズキにとってはふつうの葉である3枚葉をやっと出します。 |
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さて、よい子のひとりが仮に「ダイズの水を吸って膨らんだタネはアズキのタネよりずっと大きくて重いのに、なぜわざわざ茎が持ち上げるのですか?」と質問したら、何と答えればよいのか?
それに対してはオーソドックスに様々な得失を考えた植物自身の選択(戦略)に由来する多様性の存在の話で取り繕うのが一番であると思われるが、こうした小理屈をこねる子供を十分に納得させることはなかなかの難題であるから、科学者のプライドをかけた見解を引き出すべく、日本植物生理学会の「みんなのひろば」に救済を求めてみるのがよいかもしれない。 |
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