学名 |
図鑑 |
抜粋 |
Ziziphus jujuba var. jujuba 原変種
属名Ziziphus はアラビア語~ギリシャ語に由来
種小名 jujuba は
アラビア語より |
中国植物誌 |
中国名:棗。落葉小喬木、稀に灌木で樹高は10m余に達する。
中国原産で、アジア、ヨーロッパ、米国で栽培されている。
長枝は短枝と無芽小枝(新枝)と比べて光滑で紫紅色又は灰褐色で、長枝には2個の托葉刺があり、長い刺は3センチに達し、太くて直立し、短い刺は下方に湾曲し、長さ4-6ミリ。短枝は短くて太く、老枝から出る。当年生の小枝は緑色で下垂、単生又は2-7個束になって短枝につく。核果は矩円形又は長卵円形で長さ2-3.5センチ、直径1.5-2センチ、成熟時は紅色で、後に紅紫色になる。中果皮は肉質で厚く甘い。核の頂端は鋭く尖り、基部は鋭く尖るか鈍い。1個又は2個の種子が入っている。花梗長は2-5ミリ。種子は扁楕円形で、長さ約1センチ、幅8ミリ。花期は5-7月、果期は8-9月。
果実は生食以外に蜜棗、紅棗、薫棗、黒棗、酒棗、牙棗をつくることができ、棗のあん、麺、酒、酢などの食品工業原料となる。また薬用として養胃、健脾、益血、滋補、強身の効があり、種子と根にも薬効があり、種子は心を鎮めることができ、重要薬品のひとつとなっている。 |
Zizyphus jujuba
(???) |
中薬大辞典 |
中国名:酸棗
中薬名「酸棗仁(サンソウニン)」の基原は本種の種子(果核を除去したもの)
翻訳書の適用和名:サネブトナツメ
落葉低木又は小高木で、高さ1~3メートル。枝には長さ約2センチのとげと長さ約3ミリの反り曲がったとげがある。核果の径は1~1.4センチ、熟したときは暗赤色で、酸味がある。本植物の根皮(酸棗根皮)、棘刺(刺針)、葉(棘葉)、花(棘刺花)も薬用にされる。乾燥した熟した種子は扁平な円形又は楕円形。
*本文の内容は後出の Ziziphus jujuba var. spinosa であろう。 |
Zizyphus jujuba var. jujuba |
牧野新日本植物図鑑 |
和名 ナツメ として掲載。
ヨーロッパ南部、アジア西南部の原産でふつう人家に栽培されている無毛の落葉低木あるいは小高木である。
日本名は「夏芽」でその芽立ちがおそく、初夏に入ってようやく芽を出す特性を以て名付けたのである。漢名は棗。この植物はまたタイソウ(大棗)とも呼ばれ、食用或いは薬用にする。サネブトナツメからできたもので、棘を生ぜず、また果実が大形となった栽培変種である。 |
Ziziphus jujuba var. jujuba
(Ziziphus jujuba var. spinosa)
(???) |
新牧野日本植物図鑑 |
和名 サネブトナツメとして掲載。
西アジアから中国北部の乾燥地帯に広く自生する落葉低木で、日本では時折人家に植えまた時に野生化している。節に托葉の変化した鋭いとげがあるが、これの出方の少ないものをナツメという。果実はナツメより小さいことがふつう。果実の小さい割に核が大きいからサネブトという。これはナツメの原種に当たるが、その間の区別は必ずしも明瞭でない。
*中国名「酸棗」(後出)の学名を括弧書きしてシノニムとしているのは独自見解か?
*牧野植物図鑑は版により内容が揺れ動いている。 |
Ziziphus jujuba |
植物の世界 |
和名 ナツメ として掲載。
中国中・北部原産とされる落葉高木で、高さ10メートルに達する。長枝には托葉が変形した長さ3センチほどのとげがある。 |
Zizyphus jujuba |
小石川植物園看板 |
和名 ナツメとして表記。刺あり。 |
Ziziphus jujuba |
園芸植物大事典 |
和名 サネブトナツメ(???)として掲載
高木ないし低木。・・・新梢基部にはふつう刺がある。原産地はヨーロッパ南東部からアジア南部とされているが明らかではない。古くから中国中北部で広く栽培されているものは、本種の改良品種である。また、刺のない変種をナツメ(var. inermis )として区別する見解がある。現在中国においては、400品種以上が知られている。 |
Zizyphus jujuba Mill. |
樹木大図説 |
和名 サネブトナツメ(???)として掲載 一名マルナツメ(本草啓蒙)、スキナツメ(本草和名)、カラナツメ
落葉小喬木又は灌木、高10メートル、径0.3メートル、托葉は刺針と化す。枝に長枝、短枝あり、短枝上に長短2針と3~4個の長約12センチの結実枝を有し、長刺は3センチ、直立し、短枝は鈎状、長6センチ(注:正しくはミリ)、長短2刺は萌芽にも腋生す、結実枝の枝端のみ有毛、小枝は通常数本宛束生す。若枝に針状托葉あるも老木の枝にはこれを欠く。核果は球形、楕円体、長10~30ミリ、種子1個。本来刺の大きいのが棗であるという。
欧州東及び南部、アジア東及び南部の産。日本には享保7年及び12年漢種酸棗渡るという記事あり。現に小石川植物園には当時の樹木が残っている。日本では各地に半野生状に生じており、各地で庭樹として賞用する。 (注:本図鑑ではZizyphus jujuba Lam. を別途イヌナツメとして掲載している。) |
Ziziphus jujuba |
フローラ |
翻訳書の和名:ナツメ として掲載。 英名 chinese date , chinese jujube , common jujube
南ヨーロッパから中国にかけて広く分布する。成長の早い、刺のある落葉高木。 |
Zizyphus jujuba |
世界大百科事典 |
和名 ナツメ(棗) として掲載。
クロウメモドキ科の落葉高木で、地中海沿岸、中国では古来からの重要果樹。中国原産と推定され、高さ10メートルにも達し、枝にとげがある。 みつナツメ(蜜棗)は砂糖煮製品。材は堅く、車軸や印材となる。木版印刷の版木の材料ともなり、〈棗本〉とはその書物を指す。日本には野生種がなく、中国から古く渡来したが、果樹としては発展しなかった。 ナツメは薬用にもされ、種子は酸棗仁(さんそうにん)とよばれ、脂肪油、トリテルペノイド、サポニンを含む。鎮静安定、催眠作用があり、他の生薬と配合して心因性神経性の不眠症、健忘症、口渇、循環器系疾患、虚弱体質者の多汗、便秘に用いられる。 |
Ziziphus jujuba var. inermis 変種
変種名 inermis は刺針のない |
中国植物誌 |
中国名:無刺棗 (棗樹、棗子、紅棗、大棗、大甜棗)
原変種との違いは長枝に皮刺がなく、幼枝に托葉刺がない点である。
産地は原変種とほぼ同じで栽培され、用途も原変種と同じ。 花期は5-7月、果期は8-10月。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
中薬大辞典 |
中国名:棗(刺棗とも)
中薬名「大棗(タイソウ)」の基原は本種の熟した果実
翻訳書の和名:ナツメ
低木か小高木で、高さ10メートルに達する。枝には対になったとげあり、まっすぐ伸びるか鉤状に曲がる。果核は卵形ないし長円形、名が亜1.5~5センチ、成熟時は真紅色で、果肉は甘く、核の両端は鋭く尖っている。本植物の根(棗樹根)、樹皮(棗樹皮)、葉(棗葉)、果核(棗核)も薬用にされる。大棗は加工の違いにより、紅棗と黒棗の区別がある。薬用にされるものは一般に主として紅棗である。
*学名に反して枝にとげがあると淡々と記述している点は違和感がある。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
中国本草図録 |
中国名:棗
翻訳書の適用和名:ナツメ
中薬名「大棗(だいそう、たいそう)」は本種の成熟した果実。枝はなめらかでとげなしか又はとげがある。果実は isoquinoline、五環のトリテルペノイド化合物、zizyphus サポニンⅠ、zizyphus サポニンⅡなどを含む。 〔効能〕:脾虚を補い、和胃し、気力を増し、津液を生じ、営衛を調える。 〔応用〕:脾虚による食慾不振、気・血・津液の不足、倦怠無力、営衛の不調和、動悸、ノイローゼ、女性のヒステリー、紫斑病などに用いる。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
中国・百度百科 |
中国名:無刺棗
(植物形態は中国植物誌をベース) |
Zizyphus jujuba var. inermis |
日本薬局方 |
生薬名タイソウ 大棗 はナツメ Zizyphus jujuba var. inermis の果実である。 (注:生薬名は中国名に従ったもの。) |
Zizyphus jujuba var. inermis |
東京都薬用植物園 |
和名 ナツメ
生薬名 タイソウ(大棗)
薬用部分 果実
用途 漢方処方用薬:鎮静・強壮(葛根湯
成分 トリテルペン等
*刺のないタイプが植栽されている。樹高は6メートルほど。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
日本の野生植物 |
和名:ナツメ(棗) *漢字名は中国名より
中国北部原産の落葉高木。日本では古くから栽培し、果実を食用にした。 長枝には托葉から変わった2個のとげがあり、うち1個は直生し、長さ約3センチになる。他の1個は短くて下へ曲がり、鉤形になる。
核果はきわめて短い花柄を持ち、球形ないし長楕円形で、長さ1.5-2.5センチ、熟して暗紅色になる。外果皮(注:正しくは中果皮)は肉質で甘い。
*枝にとげがあると淡々と記述している点は違和感がある。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
新牧野日本植物図鑑 |
和名 ナツメとして掲載
西アジアから中国北部の原産で、人家で差に栽培されている無毛の落葉低木あるいは小高木である。根がのびた先から時に若い下部が新生する。高さは10メートル位に達し、しばしばとげを持つ。核果は楕円体でなめらか、長さ2センチぐらいであるが大きいものは3センチぐらいになる。初め緑色であるが、後に黄褐色となる。サネブトナツメからできたもので、とげがないかあっても少なく、また果実が大形となった栽培変種である。
日本名は夏芽で、その芽立ちがおそく、初夏に入ってようやく芽を出す特性を以て名付けたのである。
*牧野新日本植物図鑑では Zizyphus jujuba var. jujuba をナツメとしていた。 |
Ziziphus jujuba var. inermis |
APG原色牧野植物大図鑑 |
和名:ナツメ
西アジアから中国北部の原産。若枝にときにとげがある。和名夏芽(なつめ)は初夏に芽を出すのでいう。 |
Zizyphus jujuba var. inermis |
樹木大図説 |
和名 ナツメ (ナツウメ、ナツミ、ナツモ、ナシンメ、タイソウ)
刺のないもの。南欧、西アジア、西方アジアの産という。各国に栽植品多く、サネブトナツメの改良品ともいわれる。日本でも農村に栽植している。 日本にあるものには果実が球形と楕円体と2種あり、果皮も赤褐色と淡黄色と2種あり、風味には差異がない。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa 変種
変種名 spinosa は刺多い |
中国植物誌 |
中国名:酸棗 (棘、酸棗樹、角針、硬棗、山棗樹)
本変種は通常灌木で葉はかなり小さく、核果も小さくて球形に近いか短矩円形で、直径は0.7-1.2センチ、中果皮(果肉)は薄くて酸っぱく、核は両端が鈍い。花期は6-7月、果期あ8-9月。中国のほか朝鮮、ロシアに分布。
酸棗の種子(酸棗仁)は薬用となり、心を鎮める効があり、神経衰弱、不眠等の症状を治す。果実は肉薄であるが豊富なビタミンCを含むみ、生食又はジャムを作ることができる。花には芳香があって蜜腺が多く、華北地区の重要な蜜源植物のひとつとなっている。枝には鋭いとげがあり、生垣に利用される。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
中国本草図録 |
中国名:酸棗
翻訳書の適用和名:サネブトナツメ
中薬名「酸棗仁(さんそうにん)」は本種の果核。樹高1~3メートルの落葉小低木。分岐の基部に1対のとげがあり、1つは直立し、太く硬い、もう1つは下向きに湾曲し、小さい。托葉は針状。核果は多肉質でほぼ球形、熟すると暗赤色になる。果皮は薄く、酸味がある。 果核には jujuboside A・Bなどを含む。
〔効能〕:肝を滋養し、鎮静・止汗作用がある。
〔応用〕:心労による精神不安・不眠、動機・神経過敏、津液不足による口渇、衰弱時の多汗に用いる。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
中国・百度百科 |
中国名・酸棗
落葉灌木又は小喬木で、高さ1-4メートル。 核果は小さく、味は酸っぱい。
(中国植物図像庫ベース) |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
日本薬局方 |
生薬名サンソウニン 酸棗仁 はサネブトナツメ Zizyphus jujuba var. spinosa の種子である。 (注:生薬名は中国名に従ったもの。) |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
東京都薬用植物園 |
和名 サネブトナツメ
生薬名 サンソウニン(酸棗仁)
薬用部分 種子
用途 漢方処方用薬:神経強壮・鎮静(酸棗仁湯)
成分 ジュジュボシドA、B、C 等
★刺のあるタイプが植栽されている。樹高は6メートルほど。小粒の果実を確認。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
小石川植物園看板 |
和名:サネブトナツメと表記
中国名が酸棗であること、園内植栽樹が享保12(1727)年に中国から輸入されたものであることを紹介している。
★小石川植物園の植栽樹は、台風被害を受けて倒れた状態となっているが、太枝が存命である。倒れ幹は立派な大径木でであり、灌木からはほど遠いことから、少々疑念を持ったが、小さな落下果実を見かけたことから、サネブトナツメと受け止めることとしたい。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
日本の野生植物 |
和名:サネブトナツメ
果肉がやせて核が大きいもので、枝にはとげが多い。核を生薬名「酸棗仁」といい、薬用にする。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
APG原色牧野植物大図鑑 |
和名:サネブトナツメ
西アジアから中国北部の乾燥地帯の原産。日本へは、享保8年と12年に小石川植物園(当時の幕府薬園)に植えられた。中の核が大きいのでサネブトという。漢名棗(注:正しくは酸棗)。
注:「中の核が大きい」とする表現は不適当で、ナツメより果実も核は小さく、果肉が薄い。 |
Zizyphus jujuba var. spinosa |
牧野新日本植物図鑑 |
和名:サネブトナツメ
ヨーロッパ南部、アジア東部及び南部の乾燥地帯に広く自生する落葉低木で、日本では時折人家に植えまた時には野生化している。若い枝に鋭いとげがあり、この出方の少ないものをナツメという。果実はナツメより小さいことがふつう。果実の小さい割に核が大きいからサネブトという。これはナツメの原種に当たるが、その間の区別は必ずしも明瞭ではない。
*新牧野日本植物図鑑ではZizyphus jujuba var. jujuba と同種としている。 |
Ziziphus jujuba var. spinosa |
植物の世界 |
和名:サネブトナツメ
核果が小形で果肉が薄い変種で、野生に近いものと考えられている。 |
Ziziphus jujuba cv. Tortuosa 栽培品種 |
中国植物誌 |
中国名:龍爪棗(通用名) 小枝は常にねじ曲がって上に伸び、棘はない。花柄は長く、核果はかなり小さく直径は5ミリ。公園、庭園に植栽され、観賞用とされる。 |
Ziziphus jububa f. lageniformis 品種 |
中国植物誌 |
中国名:還有葫芦棗 (*葫芦は瓢箪の意) 小喬木で、果実は中部以上が細くくびれて瓢箪状を呈する。華北産で北京ほかにわずかな栽培がある。 |