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木あそび
 
  心安らぐ家具のワンダーランド
             


 量産家具とは明らかに棲み分けした各地の手作り家具が魅力の光を放っている。多くはオイル仕上げオイルフィニッシュ)で、素材の質感はそのままに、しっとりした自然な感触が魅力となっている。製品を通して多様な広葉樹の個性を手触りで楽しむことができる。こうした家具を主体に取り扱っていた家具店が意外にも緑豊かな静かな環境に店を構えていた。【2008.10】 


 展示家具のほとんどがオイル仕上げで、素材はナラ、カバ、クリ、トチ、ニレ等の無垢材ばかりである。現在では特に減少が著しいクリの大径材のテーブルや座卓も見られた。もう、ウキウキ、ドキドキ、ウットリ気分で、次々と製品をなでさすってしまう。
 自然に生じた材の割れ止めのための蝶型の色違いの材による「千切り(ちぎり)」もきれいである。これは手作り家具の象徴的なデザインともなっている。また、樹種、価格の表示札にすべて和紙を使用しているこだわりが本物の家具と相性の良いハーモニーを奏でている。
 
   店内の装飾看板 1
     木工具の装飾展示
創業者の手道具が装飾的に展示されている。
   店内の装飾看板 2
 展示は1階と2階で、展示品はかなり多くて楽しめる。

 デザインを意識したセンスのよいディスプレイとなっている。
             さしこう家具店の製品展示の様子       

 場所は岡山県の北部、津山市の北部の山間に立地している。家族経営の会社でおじいちゃんが指物師であったという。昭和10年に創業した家具店は、世代交代を経る中で現在見られるような品揃えの店として変化してきたのであろう。家具は四国産のものが多い模様で、また家具以外にも木工クラフト、小物類も取り扱っていて、静岡県からも作品を取り寄せている。お眼鏡にかなったものを取り扱っていることが伝わってくる。

 多用されているオイル仕上げに使用されているオイルは、近年はその組成となっている植物系オイルが有害物質を含まないこと、環境に優しいこと等から、家具、クラフト類に止まらず住宅の床の仕上げにも利用が拡大している。
 もちろんメンテナンスのためには、定期的にオイルで拭き込むことが必要である。オイルは素材の質感を損なう塗膜を作らない点が魅力であり、したがってみっともない塗料の剥がれは生じないし、傷になっても部分的にオイルで拭けばよい。定期的なメンテナンスは家具を大切にする人であればむしろ楽しみとなろう。

 こうした店が、東京都内の目黒通り、青山近辺にあれば、随分売り上げが伸びるであろうことは想像できるが、静かな環境でさりげなく立地していることが意外であり、またある意味で魅力にもなっている。
 
有限会社サシコー家具店
「手づくり家具の店 さしこう家具」 http://sashiko.co.jp/
 岡山県津山市加茂町桑原55