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木あそび
 
  納豆箸の研究   納豆で小太りのススメ
  
                      


 納豆ダイエットのウソ(2007)に振り回された人には気の毒であるが、納豆のような良質の健康食品を食べてダイエットとは、そもそも論理矛盾もいいところである。納豆を一生懸命に食べれば、必ずや小泉武夫のような非常に健康的な小太り体型が実現できるものと考えている。我々が特に意識すべきは、自らの遺伝子に忠実に伝統的食文化を守りつつ、節度ある小太り体型を維持することが一番好ましいのではないだろうか。(この点に関しては科学的な根拠は全くない。)
 そのためには、納豆を食することを日常生活の一部にすることを重要なメニューとしたい。
 さて、納豆にありつくためにはもちろん、あらかじめしっかりと、納豆(ここでは「ナット」と読む。)クできる状態にまでコネるという儀式を必ず通過しなければならない。この儀式に最もふさわしく、かつ機能的な道具とはどんなものであろうか。これぞという道具があるのだろうか。【2007.7】  


 そこでいろいろ調べたり、徘徊してみると、「納豆箸」という名で納豆コネ専用の太めの箸がポチポチ出回っていることが分かった。
@  長さは概ね20センチほどが多い。コネるのが目的であるから、使い勝手を考えれば普通の箸より短めであることは当然の帰結で、十分理解できる。
A  形状は総じて普通の箸よりずんぐりむっくりで、中には持ち手より先端部のほうが太い、先太りタイプも見られた。要はグリグリと力強くかつ効率的にコネるためには先端部が少々太めであることと、全体の強度が求められることから、自ずと小太りタイプであることが必要となる。したがって、先端がある程度太くかつ持ちやすければよく、先太りの形状にこだわる理由はない。
B  先端部の数センチの長さにわたり、攪拌効果をねらって凸凹にキザミを入れたものが複数見られた。わからないではないが、ネバネバの箸の形状がごちゃごちゃしていたんでは、自分で洗うことを考えたらぞっとしてしまう。したがって、その形状による機能の優位性は想像できるが、これは受け入れられない。
C  素材は天然木に拭き漆が多く、黒檀製も見られる。もちろん素材の種類、仕上げは好みの問題で、機能的な差などあり得ない。
D  百円ショップでは今のところ見られない。百円ショップではなんと本漆の箸も多く出回っているところであるが、納豆箸が出現するか否かは需要をどう見込むかによる。ひょっとして、時間の問題かもしれない。
E  価格は七百円以上で、これを高いと見るか否かは人それぞれである。ただ、購入するには余りにもシンプルな形状の製品である。


 自家製納豆箸の製作

 さて、先に手作り箸を講釈した手前、ここは自作しないと具合が悪い。全く力む必要はなくて、適当な太さの角棒の角を落としてテーパーに仕上げれば終わりである。
 素材はサクラを使うことにした。鉋(かんな)を使ってチョチョイのチョイである。長さは約20センチ。太さは削りながら、しばしば手に取って加減したものである。成り行き上、持ち手部分は八角形で、上半部は荒々円柱状とした。先端部は納豆容器を破らないように丸めた。


  自家製納豆橋 

 最適の太さより、やや太めとしている。表面が痛んできたら、また鉋で一皮削る方式を予定しているためである。


使い心地

  コネの準備作業として、まずはくっつき気味の納豆をほぐしてやらなければならない。普通の箸であれば、箸を寝かせ気味にして実行していたが、先端が太いとこれがまた楽ちんであることがわかった。餅つきの前段作業で、杵で押すのと同じで、こちらは数回突けばほぐれて準備万端となる。
普通の箸なら、最低50回、60回かき回す必要があるとかいった講釈を耳にするが、太めの箸の効果は絶大であった。30回もかき回せば、ほぼいい具合になる。箸は気取って持つ必要はなく、軽くげんこつ握りをすれば、非常に楽にコネることができる。また、げんこつ握りをすることで、箸の先端が少し開いて、攪拌効果がより高まるようである。

 これを体感すると、今までのこねくりは何であったのだろうかと思ってしまう。耳かきでホイップクリームを作ろうとしていたようなものである。やはり作業の目的、条件に適合した道具の威力は全く別物、絶大である。