木あそび
スッポン屋さんのオブジェ木炭
都内有楽町の交通会館の地下1階にスッポンパワーでおとーさん達をサポートする有名な店があって、これらスッポン、赤まむしの普通の展示販売品の隣りに何やら黒いものが小綺麗に陳列してあるのを見かけた。イモリの黒焼きではない。足を止めてよく見ると、何と色々な種類の切り炭である。スッポンと切り炭という何ともシュールな取り合わせに興味を持ち、店内を見物してみた。 【2009.3】 |
|
||||||||
その炭は「オブジェ木炭」と呼んでいて、茶の湯炭風でもあり、形状も丸、半割、四つ割とあって、7. 5センチほどに切りそろえてある。樹種はいろいろ使用しているようであり、樹皮が比較的多く残っているものとそうでないものが見られた。樹種によっては、あるいは採取時期によっては樹皮の剥離は避けられないことなのかも知れない。その他長めに切った桐炭や枝炭もある。 販売品の価格表示を見ると、 四ッ割り炭は 3ヶ 1,200円 丸、半割、枝炭は 3ヶ 1,800円 とある。炭だけを見ると少々高いが、金沢産の装飾用の真田紐2本と鬱金(ウコン)布をサービスするという変わった趣向、取り合わせの販売である。オブジェとして飾る場合の演出に利用するなど自由にご利用下さいというシナリオである。 |
||||||||
|
||||||||
店内をさらに奥に進むと、驚いたことに“芸術的な”炭が多数展示されている。大きさ、形状も様々で、正に装飾用、インテリアとしての炭である。この中でも特に目が止まったのは、直径が30センチ余もあろうかという短尺の丸太をそのまま炭にして直立させた“作品”である。こんなに巨大な炭を見るのは初めてであった。木口もいい艶をしていて、思わず撫でさすってしまった。多分、炭化するには相当な時間と技術を要するに違いない。是非とも写真を撮りたかったが、ほかの作品群と合わせて美術館並みに厳重に撮影が規制されていたため、残念ながらここに紹介することができない。一見の価値ありである。 なお、同じ階の少し離れたところには、この巨大炭の兄弟分がズラリ並んだ展示コーナーまで存在することを後日知った。 “ さて、なぜスッポン屋さんが炭を?・・であるが、看板、チラシを見ると「環境」がキーワードとなっていた。特にチラシには「炭化加工により炭素が固定される木炭の多目的な利用は、能登半島の『里山の活性化』と『地球環境』に役立ちます。」とあった。 さらに、チラシでは販売用となるオブジェ木炭は歩留まりが低く、多くは同社のスッポン池や薬草畑で有効利用していることを記述している。実にユニークで興味深い取り組みである。多分スッポンが稼いでくれるためか、何やら余裕を感じさせる演出といった印象があった。 なお、この会社「スッポン堂」は金沢市に本部を置いていて、炭は「能登炭」としている。能登国奥部は、古く中世から近世まで炭の産地であったとされる。 ■有限会社熊坂ノ庄スッポン堂商事 金沢 治与門窯 スッポン堂 石川県金沢市神野町東90 |
||||||||
【参考メモ】 炭を宣伝する店頭看板の気になった記述“虫除け(窓枠のクモの巣他)に最適”について、さてどのように利用すればよいのか、これではわからない。そこで、会社に直接聞いたところ、窓辺に炭を置くとクモなどが寄りつきにくいとする古くからの言い伝えがあるとのことであった。最近のクモたちに効き目があってもなくても一向に構わないが、昔からの話と聞くと実に興味深い。 |