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華やかな豊後梅の花
梅の中でも豊後梅はピンク色で大きく実に華やかである。八重品種では、開花途中の姿はまるでピンクのバラの花のように見える。豊後梅はアンズとの雑種と考えられていて、萼片はアンズと同様の赤紫色である。 |
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いろいろなウメ品種 |
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豊後(八重) |
豊後(一重) |
浜坂・八房梅 |
八重寒紅 |
(開花の途中) |
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紅梅1 |
紅梅2 |
紅梅3 |
鹿児島紅 |
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御所紅 |
白梅 |
白加賀 |
紅枝垂で見られた色っ ぽい果実 |
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鴛鴦(えんおう)
(緋梅系・紅梅性) |
鴛鴦(えんおう)
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八重唐梅
(緋梅系・唐梅性) |
八房 |
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「鴛鴦(えんおう)」と「八重唐梅」は1花に複数の果実を付けるよく知られた品種である。八房も同様で、各地でその存在が知られているが、必ずしも単一の系統とは限らないと思われる。 |
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さて、梅の材の様子であるが、冒頭で触れた紅梅と白梅の小径木で作成した標本は以下のとおりである。(いずれもオイル仕上げとしている。) |
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A |
白梅 |
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白梅の木口面 |
白梅の材面 |
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B |
紅梅 |
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紅梅の木口面 |
紅梅の材面 |
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名前のとおり、白梅の材は淡色で、紅梅の材は紅がかった鮮やかで魅力的な色であった。
梅の材を素材とした工芸品の事例で記憶にあるのは、大分県日田郡大山町(現在は日田市大山町)の「梅の木工房」(現在は「ウッドアート楽」となっている。)が唯一である。平成13年頃に工房を拝見したときは、皮付きの梅材の各種製品が多数販売されていた。思い切り高い価格設定で、手が出なかったが、その時は梅の材が紅色がかった魅力的な色であったことに意外性を感じるとともに好印象を持った記憶がある。
ただし、このときの印象では、淡色の材の製品は記憶になかったため、気になって現在の「ウッドアート楽」に梅の木の材色について改めて電話で聞いてみることにした。
すると、当時、梅園植栽樹の更新に伴い伐採され、集められたた梅の古木の中で、赤味が強いものは少なかったということであった。
一方、ウメの材の材色に関して記述した情報として、以下のような内容を目にした。 |
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【木材大百科】:ウメ |
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万葉時代には花木として最ももてはやされ、この時代に花といえばサクラではなく、むしろウメを主にしていたと考えられている。「万葉集」でウメの歌はハギに次いで多く118首とされる。
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材はふつう散孔材とされるがやや環孔材的傾向をもつ。辺材・心材の境界はほぼ明瞭で、辺材は淡黄褐色、心材は紅褐色を示す。年輪はほぼ明瞭、肌目は緻密である。
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材質は強靱である。乾燥は困難、切削加工などはかたい割合に困難でなく仕上げ面は良好で光沢が出る。割裂しにくく耐朽性は大きい。材の用途は器具材が主で櫛にはツゲ、イスノキに次ぐものとして賞用された。数珠にもなり、とくに日蓮宗では星下がりウメと称して白梅の中心材を用いた。そのほかそろばん珠、将棋の駒、箸、台・箱などの小細工物、工具の柄、旋削して盆などの漆器木地、洋傘の柄、ステッキ、彫刻物(一般彫刻、根付、印材)、三味線の胴(少ない)、床柱にも使われる。 |
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A |
【保育社原色木材大図鑑】:ウメ |
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堅硬な散孔材。心材は紅褐色、辺材は黄褐色、両材の境界はやや明瞭。組織は緻密で磨けば光沢が出る。
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木口面での道管の管孔は肉眼でも認められるが小さく、多数散在している。ことに早材の年輪界付近にその密度が高いので概観的には環孔材のように見える。
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材の重厚な感じがよろこばれ、床柱をはじめ器具(小細工・箱・算盤珠・念珠・櫛・柄)、彫刻に、樹皮は薬用に、果実は食用と染色媒染剤になる。 |
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B |
【大日本有用樹木効用編】:ウメ |
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材は櫛材、盆其他の旋作用材に供す又機械の摩擦部に用ゆ又床柱となすに雅致あり又板に雲容の美観あるを以て指物として賞用す 樹皮は薬用となし又其灰は染家に需要すといふ又紅梅の材は紅色にして美なり枝の直なるものは杖となすに宜し |
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C |
【山渓 日本の樹木】:ウメ
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園芸種の分類でいう紅梅系は多くは紅花で、枝の髄が赤いのが特徴なので、枝を折ってみると区別できる。たとえ白花でも、枝を折ってみて、赤い材なら紅梅系といっている(東都、雪灯籠などの品種)。 |
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D |
【朝日百科 植物の世界】:ウメ
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紅梅性は花の紅白に関係なく、幹や枝の芯(随)が紅色をおびる特徴を持つ。 |
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これらを見ると、材色に関して、梅の心材は紅褐色であるとしていたり、紅梅の材は紅色であるとしていたりで、記述内容は必ずしも一致していない。また、紅梅に関しては、花色にかかわらず枝や幹の芯(随)の赤いものを園芸品種としては「紅梅」として区分している。ただし、「幹の芯」との語は少々わかりにくいが、これは、幹の場合にあっては心材と理解してもよいのではないだろうか。
梅の材色に関して本当に確認するのであれば、梅の園芸品種区分でいう野梅系、緋梅系、豊後系の多くのウメの品種をバッサバッサと伐りまくり、花色と材色(枝の芯と幹の心材)の様子を対比・確認できる画像データを作成しない限り、一般論を記述することは難しいように思える。
とりあえずのところは、次のように理解(想像)しておくこととする。 |
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1 |
先の電話取材及び現物確認の結果からも、梅の心材がどれも赤いということはない。
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2 |
心材の赤い梅は個性的で美しく、器具、小細工物の素材として賞用されてきた。
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3 |
一方、淡色の梅の材は特に個性はなく、特に好んで使われることもないため、結果として一般に存在感が薄いものとなった可能性がある。
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4 |
世に言う紅梅は、花色の赤いものであるが、園芸的な分類では赤花種と一部の白花種が該当する枝の芯(随)の赤いものを指し、たぶんこれらの幹の心材も赤いものと思われる。
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5 |
枝の芯(随)が赤くなくないのに心材が赤色を呈する梅はたぶん存在しないと思われる。また、花が赤いのに、枝の芯も、幹の心材も紅くないものもないと思いたい。(こんなものがあったら困る!) |
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紅梅の小径木を利用して作ってみた器(ニマ) |
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なお、多くの品種の若枝の皮の色に関しては、表で整理した資料をよく目にするが、野梅系の青軸性の場合に常に緑色である以外は、日焼けすると赤味が出るもの(野梅系・野梅性)、黒褐色になるもの(緋梅系・緋梅性)等々、色が変化するものが多くて、とても覚える気にもならない。 |
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