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木あそび
  拍子木の研究 


写真はトップページにも掲げた手作り拍子木。材は左から@ヤマザクラA同、Bイスノキ(廃床板3枚貼り合わせ)、C同(廃床板2枚貼り合わせ)、DカシE同FミズメGブナ(端材2枚貼り合わせ)、Hクリ

 拍子木の研究と大げさな題を掲げたが、実は木の標本を兼ねて、木の種類による音色の違いを試してみることが目的であった。(もちろん耳だけが頼り)

 大相撲の拍子木サクラ歌舞伎の拍子木シラカシということで定着していると聞く(「木の知恵・モノから見た木の使い分け」を参照)。そこで、ケーススタディとして、相撲での東西力士の土俵入りの際のそれぞれの拍子木の音に注意すると、音の高さ等がかなり違うという余分なことに気づく。これは、東西それぞれの拍子木の固有の振動数等に起因するもので、当事者も別に使用する拍子木の音合わせまではしていないことがわかる。

 さて、この拍子木を自作してみて、2本の拍子木の音の調整が案外面倒なことがわかった。

 目見当で拍子木を作って、これを実際に打ってみて、以下のことに気づいた。

2本の拍子木の固有の振動数をぴったり合わせるなどということは素人には到底困難であること。
断面が正方形であっても、打つ面でそれぞれの固有の振動数は大きく異なること。
2本の拍子木の固有の振動数のズレは、聞くに堪えない場合と、和音的にハモる場合があり、後者の場合はもちろん、むしろ望ましいこと。

 ということで、2本の拍子木をクルクル回して、一番いい音を発する面に印を付けるということになった。木の種類による違いはたぶん波形の違いにも現れるものと思われるが、感覚的にいえば、カシの木やイスノキなどの堅い木は金属的、あるいは乾いた音といった感じで、ヤマザクラは澄んだしみわたる音がする。

 相撲の拍子木を改めて目を凝らしてよく見ると、いい色、いい艶をしていた。大切なプロの道具である。