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木遊び
   ヒノキの枝の赤い芯は美しい!


 ヒノキの板材では、それが間伐材由来のものであっても艶やかな鮮紅色の節(もちろん生き節)が美しい。木曽ヒノキのような大径木では、主役はもちろん柾目材であるが、大きめの赤い節がまんべんなく出た材は、それとして好まれ、「節板」の呼称もある。
 この真っ赤な節を見ていると、ヒノキ大径木の太い枝の芯自体が興味深い工作素材となりうることに気づく。身近なところにも同じ思いを抱く人がいて、趣味でネクタイピンや文鎮を作っていた人もいた。
 たまたま、ある神社の推定樹齢800年とも言われる大ヒノキの枝を整理することになり、その際に発生した太枝が少々手に入った。これ幸いで、早速その色合いと質感を楽しむため、ささやかな小物を作ってみた。 【2011.1】 


    ホームセンターでは「すのこ板」として、人工林ヒノキの小幅板が比較的安く販売されていて、赤い節も美しく、いろいろな用途に利用できる。
 木曽ヒノキの美しい節のある厚板もしばしば購入して利用したことがあるが、これも魅力的な素材である。ある意味、節が主役と言えなくもない。ただし、節にはしばしばわずかな割れが見られることがあるが、この場合は透明のエポキシ接着剤を埋め込めば全く違和感なく利用できた。

 さて、ヒノキの太枝の赤い芯のはなしである。木曽ヒノキのふるさと、木曽谷界隈の地場の木工品としても、赤い節を自然のデザインとして利用した木製品群を見た記憶がある。少々癖のある素材であることもあって、製品としてはややワンパターンで、魅力を出し切っていない印象があった。いろいろな製品を目にしたが、赤い枝そのものを素材とした商品は木曽では見たことはない。
 この地域ではヒノキの枝の赤い芯の部分を指して、「アカシ」と呼んでいた。「赤枝」に由来するものなのかは不明であるが、鮮やかな赤色で、脂をたっぷり蓄え、鉈の刃を跳ね返すほど硬いこの部位の特性はやはり意識されていた。
 
   
 
   このヒノキの本体は推定樹齢800年とされているが、写真の枝の年輪は細かすぎで、とても数えられない。

 まずは最もシンプルな標本兼用のコースターである

 中心(随)からの距離が長い左側が枝の下側になっていた方向である。重い枝を支えるため、針葉樹では下側にこれに耐える木材組織である「あて材圧縮あて材)」が形成される。針葉樹のあて材にはリグニンが多いことが知られている。
  ヒノキの太い枝の輪切りコースター  
   
   
              ヒノキの太い枝の心材で製作した文鎮
 年輪が詰まっていている上に脂をたっぷり含んで重いため、鉛を仕込まなくてもこのままで文鎮になる。枝の辺材部分を落として作成した。
   
 
 これも辺材部分を落として、枝の赤い部分だけで作ったペン立てである。

 ウレタン塗装をしてしまってはおもしろくないから、とりあえずは椿油で拭っておいた。

 ヒノキの香りもそのままである。
     ヒノキの太い枝の心材で製作したペン立て