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見事に花を付けたヤマボウシ
ヤマボウシはミズキと同様に花を平面的に付けるから、大きな樹を下から見上げても面白くないが、こうして斜め上から見下ろせる条件があると具合がよい。(岡山県内
5月下旬) |
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ヤマボウシの花
中心部が花の集まりで、白い花弁風のペラペラは総苞片と呼んでいる。わずかにピンク色を帯びるものもある。(岡山県内 6月中旬) |
ベニバナヤマボウシの花
こちらはピンク色の品種でベニバナヤマボウシ(ベニヤマボウシとも)の名があり、庭先、緑化樹としてよく見掛ける。 |
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ヤマボウシの中心の花
4個の花弁と雄しべがある。花粉の運搬は主に甲虫に依存している。
(北海道内 7月上旬) |
花後の様子
ほとんど機雷のような印象である。 |
ヤマボウシの果実
果実は核果が集まった集合果。
(北海道内 9月中旬) |
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果実の味に関しては感じ方に差があるようで、個人的にはそのままではおいしいとまでは感じないが、ねっとりした食感と淡い甘さがある。人によっては美味しいと感じるらしい。
試したことはないが、ヤマボウシの果実で果実酒やジャムをつくることができる(ジャムはもちろん核を除き、さらに酸味を加えることが必要。)ようであり、ヤマボウシジャムは市販品も見られる。 |
ヤマボウシ果実のアップ
個体によって果実の大きさにはかなりの差が見られる。大きいものでは径が25ミリに達していた。
(北海道内 9月中旬) |
ヤマボウシ果実の核
果実の核は不定形で、その数は全くないものから数個入っているものまで一定していなかった。 |
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ヤマボウシの樹皮 1 |
ヤマボウシの樹皮 2 |
ヤマボウシの紅葉
果実は紅葉前に落としている。 |
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1 |
ヤマボウシとハナミズキの和名、学名、英語名
迷惑なことに学名を複数見るほか、奇妙な英語名が存在する。 |
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区分 |
学名 1 |
学名 2 |
英語名 |
ヤマボウシ |
(ミズキ属)
Cornus kousa |
(ヤマボウシ属)
Benthamidia japonica |
Kousa dogwood |
ハナミズキ
アメリカヤマボウシ |
(ミズキ属)
Cornus florida
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(ヤマボウシ属)
Benthamidia florida |
(Flowering) dogwood |
サンシュユ |
(ミズキ属)
Cornus offcinalis |
(サンシュユ属)
Cornus officinalis |
Japanese comelian cherry
Japanese comel dogwood |
ミズキ |
(ミズキ属)
Cornus controversa |
(ミズキ属)
Swida controversa |
Giant dogwood |
セイヨウミズキ |
(ミズキ属)
Cornus sanguinea |
(ミズキ属)
Swida sanguinea |
(Common) dogwood |
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以下は名称に係る講釈の事例である。 |
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A |
種小名 kousa は神奈川県箱根地方の方言 クサ に基づく。日本名は山法師で、多分丸いつぼみの集まりを坊主頭に、白い総苞をそれの頭巾に見立てたものであろう。別名のヤマグワは山桑で、食用となる集合果をクワの実に見立て、野生のクワの意味である。【牧野新日本植物図鑑】 |
B |
flowering dogwood (ハナミズキ)は Cornus florida の一般名である。すべての dogwood は顕花植物(被子植物)flowering plats(angiosperms)で、cornel(Cornus officinalis サンシュユ)、comelian cherry(Cornus mas セイヨウサンシュユ)、red osier(Cornus stolonifera)、kousa dogwood(Cornus kousa ヤマボウシ )、bloodtwig(Cornus sanguinea セイヨウミズキ)、redtwig(Cornus alba サンゴミズキ)、gray dogwood(Cornus racemosa ‘Emerald’) などそれぞれの一般名がある。このように、flowering dogwood は Cornus florida のみを指している。
【gardenguides.com】 |
C |
Gerald Klingaman 博士によれば、Cornus の属名は、角(つの)のような形状の堅くて骨のように尖ったものを意味するラテン語の単語 “cornu”に由来する。
“Cornus”は二命名法による学名を確立した名高いスウェーデンの植物学者であるカール・リンネ(Carl Linnaeus)が選び dogwood
に与えた語である。 “Florida”は米国のフロリダ州を指すのではなく、ラテン語で flowering(開花、花形模様)を意味する。
dogwood の科名 Cornaceae はラテン語で horn (角 つの)を意味し、おそらくその材の硬さに由来する。
【gardenguides.com】 |
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2 |
ミズキ属を指す英語名の Dogwood の由来
しばしばハナミズキの英語名がドッグウッドであるとして紹介されているが、調べてみると、英語名の Dogwood ドッグウッドの呼称は、広くミズキ属全体を指したもので、ハナミズキの原産地の米国ではこの英語名 Flowering dogwood フラワリング・ドッグウッドを短縮して単に Dogwood ドッグウッドと呼ぶことが多いということである。したがって、米国以外でも短縮表現の Dogwood が必ずハナミズキを指すものではない。
文字どおりの「犬の木」では、日本民族にとってはあまりにも唐突、意味不明であり、これについては英語民族でもやはり気になるらしく、諸説を紹介する情報が多い。
集約すれば、以下の3つの説になろうか。
@ この樹は硬く、肉串あるいは短剣(Dag , Daggers )としたことに由来する。
A セイヨウミズキの樹皮を煎じて犬の皮膚病(疥癬)の薬とした。
B この樹の葉から犬ののみ取りを製した。
これらのうち、AとBについては総じて懐疑的で、@の説が優勢な印象である。
以下は具体的な講釈事例である。 |
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A |
ヨーロッパでは dogwood から dagger ダガーが作られた。そして、dagger の語の古い英語(dag or dague)は、dogwood
の木の名前の起源である可能性をうかがわせる。
人によっては dogwoood の名前は Cornus sanguines (セイヨウミズキ)から得られた疥癬の治療法に由来するとの説を唱えている。【gardenguides.com】 |
B |
この樹の名前の起源に関してはやや混乱が見られるが、見た目の魅力に関しては議論は要しない。ドッグウッドの名前の起源については混乱がつきまとっている(dogged
by confusion)。この樹の材はかつて肉串として利用され、その名は dag で、現代英語では dagger と言うため、これが命名の理由であるとした考え方がある。しかし、17世紀の昔、植物学者のジョン・パーキンソンは、「その樹の実はイヌも食べないし、イヌに与えることもないから
dogge berry tree と呼ぶ。」と言っていた。【Kew Gardens】
(注)dogge は中期英語で dog の意。現在の英語で dogberry はミズキ等の実を指す。 |
C |
・・・・他の権威ある者は、その名前はその樹の葉からつくられるイヌのノミを取り除く調合薬によるものと信じている。【Irene Virag】 |
D |
ドッグウッドの名は、串を意味するサンスクリット語の dag に由来する可能性が高い。
【ブリティッシュコロンビア州政府】 |
E |
ドッグウッドの名は明らかにヨーロッパ起源である。ヨーロッパに分布する樹種(注:したがって米国産のハナミズキを指していない。)の樹皮を煎じたものが、
疥癬をを患う犬を洗うのに使用された。また別の説があって、dogwood の語は dagwood に由来するというもので、その場合 dag は肉串の古い名称で、この木の堅い材がその用途に適していたという。【テネシー大学】 |
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こうした諸説の一部は国内の図鑑類でも紹介されているところである。 |
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A |
Cornus は ラテン語 cornu (角)に由来。この植物の材質が硬いことに由来。ヨーロッパ種 C. sanguinea (注:セイヨウミズキ)は古くは剣材として用いられ、古典英語 dagge (短剣、鋭く尖ったもの)の意からきた Dogwood の名がある。【新牧野日本植物図鑑・後年の加筆】 |
B |
英名は「ドッグウッド(dogwood)」といい、樹皮の煮汁でイヌを洗うと皮膚病が治るといわれることにちなんでいる。【朝日百科 植物の世界】 |
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なお、ミズキ属の樹々に関する欧米での記述は豊富で、キリストに関連した話(決して古くないおとぎ話)があって、キリストが磔刑に処された十字架が
dogwood の木であったことから、以来神によりこの目的に使えない大きさの木とされたこと、北米産のハナミズキの十字の花の先端部の形は釘跡に、さらに先端部の色は血痕に、中心の花は茨の冠に、果実の赤色、秋の紅葉を血に関連づけたりと、実に想像力豊かである。 |
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3 |
ヤマボウシの材の様子
同じミズキ属のミズキと同様に材は淡色であるが、ミズキよりはるかに重硬な印象である。意外や、ヤマボウシは「木材の工藝的利用(明治45年)」では採り上げていないが、「大日本有用樹木効用編(明治36年)」には次のように記述している。
「材は堅実なるを以てカシのなき寒国にてはカシに代用して鉋台、鑿柄、槌其の他農耕具の柄、油搾器械、橇等に用ひ又下駄の歯とす併し堅に過ぎて滑る患あり又櫛材旋作用材となす実は食して甘味あるも種子多し此樹の葉サンシュユに似て美にして上品なり故に庭園樹に宜し」 |
文中、カシの代用とされるという記述は、この材の特性が示されている。 |
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ヤマボウシの枝材からつくったのザンプル(太鼓挽き状態としたもの) |
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この材の堅さと重さを考えると、丸木木刀には最適であろう。で、早速整枝された枝材で、少々の曲がりはあるが丸木木刀を試作してみた。表面は剥皮したままで、微細な小じわがあって握りの感触もよい。やや太めで重量もあるから、素振りで運動をするには最適である。ほとんど純白の材色が、時間の経過でどんな具合に変化するのか、しばらく使用しながら経過観察するつもりである。 |
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ヤマボウシの丸木木刀の手前(柄)部分
表面は剥皮したままであるため、木部の質感がそのまま残っている。
道具類、特に玄翁の柄材とされたような樹種であれば何でも丸木木刀になりそうである。
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<参考 1:ハナミズキの様子> |
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住宅の外壁面とよくマッチしたハナミズキの例 |
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ハナミズキの花 1
ヤマボウシの総苞片と異なり先端がへこんでいるように見える。 |
ハナミズキの花 2
赤花タイプの品種である。 |
ハナミズキの紅葉
ヤマボウシと異なり、紅葉と赤い果実がふつうに同居する。。 |
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ハナミズキの中心部の花
ヤマボウシと似た印象である。
(都内 4月下旬) |
ハナミズキの赤い果実
ヤマボウシと異なり、果実は集合果とならない。落葉後も赤実が残る。
(都内 12月中旬) |
ハナミズキの樹皮
ヤマボウシの樹皮も個性的であるが、ハナミズキの樹皮も一目で識別できる。 |
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なお、ハナミズキの材も非常に堅くて強靱で、その特質を生かした利用が見られ、米国内での利用に関して、以下の記述例が見られる。
「とりわけ耐久性を求められるローラースケートの車輪や編み棒に利用できた。ボウルやパイプからゴルフクラブ、道具の柄まで、多くの種類の製品がハナミズキから作られた。樹皮の粉末から歯磨きが、根の樹皮からは赤い染料が採れた。また消化、熱に加え、風邪や疝痛の薬にも利用された。」【gardenguides.com】 |
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<参考 2:常緑のヤマボウシとは(謎の常緑ヤマボウシ)> 【2015.6 追記】 |
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植物園でしばしば中国産の常緑ヤマボウシを目にする。調べてみると、庭木として園芸種を含む複数種が流通しているようである。しかし、導入の歴史が浅いことから、呼称も様々でわかりにくいため、わかる範囲で以下に暫定的備忘録としてメモ整理してみた。 |
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ガビハナミズキとした樹名板
小石川植物園の植栽樹として有名で、中国産としているが、学名も和名もミステリアスである。 |
ガビハナミズキとしている個体
常緑のヤマボウシの仲間で、大きく育っていて、花付きもよい。 (5月下旬) |
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ガビハナミズキとしている個体の花
白い総苞片は日本のヤマボウシより大形であるが、着生部付近の幅が狭いため下がよく透けて見える。 (5月下旬) |
ガビハナミズキとしている個体の花
花の様子はヤマボウシやハナミズキと同様であるが開花時期が遅い。(5月下旬) |
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ガビハナミズキとしている個体の果実
(9月上旬) |
ガビハナミズキとしている個体の果実
(9月上旬) |
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トキワヤマボウシとした樹名板
(地方の植物園の既成看板) |
トキワヤマボウシとしている個体の葉
寒さで赤くなるようである。(3月上旬)
この個体の花は未確認。 |
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国内で流通していると思われる常緑ヤマボウシの例(暫定整理版) |
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和名・流通名等 |
学名 |
備考 |
ホンコンヤマボウシ(木の大百科)
ホンコンエンシス(事業者)
英名:Hong Kong dogwood (Royal Horticultural Society 、Wiki)
中国名:香港四照花(木の大百科、中国植物誌) |
Cornus hongkongensis
Synonyms の例:
Benthamidia hongkongensis (The Plant List 、Wiki)
Benthamia hongkongensis (The Plant List)
Dendrobenthamia hongkongensis(中国植物誌、木の大百科、The Plant List 、Wiki) |
・ 中国、ラオス、ベトナム原産の常緑のdogwood (Wiki)
・ 常緑又は半常緑の高木で、葉は革質、上面に毛があり、果実は黄色に熟する。(木の大百科)
・常緑高木または灌木。葉は対生、薄い革質から厚い革質、先端は短く次第に尖るか短尾状、上面は深緑色で光沢があり、下面は淡緑色、若い葉では白色及び褐色の短い柔毛があり、古くなると無毛となる。花期5-6月、果期11-12月で成熟時は黄色または紅色。(中国植物誌) |
トキワヤマボウシ(既製樹名板)
別名:ガビサンヤマボウシ(既製樹名板)
流通名:ホンコンエンシス・メラノトリカ(事業者)
中国名:黒毛四照花 |
Cornus hongkongensis ssp. melanotricha (既製樹名板) この学名は亜種扱い
Synonyms の例:
Dendrobenthamia melanotricha (中国植物誌、The Plant List) この学名は別種扱い |
「トキワヤマボウシ」の暫定和名は言わば総称であり、個別の和名としては適当ではない。
「ガビサンヤマボウシ」の暫定和名は、なぜ峨眉山なのかよくわからない。中国名とは関係のない成り行きでの流通上の呼称と思われる。
・ 葉の上面は深緑色で光沢があり、下面は淡緑色、若い葉では白色の短い柔毛があり、次第に無毛となる。花期5-6月、果期10-11月(中国植物誌) |
ヤマボウシ ホンコンエンシス・月光(事業者) |
Cornus hongkongensis 'Gekkou' (事業者)
この学名はホンコンヤマボウシの変種扱い |
中国原産の常緑ヤマボウシ(ホンコンヤマボウシ)の実生選抜品種で、花はやや小ぶりながら花付きが良く、クリームホワイトの花を枝一面に咲かせます。秋には甘く熟す実や、冬季に赤銅色に変化する葉色も楽しめる。(日本ライン花木センター) |
ヒマラヤヤマボウシ(A-Z園芸植物百科事典、植物の世界)
キイロヤマボウシ(植物の世界)
ナガバクマノミズキ(最新園芸大事典)
英名:Bentham's cornel ベンサムズコーネル(Gardening フローラ)
中国名:頭状四照花 |
Cornus capitata
Synonyms の例:
Dendrobenthamia capitata (A-Z園芸植物百科事典、The Plant List、中国植物誌)
Dendrobenthamia emeiensis W.P.Fang & Y.T.Hsieh (The Plant List)
Benthamia capitata (The Plant List)
Benthamidia capitata (The Plant List)
Benthamia fragifera (The Plant List) |
・ 中国、ヒマラヤ山脈原産の常緑高木〜低木。総苞片は乳白色又は黄白色。(A-Z園芸植物百科事典)
・ 総苞片は黄色。(赤い)複合果はヤマボウシよりやや大きい。(植物の世界)
・ 葉は細く、総苞片の先端は短く尖る。種小名は「頭状の、頭状花序の」の意。
・葉の上面は明るい緑色で白色の短柔毛があり、下面は灰緑色で、白色の粗い短柔毛が密に覆う。花期5-6月、果期9-10月(中国植物誌)
*筑波実験植物園が植栽木を紹介している。 |
コルヌス・カピタータ・マウンテンムーン
常緑ヤマボウシ・マウンテンムーン(タキイ) |
Cornus capitata 'Mountain Moon'
この学名はヒマラヤヤマボウシの品種扱い |
大きなイチゴほどの果実をつけ、'Himalayan Strawberry Tree'(singingtreegardens.com) の名がある。 |
【参考】
中国名:峨眉四照花(中国植物誌) |
Dendrobenthamia capitata var. emeiensis (中国植物誌)
この学名はヒマラヤヤマボウシの変種扱い |
四川省峨眉山に分布(中国植物誌)
調べた範囲では、中国産のミズキ属で「峨眉」の文字が入ったものはこれだけであったが、左記学名は Cornus capitata (ヒマラヤヤマボウシ)のシノニムと見なされている。 |
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これだけを見ても、学名、和名ともに交通整理が必要な印象である。
さて、そこで小石川植物園の “ ミステリアスな樹名板 ” についての勝手な詮索である。
天下の東大の植物園の樹名板であるが、Dendrobenthamida omeiensis の属名も種小名も存在を確認できない。
これはどう見ても Dendrobenthamia emeiensis としたかったところを、どの過程に起因するものかわからないが綴りを誤ったものと思われる。 しかし、この学名となると Cornus capitata のシノニムと一般に見なされており、ヒマラヤヤマボウシを意味することになってしまう。しかし、総苞片の形態は明らかにヒマラヤヤマボウシとは異なっている。総苞片の形態と葉の上面にわずかに毛があることから、ホンコンエンシス(香港四照花)系の可能性も感じるが、何だかよくわからなくなってしまった。
さらにである。ガビハナミズキの名はたぶん「峨眉花水木」の意と思われるが、そもそも「ガビハナミズキ」の呼称は当植物園以外では使用例がないから、どのような事情によるものかは明らかではないが、植物園で独自に命名してしまったのかもしれない。
これは、可能性として、中国の峨眉四照花の名前だけをもらって日本向けにアレンジして峨眉花水木(理屈上はガビヤマボウシとしても同じである。)の名を与えたことも考えられるものの、上の表で見られたように、和名の由来は不明であるが、中国名黒毛四照花になぜかガビサンヤマボウシの和名が既に使われているから、事態をややこしくしてしまっている。もうグチャグチャで、一般人には理解不能であるから、どなたかに鑑定・整理をお願いしたいところである。
なお、不幸なことに、Dendrobenthamida omeiensis の誤った学名は、個人のホームページを通じて広く拡散している。 |
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【追記 2017.6】 街中の常緑ヤマボウシ |
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都内のあるマンションの玄関脇に、実に華やかな常緑ヤマボウシを目にした。正確な種名は特定できないが、花木としてじわじわと浸透しているのであろう。 |
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街中の常緑ヤマボウシ 1
花つきのよさにはビックリである。 |
街中の常緑ヤマボウシ 2
総苞片の幅が広いため、一層ゴージャスに見える。 |
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花の様子
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果実の様子(10月中旬)
未熟の果実が同居している。 |
種子の様子
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