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刃物あそび
  超薄型はさみは何のため? 


 文具店に、こんなぺらぺらのはさみがあった。
 特に園芸用刃物で有名はアルスの製品で、製品名は「ポケットセクレタリ(pocket secretary)」とある。「カシメ特殊機構」により1.8ミリの薄さを実現したとのことで、切る、つかむ、挟むの機能を持つ便利な超極薄携帯用鋏との触れ込みである。 【2007】


 さて、この「カシメ特殊機構」であるが、なぜかカシメ部分はぺちゃんこで出っ張りが全くない。言葉による説明は難しいのであるが、皮や布に2個セット(フタと足)で使うカシメの構造を、はさみの中間支点部分の本体を加工して同様の機能を持たせたために、リベットのような別の部材を付加することによる出っ張りが生じていないということになる。


 本体は刃物用ステンレス板を打ち抜いたもので、この薄さのため、刃部の裏スキは全くない。この影響もあり、切る機能を確保するためなのか、すり合わせは少々重くなっている。次に「つかむ、挟む」の能書きですが、「つかむ」と「挟む」をどのように区別しているのかさっぱりわからないが、小さく切った紙は写真のようにぶら下がった状態となる。1点で支えられて可動状態にあるステンレスの小さい板がこの役目を果たしている。まあ、特にこだわる意味があるとは思えないのだが・・・・。

 感想を言えば、刃の開閉が少々重い一方で、輪の部分ももちろん薄いため手が少々痛く感じる。自分の場合はどうしても手帳にハサミを収納したいとか、いつもポケットにハサミを携行したいという事情はなく、また、切れ味も決して軽快というわけでもないことから、既に引き出しで熟睡している。ただ、技術的な可能性を追求した事例としては興味深いものがある。なお、引き出しで眠らせておいても全くじゃまになっていないのは、その薄さのお陰である。

アルスコーポレーション株式会社
大阪府堺市中区八田寺町476-3