刃物あそび
サンドビックのサンダーはどこへいってしまったのか?
スウェーデンのサンドビック社のサンダー(サンドビック・アブレーダ SANDVIK Abrader)は出来がよくて現在でも随分重宝しているが、なぜか店頭から消えて久しい。会社のホームページでも見つからないし、とうの昔に廃版となってしまったのであろうか。サンドビック社自体も巨大グループ企業で、自社の解説でも「最新の製品を提供するハイテクエンジニアリンググループで、金属加工用超硬工具、鉱山・建設用削岩機械・工具、ステンレス鋼、特殊鋼、発熱材料、食品・化学機器、ポリッシュベルトなどの専門分野で世界トップの地位を築いている。」との講釈で、ブランドも多数あり、他社とくっついたりと、門外漢には訳がわからない。【2008.8補足】 |
サンドビックの研削力はすばらしい! 現在、主として木工用として利用しており、これが実に快適にサクサクと削ることができる。実は後発のよく似たエヌティードレッサーのお陰で、質の高さを実感することができた。かつては大(401型・帯状)、中(400型・こて状−前出)、小(402型・へら状)の3つのタイプを持っていたが、大型の長いタイプは荒っぽく使って痛めてしまって今はない。また、小型の鋭角二等辺三角形の「こて」タイプは大変重宝したため、使用頻度が高く、本体のプラスティックが折れてしまったため、研削面をはがしてブナの薄板に貼って現在でも使用している。写真は現在持っている中型ものである。研削面は丈夫で、木工のみに大切に使うのであればほとんど一生ものと思われる。 小型のものは、国産のNTドレッサーとそっくりで、多分後発のエヌティー株式会社がデザインを含めて充分に参考とさせて貰ったのであろう。 両社の製品を比較すると、研削能力ではサンドビックが圧倒しており、これが何に由来するのかを探求すべく、研削面を仔細に観察してみた。
いずれも研削面のツブツブの一つひとつは、盛り上がった山の頂上に円柱がそびえた形状となっているようであった。そこで、両者についてさらに拡大して比較してみたのが以下の写真である。両者とも一定年数こき使ったものである。
こうしてみると、サンドビックの研削力は突起部が鋭いことによるものと思われる。手で触った時の感触の違いもこれに起因するようである。 明らかにサンドビックの研削スピードが勝り、NTドレッサーは研削力では劣るものの仕上げ面が比較的平滑になるという特性があるように思われた。これは頭頂部の総面積が多いことによるものと思われる。 それぞれの持ち味でもあるといえるが、サンドビックの製品を更新しようにも全く見当たらないのは困ったことである。 サンドビックのサンダーの行方 サンドビックといえば、赤と青2色に塗り分けたハクソー(金鋸)をよく見かけた。 @ ホームページによれば、この製造元 Sandvik Saws and Tools 社(魚と釣り針の絵の上に“SANDVIK”の文字を配したマークでおなじみであった。)1999年10月1日付でスナップオン・インコーポレーテッド(本社USA)の傘下に入り、ザ・バーコ・エービーに社名変更。日本におけるバーコ・グループ商品はサンドビック・スウェーデン本社がバーコ・グループ社と総代理店契約を締結し、サンドビック株式会社インターナショナル・ツールズ事業部ソーズ・アンド・ツールズ部門で販売していた。 A さらに、サンドビック株式会社に聞いたところ、インターナショナル・ツールズ事業部は2005年に廃止され、その事業はスナップオンが引き継ぎしている。 とのことで、ハクソーは SANDVIK の文字が BAHCO に置き換わっていることは確認できたが、目当てのサンダーはスナップオンで扱っている形跡はなく、なんと、サンドビック株式会社に聞いても関係部局が現在では存在しないためわからないとのことであった。 ということで、いつしか製造打ち止めとなったのであろう。誠に残念なことである。なお、当時の日本での総輸入元は「サンドビック・ジャパン株式会社」であった。 |
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【追記 2015.5】 | |||||||||||||||||||||
鋼板、ステンレス鋼板を利用したサンダー類の製品のその後の様子を見ると、NTドレッサーの天下となっていて、しばしばコンベックスでお馴染みのタジマの製品を見る程度であり、有力な対抗製品は見られない。 研削力ではサンドビックにやや及ばなかったNTドレッサーであったが、個性的な研削面の製品が現在でも健在で、しばしば重宝している。 |
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写真でもわかるとおり、突起の形状に特徴があり、プラスティックでもツルツルに仕上がるのは都合がいい。 | |||||||||||||||||||||