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刃物あそび
  ペナントナイフとは? 


 東京銀座の刃物店である「菊秀」のガラスショーケースの片隅に、真鍮製の薄い板状のものがあり、「昔なつかしいペナントナイフ」と添え書きがあった。
 さて、「なつかしい」といわれても全く記憶はないし、かといってペナントナイフの名は聞いたことがあるようでないようで・・・・そこで手に取ってみると確かに郷愁を感じるような造りである。


 構造は、小幅の鋼の薄板を切り出し小刀状に刃付けをして、真鍮製の薄板を折り曲げただけの柄と鞘(さや)を付けたもので、シンプルの極限を追求したような製品で、かえって簡素の美を感じてしまう。厚さの計測結果は最厚部で1.9ミリ。

 鞘の穴の形状は右の写真のとおりで、下方に刃物の背を当てて収納することになる。この形態なので鞘がすっぽ抜けることはない。

 製造は岐阜県関市の義春刃物株式会社である。詳しい来歴はわからないが、「ペナントナイフ」の名称は、この会社の登録商標とのことである。また、この製品だけをペナントナイフと呼んでいるものではなく、一般に切り出しナイフ(切り出し小刀)と呼ばれているものをこの会社ではペナントナイフと呼んでおり、柄・鞘の材質もいろいろで、ここで紹介した真鍮製(製品名は「ペナントナイフSS」)のほか、木製、樹脂製がある。さらに刃材も全鋼製、二層鋼製、付鋼製のものがホームページで紹介されている。また、事務ばさみにもペナントハサミの名称を使っている。

 ペナントはもちろん優勝旗の意味としてのペナントであることを会社から聞いた。後日、東急ハンズにも置いているのを確認した。【2007】