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刃物あそび
  
   ミニバサミの使い勝手


             


 ミニナイフと同様に、携帯できる小型のはさみは何かと便利で、昔から中国製のキーホルダーに付けられる折りたたみばさみや、国産や輸入物のメガネ型にスライド収納できる小型はさみが知られている。その他におもしろいものがないか観察してみた。
【2007】  


バネ付きエックス字型タイプ

刃の開閉を指でやるとなると、少なくとも親指と人差し指が入る輪が必要となります。バネで開く方式とすれば、指の輪は不要となっても口が開きっぱなしとなり、これをロックするとなれば余分な付属機構が必要となります。こうした現実の中でこんなものを見かけた。

@ 携帯ストラップ付きはさみ:CANARY プチはさみ CA-35-BL
バネで開く方式として、キャップで開きっぱなしの刃をカバーしたものである。二本の指で保持・操作しやすいよう、指をかける部分は平らな丸形となっている。刃部が非常に小さいため、その出来はそれなりである。刃物というよりはファンシー文具といった風情であるが、色はカラフルで、ブラックの外にブルー、オレンジ、ピンク、グリーンの全5色が用意されていて、遊び心を感じる。ただ、キャップが引っかかって落ちないか、ちょっと心配である。収納時約4センチ。
長谷川刃物株式会社 
岐阜県関市肥田瀬3664-2


 収納時のサイズは約4センチ。キャップ方式は賛否のあるところ。

 
上は別項で取り上げたダイワ製の釣り糸カット用のミニ握りばさみ(収納状態)で、大きさの比較のために並べてみた。
     
Aスライド収納式:
 シッパー・シザーズ
 ビクトリノックスのクラッシックよりも高い価格設定で知られるミニナイフ「ジッパーナイフ」の姉妹品である。刃部は打ち抜き材をバリ取りしただけで裏スキもない素っ気ない造りである。バネ入りでエックス字型の収納タイプであることがユニークであるが、しばらく保管の後に使おうとしたらバネが開かなくなっていて、実用性を失っていた。品質の改善を要する。両端が丸く収納時の全長は43ミリ。
アイガーツール
EIGER tool
、国産品

【2009.10追記】
B スリムな鼻毛切り:
ALLEX fit MICRO   SCISSORSハナ毛カット11169

形態はナイフ付属のはさみを剥ぎ取ったような印象で、珍しいデザインである。鞘に収まっていると何なのかさっぱりわからない。鼻毛切りは普通、先丸の小型鋏か、円筒形のロータリー式が一般的で、この製品の売りはやはりスリムな点であろう。女性が鼻毛をプチプチ切っている姿は見たことがないが、これなら化粧小物入れに入れても全くかさばらない。非常にスリムであるため、慣れないと力が少し横にそれた場合に動刃の柄がバネからはずれることがある。ほとんど見ないため、生産は既に終了しているのかもしれない。
林刃物株式会社
岐阜県関市緑ヶ丘2−3−7


   
収納時のサイズは 60×27×3.8ミリ。
パテントの表示がある。  
 

ケースの裏面は鏡になっているという芸の細かさ。

 折りたたみ鋏タイプ
@ 格安の中国製
昔から知られている中国製の折りたたみ式の携帯用はさみである。元祖はどの国なのかはわからないが、仕様はまるで統一されているかのようである。値段の安さは驚異的で、刃裏は軽く裏スキがされており、柄が固定されるようフォールディングナイフのようにバネが仕込んである。キーホルダーへの吊り下げができるように、リングがついている。

黒柄:かなり前に購入したもので、このタイプは最近見かけない。すり合わせは軽く、折り畳むときのバネの強さもそこそこで使いやすい。 収納時で24×48ミリ。
     
クロム:浅草橋の刃物屋さんで最近購入したもの。最近といっても商品の台紙が日焼けしていて、かなりの年数の経過を物語っていた。しかし、価格も当時のままになっていたのか、うれしいことになんと60円也。刃の開閉はやや重いが、実用上の問題はない。
樹脂柄:一見すると、オレンジ色の樹脂柄のはさみで有名なフィンランド生まれのフィスカース(FISKARS)社の製品(国内では約千円)に見えるが、完全なパクリ商品で,デザインの細部に至るまで忠実にコピーしている。中国製で百円ショップで見かけたもの。価格は本物の12分の1である。

 こうした折り畳み方式の製品として、フランス・サジュー(SAJOU)社の製品(約6千円、メーカー価格48ユーロ)、ドイツのドボ社の製品(約1万円)などもあり、高いものは仕上げが丁寧で美しい。折り畳みはさみは鞄に放り込んでおく非常用で、これに快適な切れ味、使用感を求めるのは誤りであり、また折り畳めることに数千円のコストを支払うのは尋常でない。要は趣味の世界の製品も提供されているということである。なお、どこの会社が元祖なのか未だ知らない。

A メガネ型の折りたたみバサミ
このタイプは多くの企業の製品が見られる中で、元祖は米国の”SLIP N SNIPS SCISSORS(スリップンスニップ・シザーズ)の模様である。品質の格差はそんなに感じない。鞄に一つ放り込んでおけば、役に立ちそうである。

 カナダのアウトドア用品メーカーのコフラン(Coghlan's)社の製品で、製造は台湾であることを明示している。都内スポーツ店で500円ほどであったがしっかりした製品で、多少荒っぽい使用にも耐えそうである。刃付けの角度は約45度。折りたたみ時のサイズは約8センチほど。
Coghlan's Ltd. Canada
http://www.coghlans.com/

     

 都内のスーパーの刃物市で。STAINLESS の表示のみで国籍は不明。価格も上と同じくらいで、デザインもほとんど同じ。唯一の違いは裏スキされている点だけである。
 刃付けの角度は約60度。紹介した中では最もすり合あわせが軽快である。


 



 本家スリップンスニップの製品である。会社はこの折り畳みバサミの発明者にして製造者で、製品はすべて米国内で製造して組み立てているという。刃部はステンレス(surgical stainless steel)、ハンドルはダイキャストにクロムメッキ仕上げである。
 製品の種類としては、刃部に鎬(しのぎ)のあるタイプとないタイプがあり、さらに、手の輪が標準サイズのもの(黒ハンドルもある)と、大きめのもの(Large Loop)がある。
Slip-N-Snip Scissors, Inc
(米国オレゴン州)
http://www.slipnsnip.com/


刃の裏スキはなく、すりあわせは重い。また刃の角度はほぼ直角であるなど、元々ワイルドな利用を想定して、この仕様となっているようだ。

米国では5ドル程度のようであるが、都内では950円から1,500円まで価格差が大きい。