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刃物あそび
 
  切出し小刀いろいろ             


 切出し小刀は最も基本的な刃物で、その形状がナイフと違って刃は直線で刃渡りも比較的短いことから非常に研ぎやすく、ハガネが長く入っていれば研ぎ減りしても長さが減ずるだけで、長期間にわたって使える。ナイフや包丁のように研ぎ減りして身が細ってしまうようなことのない、誠に重宝する刃物である。【2007.8】  

 高級切出し小刀は数万円するのはざらで、地金に墨流し模様があったり、重々しく桐箱に入っていたりと、趣味的要素が強まって、コレクションの対象となっている感がある。こうした需要が鍛冶職人の創作意欲を支える現実もあるから結構なことではあるが、カスタムナイフと同じで実用品から限りなく離れているのも事実である。以下は実用の具としての切出し小刀の例である。
木工用1 (朴鞘入り)

柄と鞘はホオノキで、購入当初はもちろん木地仕上げであったが、勝手に表面を焼いて荏油(えあぶら)を塗ったもの。汚れをカムフラージュできる。刻印は「定次」。普段使いにはこうしたタイプが使いやすい。
木工用2 (朴鞘入り)

上の製品より少し刃が厚くてゴツイタイプである。刻印は「春吉」。
木工用 籐巻き (共柄)

握りやすいように手元にあった籐(とう)を巻いてみたもの。播州刃物である。

株式会社三木章刃物本舗
兵庫県三木市別所町東這田721-8
木工用 刳(く)り小刀 (朴鞘入り)

わん曲した内側などを削るための小刀である。刃渡りが長いのは研ぎを考えると困ったものである。刻印は「千代丸」。
接ぎ木用1 標準型 (共柄)

典型的は接ぎ木用の切出し小刀(接ぎ木ナイフ)。接ぎ木に当たっては特に切れ味がその正否にも影響することから、刃は薄めに仕上がっている。別に接ぎ木に使用しなければならないものではないので、軟らかい木に対して切れ味が必要な時に、普通の切出し小刀として使える。力一杯に使用するタイプではないので、柄がなくても特に支障はない。むしろ、柄がないことでメンテナンスがしやすい。刻印は「東雲」。
接ぎ木用2(共柄)

ちょっと気取った形の接ぎ木用の切出し小刀(接ぎ木ナイフ)である。刻印は「三次郎作」。重量感があり、刃裏の仕上げも美しい。手にした感触が実によくて、特に好きな1本で、接ぎ木に限定した使用などもったいない。
接ぎ木用3(共柄) 【2008.6追加】

上のものより曲がりが大きい切出し小刀(接ぎ木ナイフ)。剪定鋏で知られる阿武隈川宗寛製である。
阿武隈川宗寛工場
 山形市成沢西5―5―22
接ぎ木用4(共柄) 【2009.4 追加】

剪定鋏で知られる岡恒(オカツネ)の切出し小刀(接ぎ木ナイフ)である。薄型軽量タイプで熱烈なファンがいるが、残念ながら現在は製造していない。
株式会社 岡恒鋏工場
本社:広島県尾道市因島田熊町18-1