色 |
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門口に医者と親子が待っている |
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かんぞうと蛸が出会って振動し |
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かんぞう⇒甘草まら⇒魔羅の一級品! |
さしがねを預けてあがる根津の客 |
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根津の岡場所は大工などの職人の客が多かったという。 |
新宿は度数がきくと浅黄裏 |
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浅黄裏⇒地方出身の武士をあざける言葉として使われた。羽織の裏が浅黄木綿で出来ていたため。 |
腎張りはオットセイほど連れ歩き |
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腎張り(じんばり)⇒淫乱な人。じんすけ。 |
深川は蚊帳をまくるとすぐに舟 |
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深川の娼家では蚊が多かったので一年の半分くらいは蚊帳を吊っていた。 |
文左衛門一夜日本の始皇帝 |
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江戸中期,材木の御用商人として蓄財した文左衛門は,一夜吉原を千両で買い占め,大門を閉めさせて豪遊したという。 |
帆柱の立ったを寝かす船比丘尼 |
夜桜へ巣をかけて待つ女郎蜘 |
お 寺 さ ん |
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大黒を和尚布袋にして困り |
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大黒⇒僧侶の妻の俗称で,秘密の存在だったもの
布袋はもちろんご懐妊状態。 |
弁天を大黒にしてまた布袋にし |
目ぐすりの乳にことかく高野山 |
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乳は点眼薬としての民間療法がある。 |
踊 子 |
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踊子は山吹色に蹴つまづき |
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踊子⇒私娼(ししよう)で,のちの芸者。
山吹色⇒大判・小判 |
二分出すと「あれかかさん」は言わぬ也 |
二分出すとねんねんころりころりなり |
御 妾 |
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御妾のおつなやまいは寝小便 |
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小便組の悪行 |
御妾は足の八本無いばかり |
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タコ壺 |
小便をして逃げるは妾と蝉 |
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小便組の悪行 |
御 留 守 居 役 |
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有り難い転ぶ声だと居留守言ひ |
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@ころぶ=舌のころびというところから,雄弁な口上をを述べ立てるという意味もある
⇒嬉しいぞ,三味線の伴奏で,鮮やかな声回しが聞かれるぞ・・・・
Aころぶ=芸妓が密かに売春すること。
⇒待ちに待ったぞ,閨(ねや)で一戦ができるぞ・・・・ |
また二本かえと踊子洒落を言ひ |
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二本は@二本差しで武家の別称であるとともにA二本棒は,鼻たらしの阿呆という意から,鼻の下の長いものの隠語でもあった。 |
姦 通 |
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二人とも,帯をしやれと大屋言い |
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一般の庶民の姦通場面を呼んだ著名な句 |
二人とも動くなと石かっちかち |
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犯人を確認するために,あわただしくも火起こしする亭主 |
く す り |
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ああ腎が少ないかなと地黄丸 |
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地黄丸⇒地黄を主剤として作った強壮・補血剤。(回春強精剤) |
あべこべさ長命丸で死ぬという |
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長命丸⇒江戸時代、江戸両国の四つ目屋で売った強精薬。 |
いもりより佐渡から出るがいっちよし |
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惚れ薬,何が良いかといもりに聞けば,今じゃわしより佐渡が土,ちゅうてな,佐渡の土,つまり金(かね)の力というものはえらいもんやで【落語「いもりの黒焼」】 |
老い武者は佐々木の勢いかりるなり |
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四つ目屋は近江源氏佐々木氏が団結の印に用いた四つ目結いを家紋としていた。 |
地黄丸昼は飲みつつ夜は消え |
地黄丸 女のほめる薬なり |
地黄丸 女房がほめる薬なり |
長命の薬 寿命の毒なり |
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長命丸 |
手を負った前立物に兜膏 |
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前立物⇒魔羅 |
泣かずんば泣かせて見しょう女悦丸 |
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女悦丸⇒ご婦人用 |
なにほれて長命丸を姑のみ |
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長生きの秘薬と勘違い |
惚れ薬十日過ぎても沙汰はなし |
惚れにくい顔がきて買う惚れ薬 |
惚れぬはず山椒の魚を焼いてかけ |
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イモリとヤモリを間違えてはねえ・・・ |
本町の角へはよけよ大根馬 |
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本町の角には地黄丸本舗の岡田忠助の大店舗があり,大根は地黄の効能を消すといわれているので,本町の角,岡田忠助の家の前には大根馬をつなぐなとの詠句。 |
又貝を捨てて行ったと茶屋笑ひ |
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長命丸,女悦丸などの塗り薬は,蛤の貝殻を入れ物としていた。 |
四つ目屋の効能おめき叫ぶなり |
四つ目屋は得意の顔を知らぬなり |
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客に対する配慮で店内を暗くしていた。 |
下 女 |
豆はまめだが下女のまめは納豆 |
りょうほうの 赤いはげじょの におうもん |
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@「両方」と「両頬」,A「解除」?(げじょ:けがれをはらい浄めること。)と「下女」,B「仁王門」と「臭う門」。 |
子 |
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おッかァやおまんこすると死ぬのかへ |
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とっさんとかかさまと寝て何をする |
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余計なことを言ってるんじゃない。早く寝ろ! |
なぜ小豆飯だと兄は聞きたがり |
弘 法 大 師 |
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弘法は裏親鸞は表門 |
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裏とは男色のことであり,表とは妻を娶ること。貝原益軒は「男色の戯れは弘法(空海)以来のことなり」と書き記している。親鸞は公然と妻帯したことで知られる。 |
後 家 |
柿八年桃栗三年後家半年 |
よい後家が出来ると咄す医者仲間 |
小 町 |
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下女ならば九十九番はさせる所(とこ) |
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深草少将は小野小町に恋慕し,百晩通い詰めたら諾意しましょうといわれ,九十九夜目に,雪の寒さに凍死したとも言われる。 |
とは知らずあかずの門へ九十九夜 |
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小野小町は俗に「穴がない」と言われた。 |
もう一夜かようとけつをされるとこ |
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前の穴がなければ、後ろの穴を使われるところだった。 |
もう一夜かようと穴を探すとこ |
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なお,穴のない「まち針」の名は「小町針」に由来するとの説がある。 |
最(も)ふ一ト夜通ふと穴を探す所(とこ) |
小 間 物 |
越前は肥後の加勢をたのむなり |
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肥後ずいきの援軍。 |
小間物屋割りのいいのはへのこなり |
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肥後芋茎(ひごずいき)伜に咎は無きものを |
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幾重にも縛られた姿は・・・ |
肥後(ひご)ずいきとけて二見ケ浦(ふたみがうら)のよう |
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二見ケ浦⇒現三重県二見町。しめ縄で結ばれた夫婦岩で知られる。 |
鼈甲はいづれ毛のあるところへ差し |
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鼈甲製の簪と張型・兜形 |
鼈甲はどちらの道に女もの |
湯加減を握ってみなと長局 |
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長局(ながつぼね)⇒宮中や幕府の大奥で、長い一棟(むね)の建物をいくつにも仕切った女房の部屋。また,そこに住んだ奥女中。ここでの小間物はお湯を入れる仕様の製品。 |
四つ目屋の女房たびたび試される |
四つ目屋は女にばかり悦ばせ |
四つ目屋は馬鹿に薬をつけさせる |
四つ目屋の近所いく世は面白い |
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両国の四つ目屋の近所に幾世(いくよ)餅の店があった。 |
両国で女房すすり泣きをする |
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四つ目屋は両国に所在。 |
相模女・信濃者 |
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信濃と相模上下の大食らい |
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信濃者⇒農閑期に信濃から江戸に出稼ぎ(肉体労働)に来る農民の大飯食らいぶりは,よくネタにされている。
相模女⇒相模国出身の女。好色者との俗信から,川柳にはよく登場。 |
是からはあばれ喰いだと相模後家 |
相模屋の婿来ては死に来ては死に |
【参考】手うちだとしかれば信濃喰う気也 |
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へまをした信濃者に,主人が「手打ちにする」として叱ったところが,蕎麦を打ってくれるものと勘違い。 |
昼信濃夜は相模が大食(ぐ)らい |
四 宿 |
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板橋と聞いて迎いは二人減り |
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板橋は,品川とは違って,旅帰りの出迎人からも,とかく敬遠されていた。 |
板橋へ大根の金を入れなくし |
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大根をつくっている農村のお兄さんたちが多かったという。 |
品川の客にんべんのあるとなし |
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品川。寺というにんべんのない字と,侍というにんべんのある字とを暗示。品川の客としては,旅人や馬士(まご)などのほかに,近くの増上寺の僧侶や薩摩屋敷の侍とが多かったことから,それを詠んだ句。 |
品川は波打きわに床をとり |
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品川妓楼の二階からは房総半島も見えたという。 |
千住のかぼちゃ板橋へ蔵がえし |
本塗りの杓子は見世の陰で売り |
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品川宿。杓子は「飯盛女」,本塗りは「上玉」を暗示。 |
飯盛と号して奥の花やかさ |
飯盛にゃよすぎ傾城には不足 |
吉原は蝶新宿は虻が舞い |
腎 虚 |
医者さんに私が毒と云われやす |
医者殿は女房が立つと意見いい |
入聟(むこ)のじんきょはあまり律義過 |
看病が美しいのでさじを投げ |
学者虚して曰くすくないかな腎 |
腎虚のくやみ羨ましそうに言い |
腎虚をば堅っ苦しい奴が病み |
過ぎたるは医者のさじにも及ばざる |
その薬腎虚させ手が煎じてる |
女房に恥をかかせる病なり |
人 生 |
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穴を出て穴に入迄(いるまで)穴の世話 |
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【類】穴を出て穴へ入りまた穴の世話,穴を出て穴に遊んで穴に入り |
あら不思議花嫁とんだ巧者なり |
借金の穴を娘の穴でうめ |
町内で知らぬは亭主ばかりなり |
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【元祖】店中(たなじゅう=長屋中)で知らぬは亭主ばかりなり |
てて親に似ぬを知ったは母ばかり |
天命を知って新造買いに行き |
女房にほれて家内はしずかなり |
女房の味は可もなく不可も無し |
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これは「論語」第十八,微子篇にある「我は即ち是に異なり,可もなく不可も無し」という文章のパロディ。 |
百両はなくなり顔は残ってる |
律儀者まじりまじりと子ができる |
生 活 |
赤貝をたわけくじって喰いつかれ |
おろすこともっとも至極薬研堀 |
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薬研堀は薬研ばばあの名で知られた子下ろし専門の中条流女医者の多かったところでもある。(薬研で)おろす(粉にする)と(子を)下ろすをかけたもの。 |
笠森へ女房仏頂面で行き |
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笠森稲荷 |
気のきかぬ長い日だのと新世帯 |
酒マラも程があるよと女房じれ |
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持参した社領で荒れる山の神 |
店中の尻で大家は餅をつき |
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年末に店子たちの肥の代金で,大家は正月用のもちがつける。(年末の下肥で、年頭に店子たちに配る餅をつくことができたということ。【杉浦】) |
宝船皺になるほど女房漕ぎ |
女房に土手で逢うたは百年目 |
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吉原への通い道の日本堤での出来事。 |
女房の第二の好きはかぼちゃなり |
ま男は湯屋盗人のように逃げ |
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上手な状況描写である。 |
芳町へ行きなと女房貸さぬなり |
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芳町⇒日本橋の芳町にあった男色の遊里,陰間茶屋を指す。 |
疝 気 |
睾丸は疝気の虫の休息所 |
蕎麦好きのいわく疝気にかえ難し |
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なぜか蕎麦は疝気の毒とされた。しかし好物であれば,「千金に換えがたし」 |
雪あたりばったりと寝る疝気持ち |
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疝気は寒さに弱いので,行き当たりばったりの地口。 |
惣 後 架 |
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池の茶屋玉に疵なは惣後架(そうごうか) |
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惣後架は共同トイレ |
〆縄は後架神でも右ねぢり |
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後架神(こうかがみ)=厠神。
人の排便が高く積もると,それは左ねじり(糞のことを左ねじりともいう。)であるといわれているが,神様に飾る注連縄(しめなわ)は右ねじりであると洒落ている。 |
跳ねる糞受け身どっこい居合腰(いあいごし) |
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跳後架での身のこなし。「おつり」の経験のあるお父さんならよくわかる。 |
瘡 毒 |
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落ちそうな鼻を団子でつけてやり |
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谷中三崎(やなかさんさき)町にあった笠森稲荷は,瘡守稲荷の当て字もあって,瘡毒(梅毒)患者の信仰が厚い社であった。境内の茶屋では,土の団子と米の団子を土器(かわらけ)に盛って売っていた。願掛けの時は土団子を供え,めでたく治ったお礼参りには米の団子を供えたという。 |
山帰来干して篇乃古をながめてる |
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山帰来(さんきらい)⇒水銀中毒の解毒に使った土茯苓(ドブクリョウ。サルトリイバラは代用品。)を原料とした和漢薬。瘡毒の薬として使った水銀剤の後始末に使用。 |
鼻声の証拠は髪がつまむほど |
巻き添えにあって女房も山帰来 |
目出たさは土の団子が米になり |
立 小 便 |
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京女立ってたれるが少し疵 |
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京女の立ち小便 |
小便をすわってしろと女衒(ぜげん)いひ |
道 鏡 |
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小柄杓で道鏡通和散を掛け |
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道鏡⇒持ち物に関しては伝説がある。
通和散(つうわさん)⇒トロロアオイの根,ふのりなどで製した白い粉末。男色で閨房薬として用いた。練(り)木(ねりき)とも。 |
道鏡は座ると膝が三つ出来 |
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恐れ入りました。 |
道鏡はほんに男の玉の輿 |
長 局 |
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長局くめんのいいのは亀に乗り |
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値の張る鼈甲製 |
長局牛をやすめて馬に乗り |
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馬は女性の月のものを指す。 |
湯加減がよくてのぼせる長局 |
九牛の一毛もない長局 |
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「九牛の一毛」の故事と長局愛用の水牛の角製の張形 |
弁 慶 |
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弁慶の一番したはだれのつび |
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弁慶は(義経を打ったとき)一生に一回だけ泣いたとか,女性には一生涯で一回しか接していないとか何かと話題が豊富であるが,ここでは女性がらみの俗説にからめたもので,「一番」を「一回」と「最もたくさん」の両方にかけたもの。 |
弁慶は力の強いわけがあり |
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エネルギー温存? |
弁慶と小町は馬鹿だなあかかあ |
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一回だけの弁慶とできない小町。 |
武蔵坊とかく支度に手間がとれ |
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なにぶん道具が多くて… |
つ び |
いい女開(ぼぼ)もきたなくおもわれず |
生島は江島の開(ぼぼ)に掃除波 |
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江戸城大奥の奥女中の大年寄の江(絵)島と山村座の俳優生島新五郎のおはなしから。 |
巾着と言ふ筈金まで括り込み |
けつをふきゃ屎(くそ)撫込む下り開(ぼぼ) |
源氏名も開(かい)は大かた匂ふ宮 |
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源氏物語第42巻に匂宮(におうのみや)というのがある。 |
御秘蔵は足の八本無い斗(ばか)り |
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タコ壺 |
蛸壺でしりの毛までひいとられ |
蛸壺を持参奇妙な須磨の嫁 |
茶でさえも縮れた方が味がよし |
女房を湯にやり亭主飲んでいる |
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よきもの湯ぼぼ酒まら |
ねれてきて七番になる六阿弥陀 |
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六阿弥陀は江戸市中にあった六つの阿弥陀堂。庶民の行楽を兼ねたお参りが盛んであった。女房をこのお堂にお参りさせると,ナニがほどよく練れた状態で帰ったため一戦に臨んだ?。 |
よく聞けば猫が水飲む音でなし |
篇 乃 古 |
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越中の中に越前しなびてる |
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越前(魔羅)というのは,江戸時代,越前福井藩では参勤交代の際,槍に熊の皮の毛皮がかぶせてあり,「越前の皮かむり槍」として有名であったことから,皮かむり・包茎の代名詞となってしまったという。川柳ではおなじみのシリーズ。 |
越中がはずれ隣の国を出し |
金玉は縫い目あれども綻(ほころ)びず |
毛虱のために伜は出家する |
睾丸(たま)さねに語って「つまらねえ」 |
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たまが言いたいのは次の句のとおり。 |
睾丸(たま)曰く男根(まら)やおいらも入りたい |
つく芋の際まで濡れるとろろ汁 |
歯は入れ歯 目はめがねにて 事たれど |
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老化現象としての「歯・目・魔羅」 |
三つのうち目も歯も良くて哀れなり |
娘 |
箱入りにすれば内にて虫がつき |
箱入りを隣りの息子封を切り |
母親の油断娘のはなし飼い |
月を見る頃にはすすき土手に生え |
蒙 古 斑 |
尻っぺたの痣を聞かれて母困り |
尻の痣親父男根でつめったの |
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赤ん坊の尻の青痣(蒙古斑)は,当時は妊娠中や臨月間近に交合すると,生まれてくる赤ん坊の尻に青痣ができると信じられていた。 |