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ヤチダモの風景
以下はいずれも北海道内での風景である。
(平地のヤチダモ) |
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平地のヤチダモのペア
公園でもないのに、こうして生き残っている風景をしばしば見かける。沿革的には耕地防風林や屋敷林として利用されてきた歴史があるという。 |
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同左
ヤチダモはすらりと真っ直ぐに伸びるため、木材を利用する立場からは好都合で、歩留まりも良い。
樹皮は縦に深く裂け、一目で識別可能である。 |
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(〝谷地〟のヤチダモ) |
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ヤチダモは他の樹木が苦手な湿地でも生育できるため、ヤチダモにとっては本意かどうかは知らないが、渓流沿いや湿地に分布している。北海道では例えば網走市呼人(よびと)の道指定天然記念物女満別湿性植物群落では、ヤチダモ、ヤチハンノキ、ミズバショウが同居している風景が見られる。
下の写真は北海道の国有林を内務省が所管していた時代に、この谷地に試験植栽されたもののようである。
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ヤチダモの人工林
この林床はズブズブ状態で、ミズバショウやバイケイソウが見られる。ヤチダモは全く平気なようである。 |
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同左
植栽の記録は大正3年となっているそうである。 |
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ヤチダモのあらまし
(ヤチダモの特徴等) |
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モクセイ科トネリコ属の落葉高木で、高さ30メートル、直径1メートルに達する。雌雄異株。
北陸地方ではしばしば畦畔木として植えられていた。【平凡社 日本の野生植物】
縄文時代には東京周辺でも低地林を形成していた。【朝日百科 植物の世界】 |
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ヤチダモの奇数羽状複葉の葉
40センチほどの長さがあり、小葉には細かい鋸歯がある。 |
ヤチダモの側小葉の基部
葉表側(上)、葉裏側(下)のいずれも赤褐色の縮れた毛が密生するのが特徴。 |
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ヤチダモの巨大な雄花序の花芽
〝爆発〟し始めた花芽で紫色の葯がのぞいている。 |
ヤチダモの雄花序
もくもくとたくましく展開し始めた雄花序で、枝先にこんもり紫色の塊を付けるためよく目立つ。 |
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ヤチダモの展開した雄花序
新葉も追うようにして展開し始めている。 |
ヤチダモの雄花
ヤチダモの雄花は2個の雄しべだけと素っ気ない。 |
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ヤチダモの雌花序
ヤチダモの両性花は1個の雌しべと2個の短い雄しべからなると説明される。雌しべの花柱は2裂している。雄しべは小さく貧弱であり、仮雄しべに見える。(未確認) |
ヤチダモ果実(翼果)の構造
ヤチダモの果実は翼果で、種子を取り出して胚乳の片面を除いてみると、かわいい子葉を2枚つけた胚を確認できる。ヤチダモでは果実が熟した時期であっても胚は未発達な段階にあって、アオダモ、シオジ、トネリコと較べて小さいことが知られている。 |
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(ヤチダモの生理的特性等) |
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河岸、湿地の辺縁など、肥沃な湿潤地に生育する。【原色日本林業樹木図鑑】
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畦畔の湿潤な傾斜地で通気性に富む肥沃な土壌(BE型)で最も良好な成長を示す。排水の悪い谷底平坦地や湿地に耐え、特に泥炭湿地防風林として植栽されるが、生育は悪く用材としての造林地ではない。【林業技術ハンドブック】
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水曲柳(ヤチダモの中国名):水曲柳是一個主根短、側根発達的喜樹種、但幼時梢能耐蔭、并且喜肥、喜湿潤、耐寒和梢耐塩碱、能耐-40℃的嚴寒、在pH値8.4、含塩量0.1-0.15的塩碱地上也能生長。水曲柳強湿潤、但不耐水漬、在季節性洪水或排水不良的地方栽値、常生長不良或死亡。【中国主要樹種造林技術】 |
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ヤチダモの学名
学名には中国に分布する種と同一と見る Fraxinus mandshurica と、その変種 Fraxinus mandshurica var. japonica 又は別種 Fraxinus excelsissima Koidzumi とする見方がある。
このため、これら見解の相違から、図鑑における分布域に関する記述が以下のように異なっている。 |
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① |
Fraxinus mandshurica Ruprecht としたもの
(日本のヤチダモは中国の「水曲柳」と同一とする見解) |
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② |
Fraxinus mandshurica Ruprecht var. japonica Maximowicz またはFraxinus excelsissima Koidzumi としたもの
(日本のヤチダモは中国の「水曲柳」の変種または別種とする見解)
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【朝日百科 植物の世界】
長野県以北の本州、北海道と朝鮮半島、中国東北部、サハリン、沿海州に分布する。
【原色日本林業樹木図鑑】
本邦に産するものは一般に小葉の基部の褐毛が特に多く、翼果が幅広いので、1変種(var. japonica)として区別されることもあるが、明らかな差異ではない。
【中国樹木誌】水曲柳(ヤチダモ)
産于黒竜江、吉林、内蒙古、河北、河南、山西、峡西、寧夏、甘粛、俄羅斯遠東(ロシア極東)、朝鮮半島、日本有分布。
【Wikipedia】
Fraxinus mandshurica (Manchurian Ash) is a species of Fraxinus native to northeastern Asia
in northern China, Korea, Japan and southeastern Russia. Also known as
'Chinese Oak'. |
【平凡社 日本の野生植物】
Fraxinus mandshurica var. japonica
北海道・本州、朝鮮に分布。
【山渓 樹に咲く花】
Fraxinus mandshurica var. japonica
北海道、本州(岐阜県以北)、朝鮮半島に分布。
【樹木大図説】
Fraxinus mandshurica var. japonica
Fraxinus excelsissima
北海道、本州(中部以北)の産、大体寒帯より温帯南部に亘る、ヤチとは低湿地をいう。
基本種は基部着点の褐毛稍少し。朝鮮、樺太、満州、濠州、東亜温帯に分布す。 |
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注: |
ヤチダモの学名の種小名 mandshurica が、この名の由来である旧満州を擁する中国の「中国植物誌」では mandschurica としている。綴りの誤りである可能性が考えられるが、別の経過があるのか真相は不明。 |
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ヤチダモの材
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(外観) |
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ヤチダモ材の外観
環孔材であるヤチダモの個性は板目面で発揮される。 |
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板目面のアップ写真
ヤチダモの年輪がくっきり見えるのは、道管の径が太いことによる。
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ヤチダモの杢の例 その1
ヤチダモにはしばしば美しい杢が現れ、古くから貴重な板材として装飾的な用途に利用されてきた。 |
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ヤチダモの杢の例 その2
いずれも森林総合研究所北海道支所 標本館展示品。 |
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ヤチダモ大径木の年輪盤(年輪は340年)
(昭和の森 野幌森林の家展示品) |
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(利用事例) |
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ヤチダモの木製サッシュ |
ヤチダモの羽目板 |
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北海道の古い建築物で、内装材に先にも紹介したヤチダモの見事な杢板を使用した事例が見られる。内地であればケヤキの玉杢は定番であるが、紹介する例は北海道産の木材を意識して使用したもので、ドアの鏡板や腰壁板(腰壁、腰板)にヤチダモの玉杢板をふんだんに使い、重厚・上質な空間を演出している。このレベルの仕様は庶民には全く無縁のものであるが、美しいものはやはり美しい。 |
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道庁赤れんが庁舎内のドア
ドアの鏡板はすべて豪華なヤチダモの杢板(玉杢)を使用している。 |
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同別のドア
見事な鏡板である。指物用材としても最適であろう。 |
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左:赤れんが庁舎の腰壁板部分
ここに紹介する特別仕様の部屋は、赤れんが庁舎の〝城主〟の執務室として使用されたものである。とっておきのヤチダモ杢板を集めたのであろう。
北海道庁旧本庁舎
(赤れんが庁舎)
明治21年に内務省北海道庁本庁舎として建築され、明治42年に地下での失火で内部を丸焼けにしてしまったが、同44年に復旧。ネオバロック様式。
昭和44年重要文化財指定。
写真は旧長官室である。 |
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北海道育種場旧庁舎
(当初は内務省北海道林業試験場庁舎)
昭和2年築。ハーフティンバー様式。
現在は江別市が保有・管理。
平成13年国指定登録有形文化財
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これもヤチダモの杢板による腰壁板の例である。 |
てらてらしていない仕上げに魅力がある。 |
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(バット素材としてのヤチダモ)
プロ野球のバットの素材としてはアオダモの物理的な特性(強度と粘り)が従前から評価されてきたところであるが、それほど大きくなる木ではないことに加えて資源量自体が先細りとなっていて、プロ野球のバットの素材としてはアオダモは既にそのシェアを大きく落としている模様である。選手の好みにもよるようであるが、現在では特に北米産のメープル(シュガー・メープル)が増え、他にホワイトアッシュも従前から使用されているようである。
しかし、かつてはヤチダモがバット素材として大いに利用され、多くのプロ野球選手が世話になった時代があったという。その理由は、ヤチダモが圧縮バットの素材として好都合で、飛距離を稼ぐのに随分貢献したことによる。 |
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【木材を知る本:宮島寛(北方林業会)】
かつてホームラン数の世界新記録を打ち立てた王貞治選手のバットはヤチダモの辺材から採り、これにプラスティックを加圧注入した、いわゆる圧縮バットで、その原材料は72mm角の長さ90cmの製材で、日高地方で生産されていた.特に生長の良い若いヤチダモに辺材が広いものがあり、それから採った72mm角の木口の年輪数が16程度のものが出ると、生産者は王選手用として別にし、松戸のバット加工工場に送ったという。この72mm角に年輪が16というのは、平均年輪幅にして4.5mmで、容積密度数の最も高いところに相当し、経験的にヤチダモの最も強いところを選んでいたのである。辺材が使われたのは心材よりもプラスティックの注入がしやすいからである。 |
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圧縮バットは昭和54年から禁止されることとなったが、ヤチダモのバットはその後どうなったのであろうか。実は表面塗装のみの状態では、ヤチダモのバットはアオダモのバットに比べると耐久性において分が悪いようである。
かつて(2005年)ミズノに聞いたところでは、以前は軟式用バットにヤチダモを使用していたが、表面が他の素材に比べ剥がれ易くて弱いため、既に使用していないとのことであった。この「剥がれやすい」とする表現はわかりにくいが、以下の説明事例が見られる。 |
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【木材を知る本(前出)】
ヤチダモは孔圏の道管が大きく、かつ数が多いことはバットとした場合、打球数が多くなると、この孔圏部分から剥離することがあり、この点ではアオダモの孔圏(注)の道管がヤチダモより小さく、数も少ないので、耐久性があるといわれている。
アオダモは(そのほかに)表面の硬さ、せん断強さ、せん断弾性係数が優れている。
(注)「孔圏」とは径の大きな道管の並んだ部分をいう。前出木口面の写真を参照。
【木の大百科】
ヤチダモの孔圏道管は径が0.1~0.4mmあって大きく、2~3層になっているのがふつうである。シオジと同様にアオダモに比べると材に粘りが少ない。
アオダモは孔圏の大きい道管は径が0.08~0.27mmで、シオジ、ヤチダモよりも小さい。孔圏はふつう道管が1層であることもシオジ、ヤチダモのふつう2~3層であるのと違っている。材はシオジ、ヤチダモよりも重硬で、また強く粘りがある。 |
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ヤチダモは魅力的な環孔材で、道管に由来する板目模様もきれいであるが、バット用材としては圧縮バットの道が閉ざされて以来、バットとしての存在感は薄れていて、販売情報を調べても、一部メーカーがヤチダモ製の少年軟式野球用バットやトレーニングバットを提供しているのを確認したのみであった。 |
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(注) |
国内でメープルのバットが増えたのは、米国での変化に追随したものなのかもしれない。メープルは硬さで優れているといわれる。baseball-bats.net
に米国事情について次のような記述がある。
「1970年代半ばまで木製バットはどのバッターにとっても唯一の選択であった。しかし今日、野球及びソフトボールのいずれの場合も、木製バットはアルミ製バットよりもはるかに利用が少ない。プロの場合は木製バットを使用しなければならないし、ある高校のリーグでは安全を理由に最近木製バットに変更している。ほとんどの木製バットはホワイトアッシュ(northern white ash )で作られているが、近年、メープルが一般的な選択肢となっている。この傾向はバリーボンズが2001シーズンの間にメープルで成し遂げた成功 (1シーズン73本塁打 )以来のものとなっている。」 |
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<参考:ヤチダモ材の利用に関する記述情報>
【原色木材大図鑑】ヤチダモ
材は建築(建具・鏡板・内部造作)、家具(洋家具・陳列棚・仏壇)、合板(表板・装飾的単板)、器具(指物・算盤の枠・ブラシのせいた、盆、額縁)、運動具(ホッケーのスティック、ボートのオール、ラケットの枠、スキー)、機械(部材、滑車、滑車枠)、楽器(太鼓の胴、琵琶の胴と腹板・諸楽器の外囲・キャビネット)、土木(枕木)、車輌(車体、内装)、旋作、薪炭などになり、クリの模擬材
(注) 運動具、機械、枕木としての利用は昔のはなしである。
【木の大百科】ヤチダモ
家具材としては箱物、棚物、テーブル、椅子などの洋家具にふつうに使われ、また曲げ木の形でも用いられる。杢板は茶箪笥、鏡台、針箱などの和家具に賞用される。建築材、車両材、船舶材としては装飾造作材の用途も構造材の用途も多い。器具材(工具の柄、漆器素地、ブラシ木地その他各種のもの)、機械材としてもきわめて一般的である。戦時中、ヤチダモは軍需用材として最も重要なものの一つとされ、船艦材、車両材、架橋材、機械・器具部材などに大量に用いられた。
(注) |
ヤチダモの材は中国からも輸入されていて、製品に加工されている。一般には同種とされていて、見た目には区別などできないようである。 |
【中国主要樹種造林技術】水曲柳 木犀科 Fraxinus mandshurica
水曲柳樹幹通直円均、材質優良、略重硬、力学強度大、并富在弾性、紋理通直、花紋美麗、結构粗。難加工、鉋面光滑、難釘打、易并裂、油漆費工、難干燥、易翹曲和縐縮。
較耐腐和水湿。靭性大。是胶合板的主要原料、又是航空用材。由于它具有弾性、靭性、対一些運動器械如槓木、滑雪板等尤為適宜。此外、室内的装修、機械製造、造船、車両、家具、鑲嵌木地板、鉱業配件、電杆横担木、工具把、槍托等也広泛使用。 |
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雪虫はヤチダモを目指す!! |
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雪虫(ゆきむし)の愛称のある「トドノネオオワタムシ」 Prociphilus oriens は北海道、本州、シベリア等に分布する半翅目タマワタムシ科(アブラムシ科)の昆虫である。栽培作物に害を及ぼすことはないため、特に北海道にあっては晩秋の穏やかな風物詩となっている。
自ら分泌した綿毛状のワックスを身にまとい、ふわふわと飛びながら、産卵場所となるヤチダモを目指しているのだそうである。この昆虫の生活環は複雑で、何と5世代に及び、図鑑の説明を読むのも面倒なほどである。1次寄主(冬寄主)である主にヤチダモと2次寄主(夏寄主)であるトドマツの根の間で、寄主転換を行う(森林昆虫:養賢堂)ことが知られている。
【追記】2017年1月22日放送のNHK 「ダーウィンが来た」で雪虫が採り上げられて、研究者の協力の下に非常にわかり易い映像が紹介されていた。ヤチダモの樹上での様子はもとより、人工的な環境でであるが、アリが甘露目当てで雪虫を巣に運び込み、雪虫は巣穴に絡むトドマツの根から吸汁する姿まで捕らえていた。
深刻な被害のはなしは聞かないが、トドマツの苗木を枯らすこともあり、森林に軸足を置く立場からは、「森林病害虫」であり、「吸汁性害虫」のひとつということになる。 |
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ゆきむし(トドノネオオワタムシ)の様子 |
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無理に手に止まってもらった1匹 |
ヤチダモの樹皮上で 1
産卵場所を選んでいるのか? |
ヤチダモの樹皮上で 2
数匹が群れている。 |
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【追記 2019.11】 突然に登場した北海道産ヤチダモの皮付きの鳥居 |
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皇居東御苑 大嘗宮のヤチダモの鳥居 1 |
皇居東御苑 大嘗宮のヤチダモの鳥居 2(部分)
いかにもヤチダモらしい樹皮の質感である。 |
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大嘗祭(だいじょうさい)が行われた皇居東御苑の大嘗宮(だいじょうきゅう)はとんでもない国費の無駄遣いとして知れ渡ってしまった。つかの間の仮設施設であるにもかかわらず、なんと16億円もの経費が投入されたという。そもそものところをしかるべき者が考えもせずに、前回の過大な例を無責任にも踏襲したことによるらしい。いろいろ問題があるが、奇妙な鳥居を見かけたため、記録に留めることとしたい。
そもそも、神道的儀式は決して伝統や高潔な精神性を背景としたものではなく、厳粛で重々しい雰囲気を演出するための儀式のための儀式としてつくりあげたものが仰々しく肥大化したものに過ぎないことは明らかであるから、例えば鳥居の素材として北海道産のヤチダモの皮付き丸太が使用されていることについても、特に深い意味はないと思われる。唯一考えられるのは、一部であったとしても地域の共感を得るための演出として、地域の素材を利用することを意識したものである可能性がある。
今後のことを考えると、天皇の取り巻き達が、既に自分たち自身が訳がわからなくなっている過大な〝秘儀〟で天皇にとんでもない負担を強いることは控えるべきであろう。 |
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