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木の雑記帳
天然林材の貫禄
屋久杉、(天然)秋田スギ、木曽ヒノキ、天然カラマツ
屋久杉、(天然)秋田スギ、木曽ヒノキ、天然カラマツの顔 スギやヒノキは、建築用材として使い易いため、古くから利用され、また人工林の歴史も長いものがある。また、カラマツは植栽する場合の適応範囲が広いため、原産地ではない北海道において本家長野県よりも広大な人工林があり、その利用は後から考えたという経過がある。 人工林は基本的に使いやすい材の生産を目的に育てる畑であり、里山でもごく普通の景観を形成し、その材もごく一般的に利用されている。 一方、これら樹種にはそれぞれ自生地があり、天然性のものが存在する。しかし、いずれも総じて減少しており、希少性が高まってきている。これらの材は「畑」で大切に育てられたものと違って、厳しい条件の中で競争に耐えてきたため、年輪が緻密で、人工林材とは全く別の印象がある。 |
1 屋久杉、秋田スギ 屋久杉は現在全く伐採されていないため、かつての根株や土埋木が出てくるのみである。しかし、かつての在庫がかなりありそうで、なかなか途切れない。一般のスギとは異なる独特のヤニのいい匂いがあり、無塗装の茶托はいつまでも香りを残す。鹿児島県では屋久杉の工芸品の生産が盛んである。 秋田スギといえば、曲げわっぱというイメージで、話としてはツキ板の天井材が有名。三大美林の中ではトップを切って資源的に枯渇し、今や供給量はわずかである。こうした状況を背景に、かつては天然物を「秋田スギ」と称していたが、政策的に人工林のスギを指すようになった。このため、現在では天然物は「天然秋田スギ」と呼ぶ。 |
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屋久杉 | 秋田スギ |
人工林スギ |
2 木曽ヒノキ 木曽の天然ヒノキの知名度が高いのは、江戸時代に厳しく保護・管理され、純林に近いヒノキ林が明治時代に引き継がれたことによる。皇室の御料林から現在の国有林に至る歴史の中で、資源的には細ったが、現在でも一定量が産出されており、高級建築材、工芸素材等として健在である。樹齢は通常250年から300年である。 |
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木曽ヒノキ | 人工林ヒノキ |
3 天然カラマツ ほとんど産出されないため、目にする機会はまずない。本州中央の自生地でも純林を形成することなく、単木的に存在するのみのようである。かつては高級内装造作材として利用された。木目が非常に美しく、工芸の素材としてもおもしろいと思うが、そうした製品は過去にも現在も見たこともない。そもそも流通していないんではこだわったところで仕方がない。 |
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天然カラマツ(長野県産) | 人工林カラマツ |