掲載樹種
(掲載名のまま) |
本文中での説明 |
注釈 |
<輸入材> |
本黒檀
(ほんこくたん) |
黒檀は高級品用で、狂いが少なく美しい光沢がある。 |
枠は黒檀類が多く、珠も黒檀であれば総黒檀算盤ということになる。本黒檀は全体に漆黒色で光沢がある。 |
縞黒檀
(しまこくたん) |
(黒檀は狂いが少なく美しい光沢がある。) |
黒色と灰褐色または帯紅褐色が縞をなす。 ふつうやや低く評価される。 |
アフリカ黒檀 |
(黒檀は狂いが少なく美しい光沢がある。) |
普通の黒檀がカキノキ科であるのに対して、これはマメ科。 |
南米黒檀 |
・・・ |
具体的な樹種名は未確認。(南米の黒檀は知られていない。) |
紫檀(したん) |
紫檀は高級品用で、狂いが少なく美しい光沢がある。 |
いくつかの種が紫檀の名で利用され、一般にローズウッドの名で知られる。 |
白檀(びゃくだん) |
− |
珠のみならず、枠まで白檀を使用した総白檀算盤が存在する。 |
紅木(こうき) |
− |
べにのき、こうき、紅木紫檀とも。マメ科のレッドサンダーを指す。鮮紅色の材で、三味線の棹にもされた高級材。 |
陸南(りくなん) |
− |
昔(50年以上前)、船の甲板に用いられていたとされる材木で、水に浸かっても腐らないといわれたが、現在では流通していない【小野市】という。樹種名は確認できない。甲板最適材はチークであるが、チークは緻密な材ではないから明らかに該当しない。
陸南はリグナムバイタの「リグナム」に漢字を充てたのではないかとの見解がある。 |
花梨(かりん) |
− |
普通は「花櫚(かりん)」と表記する。東南アジア産のマメ科の高木。慣用的に「花梨」とも表記するが、これは通常はバラ科のおなじみの木を指す。 |
鉄刀木(たがやさん) |
− |
濃褐色から黒褐色の基材に細かい縞があって模様となる。 |
<国産材> |
樺(かば) |
一般には樺が多く使われる。目を疲れさせない色目で、摩耗が少なく、狂いもない。岩手産のオノオレカンバが主体(で推移)。 |
樺はカバノキ科カバノキ属の総称であるが、算盤珠としては、オノオレカンバ(斧折樺)が主体といわれている。 |
柞(いす) |
材質は硬く、割れにくく、耐久性が強い。柞珠は中国・九州地方では好評だった。戦時中、黒檀の輸入が途絶えた際は枠材にも使われた。枠材としては少し狂いやすい欠点があった。 |
標準和名はイスノキ(柞の木) |
柘(つげ) |
緻密で加工しやすく、耐久保存性も高い。黄楊色。
鹿児島産のツゲは広く好まれたが、量が少なく高価であった。後にシャムツゲが入荷するようになって広く普及した。 |
「柘」一字では「つみ」と読み、ヤマグワの異称とされるから、「柘植又は黄楊」と表記した方がわかりやすい。シナツゲとシャムツゲの両方が使用されているという。 |
福良木(ふくらそう) |
材質は硬く、緻密で耐久性がある。加工性に富む。商店用の大型珠として利用。 |
突然の謎の漢字表記と奇妙な読みで、ワクワクしてしまう難問である。予想どおり、ソヨゴであることを確認した。ソヨゴの葉を火であぶると膨らんで爆ぜるため、フクラシバの地方名もある。 |
梅(うめ) |
木目が美しく、狂いの少ない良材。
戦前によく使われていた梅、柊、椿、○〔木偏+要〕(かなめ)などは、戦後にはあまり登場していない。 |
雲州そろばんは、当初は梅の木で珠を作ったという。材は非常に堅く緻密で、櫛、数珠など細工物、印材、根付けなどの細かい彫刻をする材料などに用いられた。 |
柊(ひいらぎ) |
珠の摩耗が少なく、狂いが少ない。目を疲れさせない色。(江戸時代、)播州で算盤の珠材として使われていたのは、ほとんどが柊であった。その後福良木も使用されるようになった。 |
材は淡黄白色で緻密・強靱で、算盤珠のほかに器具、楽器、印判、櫛(くし)、将棋の駒などに賞用される。 |
姥目樫(うばめがし) |
戦後、学童向けには単価的に安い姥目樫の珠が使われていた(経過がある。)南旦珠と名付けていた。 |
材の利用例は少ないが、艪臍、艪頸はこの材に限るといわれ、また槌、杵等を作るのにも適当とされる。 |
<木材以外> |
牛骨、象牙、蛤貝、珊瑚、大理石、玉石、真珠、翡翠(ヒスイ)、瑪瑙(メノウ)、竹、ガラス、アクリル樹脂、椰子、ビーズ、陶器の名もある。
伊能忠敬は、浜辺の湿気でも動くように陶器珠のそろばんを使っていた。 |
木材以外の素材の使用は、珍奇性、希少性ねらいの趣味的な色彩が強く、必ずしも機能性で優位にあるものではない。樹脂製は生産合理化の観点から生まれた。 |