木の雑記帳 至高のスネークウッド
木製ステッキ用材として、断トツの最高位に君臨するのは「スネークウッド」の名の南米産のクワ科の木材である。その製品価格は常軌を逸したものとしかいいようのない水準で、百万円超の価格が普通である。これは既に道具としての価格ではないし、手の込んだ工芸品の水準である。しかし、決してそれほど手を掛けているわけでもなく、あくまで素材の希少性に由来する価格と理解される。後学のために是非とも参拝する必要がある。【2009.12】 |
ステッキ用材は機能的には特に難しい要求はなく、一定の強度とクリア塗装とする場合は外観にある程度の美観、個性を備えていれば合格である。このため、唐木を初めとして多くの南方系の材色が個性的な硬質木材も利用されている。 こうした中で、スネークウッドは確かに個性的な斑紋が重厚な印象を与えるが、その重量当たり単価(グラム当たり単価と言った方がよいのかも知れない。)は香木の域に達している。 |
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スネークウッド(Snakewood)Piratinera guianensis の名は、材に見られる斑紋が蛇(snake)の鱗のようであることに由来し、また模様が象形文字文字にも似ていることからレターウッド(英国、Letterwood)とも呼ばれ、さらに、しばしばレパードウッド(米国、Leopardwood)とも呼ばれる。 分布については、ブラジルのアマゾン川流域からガイアナ共和国、ベネズエラ、コロンビア、パナマ、メキシコ南部さらには西インド諸島までの中央アメリカ及び熱帯アメリカに生育し、商業的供給については主にガイアナ共和国、フランス領ギアナ、スリナムからのもの【産調出版 世界木材図鑑】とされる。 クワ科の中高木で、代表的な利用はステッキで、その他傘の柄、ナイフハンドルさらにはスライス単板は象嵌細工やキャビネット用化粧合板等に利用され、ステッキ用材としては均等に斑紋のあるものが最高級品とされる。この模様の具合により、数倍の価格差が見られる。 なお、原木の木口を観察する機会に恵まれないが、斑紋が出る部位は心材の外周部4〜5センチ厚の部分とされる。【銀座タカゲン】 残念ながら生の立木や原木を鑑賞できないため、海外情報等に頼ることとする。 |
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A | その1 【Exotic Wood Group】(抄) スネークウッドは当初はブラジル北部の小さな国であるスリナムの熱帯雨林で発見されたもので、世界で最も引き合いのある木材の一つとなっている。 Snakewood として一単語でも表記されるこの木は、非常に硬くて重い。リグナムバイタとともに、多分世界で最も密度の高い木材と見なされている。スネークウッドは事実水に沈み、平均密度は驚いたことに1.30である。 材の価格が高いため、間違いなく最も高価な木材の一つであり、割りやすいことからスネークウッドは一般に、ペン、ナイフ柄、玉突きのキュー、象眼などの小間物に利用されている。旋盤による工作性は非常によいが、十分に注意して保管し、作業をする必要がある。この木材は湿度や温度の変化に非常に敏感なため、これらの変動が避けられる空調条件の下で保管するのが望ましい。さらに、旋削やサンディングの都度、シアノアクリレート系接着剤で木材を被覆することを強く勧める。これにより割れの発生を抑えることができる。 スネークウッドは本来的に樹脂(ヤニ)が多く、これが光沢を増しているが、仕上げ段階で問題となる。仕上げ前の一つの有効な方法は、最初に溶剤で部材を拭うことである。 この樹は幹が直径3フィート程に育つが、輸出される材は7インチ幅以上であることはまれである。材に現れる黒い斑紋は、しばしが線状よりも点状に多く出ることがある。このため、この材はしばしばレパードウッド(Leopardwood)と呼ばれる。しかし、ブラジル産で一般名をレパードウッド(Lepardwood)と呼ぶ Panopsis rubellens は全く別の木材であるため、これと混同してはならない。 スネークウッドは年数の経過で色が濃くなることが避けられないが、黒い斑紋は一般に明瞭に残る。 |
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B | その2 【USDA Forest Service】(抄)
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