木の雑記帳 高嶺の製品は材料が高い? 黒柿と肥松
黒柿と肥松の製品価格の突出振りにはびっくりする。材料の供給量が非常に限られていることに由来するようである。しかし、いずれの製品も茶道具として愛好された歴史を持ち、落ち着いた格調を感じる。同様に貴重材である屋久杉の製品より、総じてハイセンスである。 |
黒柿(くろがき) |
黒柿(クロガキ) (明文堂「銘木名鑑」より)
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カキノキ(マメガキなど)で、ときに心材部に黒色の濃淡のある縞紋様が見られ、これを「黒柿」と呼んで、古くから最高級の素材として珍重されてきた。床柱、座卓、文机、手箱、花台、茶道具などの製品が見られ、文鎮や箸などの小物でもいい値段で驚かされる。床柱ではウン百万円とか。 黒柿というと、その製品の値段の高いことは承知しているため、素材に魅力を感じるか否か以前に、尊敬の目で見てしまうことになる。また、歴史と文化に育まれ、現在でも黒柿の茶道具が制作されていることを聞くと、これまた格調の高さに尊敬の念を新たにしてしてしまう。 かつて、12万円也の黒柿の丸盆の法外な値段に呆れて、何か小物でもと思ったものの、小物では黒柿らしさが表現されない難がある。素人の目には縞黒檀にも似ている。しかも、本当の黒柿なのか、シャムガキなのか、シャムガキの代替材のゼリコテなのか、素人にはさっぱりわからないのは悩ましい。 |
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肥松(こえまつ) |
肥松 (九州産アカマツ) |
肥松(こえまつ)は脂松(やにまつ)ともいい、高齢のアカマツ、クロマツの大径材から得られる特に樹脂分の多い材を指して呼ぶ。床の間の地板として古くから定評があるほか、工芸的利用としては香川、宮島、伊豆下田等の製品が知られている。価格の高さは生活感覚を超越しており、異次元の世界である。日にかざすと光が透けて、また年数が経過すると次第に風格を増して飴色になるといわれる。 以前から長手盆又は指物系の角盆を一つ手に入れたいと考えていたが、相場はウン万円であり、なかなか手が出せない。肥松は素材自体に魅力感じる。また、偽物があり得ないのは安心材料でもある。さりげなく普通に存在するマツであるが、一方で工芸的な貴重材が存在することは非常に興味深い。 |
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