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木の雑記帳 |
木の感触を知る 木材標本の話 その1 |
樹木の名前は公園や植物園で覚えることもできるが、各種の木材にまとめて接する機会は非常に少ないのが現実である。そこで、手近な標本類で目を慣らすと、日頃目にする床板や家具の木材の種類が次第に見えてくる効果がある。 |
1 | 丸太標本 その1 たまに、森林・木材をテーマとした公共施設の一角で、皮付きの各種の丸太の上部を欠き取った標本を見かけることがある。いろいろな樹種の樹皮と木材の質感がわかる効用は捨て難いものがある。しかし、仕込みが大変であることと、かなりの展示スペースが必要であることから、それほど一般的ではない。また、普通は材面が素地のままであるため、経年変化とホコリで汚れてくると、材面の色は作成時の面影がなくなって、標本としての価値は樹皮だけとなっているケースが多いのは残念なことである。作成時にウレタン塗料を薄く擦り込んだ方がよいのではとの思いを持つ。 下の写真は王子製紙森林博物館の標本館の展示物。丸太標本としては超弩級で、標本として寝かしておいてはもったいないような代物である。写真の一番右はハリギリで、直径は96センチ。全18種類。 北海道夕張郡栗山町 (現在は閉館) |
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2 | 丸太標本 その2 (2011.6追記) 丸太 標本の本場はやはり北海道であることを実感する。要は国内では開発が後になったということが背景になっていることは間違いない。 下の写真は森林総合研究所北海道支所の標本館の展示物である。これも超弩級の丸太標本で、材面の質感を実感できるようにカットしてある。しかし、経年変化でどれもが茶褐色になって、樹種による違いを認識することは困難になっている。さらに、トップの木口面には割れ防止のためか、布張りの塗装仕上げになっているのは少々残念である。しかし、樹皮はしっかり付いている。 入館無料。 札幌市豊平区羊ヶ丘 |
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3 | 小丸太標本 | |
下の写真は、いわば小丸太標本で全体の一部。いずれも直径は十数センチほどで、木製棚に展示されている。標本としては今ひとつであるが、省スペースタイプで、コンパクトに収まっている。石狩森林管理署庁舎内。 | ||
4 | 薄板を貼り付けた本 厚さが20センチ弱の蛇腹折りの厚手紙の本に、多くの樹種の本物の薄板を貼り付けたものが存在する。様々な杢の出た材も掲載しているのも驚きである。普段閉じられた状態にあることから、年数が経過しても変色が少ない点は再評価に値する。もう、新たに出版されることはないであろう。 下の写真は「木材名鑑」(木材名鑑刊行会、昭和31年5月30日、明文堂 ¥5,000)と題する本。日本産樹種139種、外国産樹種29種、全168種の縦7.5センチ、横4.0センチの薄板実物標本を貼附している。 |
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5 | 額縁入り標本 学習教材として、例えば国産材と外国産材を分けて、長方形の標本を数十種類額縁の中にはめ込んで壁に掛けたものを見ることがある。典型的な木材標本である。相当の価格であったに違いないとの印象はあるが、目にするものは数十年経過したものばかりで、みんな日に焼け黒ずんで、改めて目を凝らして見る気にもならないものと化しているのが普通です。素地のままとすることにこだわるより、ウレタン塗料を薄く擦り込んだ方が標本としての機能は勝ると思われる。なお、皮肉なことであるが、個々の標本材は嵌め込み式で固定していないため、裏返して変色がひどく進行していない面を見ることができるのは救いである。、 下の写真は東京都江東区新木場の「木材・合板博物館」の展示品で「外国産主要木材」のバージョン。この他に「日本産主要木材」、「熱帯産主要木材」のバージョンがあって、大阪の近畿中国森林管理局のホールにはこの3種類がそろっている。 |
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6 | 税関用材鑑 税関で熱帯産輸入木材を確認するために作られた材鑑。現場での実用品であることから携帯性を考えた仕様となっていて、大きさはハガキよりやや小さめ。これで本当に実用性があるのかは不明。 写真は上と同じく「木材・合板博物館」の展示品。 |
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7 | 自家製標本 各種の木材のノコギリを挽く感触や、手鉋(カンナ)で削る感触を体感して印象に残すには自分で標本を作れば良いきっかけになる。自分もかつて、除伐されて打ち捨てられた広葉樹や切り株、端材、薪などから多くの種類の標本を作ったことがある。その際、材面の変色を想定して、3面にだけウレタン塗料を薄く塗って仕上げてみた。(写真は省略) |