木の雑記帳
草むしりにはどんな帽子が一番か
夏の日差しが強い時期に野外を徘徊するには帽子が不可欠となる。農作業はもちろん、草むしり、魚釣りでも需要があるはずである。店にはキャップ型、ハット型などいろいろなかたち、材質のものが見られるが、使い心地はどうであろうか。そこで、どんな帽子が快適なのか、あれこれ試しつつ考えてみた。【2008.8】 |
1 | 帽垂れ付き帽子 旧日本軍の略帽に日除けのための「帽垂れ」を取り付けたものが知られている。戦争映画・ドラマで南方の日本軍のスタイルとして見かける帽子である。首筋の直射日光を避けるためにのれんのように4枚の布を帽子に取り付けて垂らしたものである。風にひらひら揺れて涼しげで、いかにも環境に適合した仕様といった風情である。 これと同じものは店では見かけないが、似たものは見かける。切れ込みはないが、少し腰のある帽垂れ(むしろ後ろにも庇が付いているといった方がよいかも知れない)付きの帽子が販売されている。このタイプのお揃いの帽子を園児・児童がかぶってぞろぞろ歩いている姿を見かけた。 激安のポリエステル地のものを購入したことがあるが、ナイロンに近い感触であるため肌触りが今ひとつで、いかにもムレそうな感じがどうもなじめなかった。やはり、綿素材の方が違和感がなさそうである。キャンプ用品としても販売されているのも見かけた。代用品として考えるのであれば、キャップの下に手拭いを垂らしてかぶる方法がある。
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2 | 麦わら帽子・藺草帽子 特に説明は要しない、最もオーソドックスな日除けの帽子である。庇が比較的大きく日除け効果が大で、野良仕事にはなくてはならないものとなっていて、「カールおじさん」も愛用している。麦わらでも藺草(いぐさ)でも編み目に由来する一定の通気性があって、藺草の場合は部分的にメッシュ編みにして通気性を高めたものもある。価格が安いこともあって相変わらず広く利用されている。 しかし、よくよく観察すると、やはりこれも「帽子」で、頭をすっぽり覆う構造である。そのため熱気が籠もる感じは避けられないし、特に接触する部分で汗がビタビタとなって不快感の原因にもなる。ネクタイと同様に、そもそも帽子は外来文化で、そのデザインは日本の夏場の気候・風土に適合したものなのか、疑問が湧いてくる。 |
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3 | 伝統的デザインの日笠 もっと涼しくて快適な日除けがないものか・・・・と考え、古き日本の風景、さらに蒸し暑いであろう東南アジアの田園風景を思い浮かべてみた。そうだ!! 「日笠」の方が快適なのではないだろうか。例の「とんがり笠」である。かつて見られた案山子(かかし)も「菅笠」(すげがさ)をかぶることになっていた。しかし、実用品としての日笠は身近ではまったく見かけない。思い浮かぶのは「お遍路笠」とお祭りの「踊り笠」、あとは酔狂な釣りオヤジの「鮎笠」くらいである。また、かつて木曽の土産物として、網代(あじろ)編みとした「檜笠(ヒノキがさ)」を見たことがある。 そこで、近場の店を覗いたところ、なんと全国展開するホームセンターで竹製の「網代笠」が遠慮がちに鎮座していたのである。ついでにダイソーを覗くと、「ベトナム帽子」の商品名で、正真正銘のベトナム製の「べトナム笠」を置いていた。もちろんこちらは消費税込み105円ポッキリである。 |
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笠はその構造から頭をすっぽり覆うものではないし、台座が付いていれば通風の空間ができるため、頭がムレることはない。大量の汗をかく場合は、中に手拭いをかぶってヒラヒラさせてもよし、剣道の面手拭い風にかぶってもよしである。 笠はこれをかぶって人目に付くところをうろうろしたら、注目を浴びてしまうこと請け合いである。その優れた機能性にもかかわらず、実用からやや遠ざかってしまったのは残念なことである。 さて、日笠より涼しいものはないだろうか。よーく考えてみると、やはり「動く日陰」に優るものはないであろう。つまり、「日傘」である。ただし、これはオヤジには似合わないし、日傘を差していては草むりしはできない。 |
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