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木の雑記帳
  
見上げる秋田スギの巨大標本
             


  木材の標本はいくら巨大でも、それはその太さであって、形態は根に近い部分の年輪板1枚を衝立のように設置するのが定番である。したがって見上げるような標本は施設の制約から通常は考えられない。ところが、東京の上野に見上げた先が霞んで見える(といっては大げさかかな)くらいの巨大標本がある。東京上野の国立科学博物館の新館に展示されたの秋田スギの標本である。 【2007】


 陸上最大の生物たる樹木の大きさを体感するための展示である。全体像はとても写真に収まらない。

 支柱が3本あるはしご状の鉄骨フレームに、巨大な秋田スギを数メートル毎に輪切りにした年輪板を下から大きい順に差し込んだ現物巨大標本である。

 この秋田スギは、秋田県秋田市上大内沢(かみおおないさわ)国有林(米代東部森林管理署上小阿仁支署管内)にあったもので、伐採時の樹齢255年、直径は地上高1.2メートル位置で138センチ、高さ49メートルの天然のもので、これほどのものは当地でも限られているようである。

国の施設だけあって、諸外国に恥じないものとすべく(たぶん)予算をふんだんに注ぎ込んでいることと、その大胆な展示手法の迫力には圧倒される。と同時に、この年輪板の間の中抜きされた貴重な丸太の行方が気になる。特上の柱を採れる部分もあり、なんと言っても秋田スギであって、使い道に困ることなどあり得ない。独立行政法人国立科学博物館が国有林から購入したかたちとなっていることはわかっているが・・・