樹の散歩道
都内某所の巨大ザクロの実
ザクロは西南アジア原産のミソハギ科ザクロ属の落葉小高木。庭に植栽されたものをしばしば見かけるが、これはいわゆる「花ザクロ」で、実は5センチほどで小さく、花は一重のものと八重のものがある。果実を目的とした「実ざくろ」は、大型果実が付く品種の苗木が供給されているから楽しんでいる人はいると思うが、なかなか目にすることはない。 しかし、ある時、たまたま枝を大きく広げ、巨大なザクロが多数たわわに実った木を目の前にして感嘆の声をあげてしまった。まるで、「秘密の花園」を見つけた少女?のような高ぶりを感じてしまった。【2008.3】 |
場所は、都内某所。ある法人格を有する団体の公開空間である。敷地の隅の方で目につきにくいことから、被害≠ェないものと思われる。 八百屋、スーパーに並ぶ大粒のザクロはイラン産や米国産のようであるが、このザクロは大きさも10センチ近くあり、輸入品と互角である。遠慮がちに1つだけ頂戴してきて試食したところ、甘酸っぱい果汁が実にいい味であった。 |
たわわに実ったザクロの果実 もったいないことに、樹下には多数の果実が落ちていた。ミソハギ科(旧ザクロ科)ザクロ属の落葉小高木 Punica granatum 英語名は pomegranate |
食べ頃のザクロの果実 果実の先端部にゴツイ萼片が残るのが特徴であるが、この形態はグアバと似ている。 |
大きく割れたザクロの果実 もったいないことに、次々と割れが生じ、美味しそうな鮮やかな色の内部を見せている。 |
ザクロ果実の横断面 甘い果汁を含んでいるのは種子の外皮に相当する部分とされ、淡紅色透明で多汁質となっている。果実内部には白い隔壁が見られる。 |
比較用:イラン産のザクロ スーパー店頭の安売り品で、1個150円。品種に由来するのか、随分色合いが違う。イランは原産地の一帯とされる。 |
比較用:米国カリフォルニア産のザクロ 米国産の超大玉のザクロは千円以上の価格で販売されているものを目にするが、とても手が出せないから、口にしたことはない。 |
ザクロといえば、鬼子母神(訶利帝母とも)が手にしていることでも知られている。左の写真は江戸時代の「仏像図彙」(土佐秀信)の鬼子母神の図で、左手に赤子を抱き、右手にはザクロの実のついた枝(吉祥果枝)を手にしている。各地にいろいろなタイプの像があって、ザクロの実を手の平に乗せている像もある。 子授け、安産、育児の神として信仰されてきた鬼子母神はもと鬼神王の妻で、1000人の子どもを産んだが、他人の子を取って食うため、仏が最愛の末子を隠して悔い改めさせ、安産の守護神となったという伝説に基づいて、鬼子母神には人肉の味のするというザクロが奉納されるようになった(世界大百科事典)とされる。 知名度では、入谷鬼子母神が有名であるが、1寸8分の小さい木像で、至近距離から拝見することは許されていない。左手に子供抱え、右手にザクロを持った像だそうである。 ■真源寺(入谷鬼子母神) 東京都台東区下谷1-12-16 また、雑司ヶ谷鬼子母神堂の鬼子母神像(法明寺)もよく知られていて、こちらはの鬼子母神像は、鬼形ではなく菩薩形の姿をしているそうで、表記に際しては角(つの)のつかない鬼の字を使って「雑司ヶ谷鬼(←つのなし)子母神」と称している。 ■法明寺(雑司ヶ谷鬼子母神) 東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20 |