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樹の散歩道
   しばしば登場する種小名の意味


 植物学など体系的に学んだことのないフツーの日本国民にとって、学名はどうにもそのニュアンスを直感できない、きわめて文化的な距離を感じる存在である。日本原産のものであっても、西洋の学問体系に取り込まれて、命名者の名前がこれ見よがしに充てられていたり、仲間内で個人名を組み込んでいたりと、学名は実に面白くない存在である。これらは西洋の植物分類学の未開地日本で西洋人が見たことのない植物を“発見した”という、傲慢な姿勢で振る舞った記録そのものともいえる。【2011.9】 


  西洋の植物学者たちが大喜びで日本各地のほとんどの植物に自由気ままに命名したあとは、日本の学者によるマイナーな変種等の落ち穂拾いがあった模様である。しかし、悲しいことにラテン語の下地などないから、標本を作って外国の権威ある学者に命名をお願い申し上げた歴史もある。情けない話であるが仕方がない。この辺の事情は他のアジア諸国、アフリカも同様であろう。

 学名は認識が誤っていたものであっても訂正は出来ないため、これによる不幸な例もある。例えば、中国原産のエンジュの学名は、何と Sophora japonica と種小名が日本産を意味する名称となっている。日本人にとっては面白い例であるが、中国人にとっては実に腹立たしいものであるに違いない。しかし、どうすることも出来ないのである。学問的被征服民族の悲しさである。また、中国原産のイチョウの属名 Ginkgo に関する経過も有名で、中国人も日本人も蚊帳の外の状態で実に不自然な発音が強いられる綴りが生きている。(注)

 さて、学名に文句を言っていても仕方がない。学名の実用的な便利な点もあって、素人でも検索により多くの情報が得られるという利点がある。これは面白い。しかし図鑑を見る際に学名は基本的にどうでもいい存在で、基本種だ、変種だといったところで、単なる思いの違いに過ぎないから、神経質になって見ることなどない。ただ、種小名の部分がしばしば共通しているものがあって、気になることがある。それが人の名に由来するものである場合は腹が立つだけで全く興味がわかないが、種小名が特徴等を表現したものであれば、少しくらいは頭に入れておいてもいいのかなという気にもなる。

 そこで、しばしば見る種小名の意味を確認する一方、種小名が共通する学名を拾い出してみると、納得できるものが多い。しかし、わかりにくいものについて、納得できる解説が見当たらないのはもどかしいことである。

 以下は拾い上げた事例である。(一部に草本類も含む。)
 
 種小名 意 味   学名例 メ モ 
alba  albus は白色の  Quercus alba アルバオーク、ホワイトオークと総称されるものの一つ
 英語名は White oak
(ブナ科コナラ属)
材は淡色。
属名は本属植物のラテン古名に由来。
Abies alba ヨーロッパモミ、ギンモミ
 英語名は Silver fir
(マツ科モミ属)
樹皮は灰色。alba と Silver は同じ視点。
属名は Abies alba の古ラテン名。 
Morus alba マグワ (クワ科クワ属)
命名時、白実のタイプを指していた模様。
属名はクワの古ラテン名。 
Populus alba ギンドロ、ウラジロハコヤナギ
 英語名はSilver poplar, White poplar
(ヤナギ科ヤマナラシ属)
葉裏が銀白色の綿毛におおわれている。
属名はラテン古名に由来。 
Salix alba セイヨウシロヤナギ
 英語名は White willow
(ヤナギ科ヤナギ属)
葉裏は灰白色の微毛で被われている。 
属名は本属植物のラテン古名に由来。
Cornus alba シラタマミズキ (ミズキ科ミズキ属)
果実は白色。
属名はラテン語 cornu (角のように尖った堅くて骨のような突起物)より。リンネが dogwood (ミズキ属樹種)に充てた語。本属樹種の材が総じて堅いことによる。
Brassica alba シロガラシ
Sinapis alba
 
(アブラナ科アブラナ属 → シロガラシ属へ分離)
淡黄色の種子がホワイトマスタード(洋がらし イエローマスタードとも)として広く利用される。
旧属名はキャベツのラテン古名。新属名はマスダードを意味するギリシャ語の sinapi から。 
nigra  niger は黒色の   Juglans nigla クログルミ、ブラックウォルナット
 英語名は Black walnut
(クルミ科クルミ属)
樹皮は灰黒色。心材は暗褐色。 
属名は Jovis(ジュピターの)+glans(堅果)
Dalbergia nigra ブラジリアン・ローズウッド (マメ科ツルサイカチ属) 
材は黒色と暗橙褐色が縞状または斑状にまざる。
属名はスウェーデンの植物学者 Dahlberg 兄弟にリンネの息子が奉献したもの。
Phyllostachys nigra var. nigra
クロチク
(イネ科マダケ属)ハチクの学名上の母樹
稈は2年目に紫黒色になる。
属名はphyllon(葉)+stachys(穂)
Pinus nigra ヨーロッパクロマツ
  英語名は Black pine   
(マツ科マツ属)
樹皮は灰黒色。 
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。
Populus nigra ヨーロッパクロポプラ
  英語名は Black poplar
(ヤナギ科ヤマナラシ属) 
大きくなると樹皮に暗色の縦筋が生ずる。
属名はラテン古名に由来。arbor-populi(tree of people)
Sambucus nigra セイヨウニワトコ (スイカズラ科ニワトコ属)
国産のニワトコの果実は赤色であるが、本種の果実は黒く熟する。 
属名はギリシャ語で古代楽器の sambuce で、柔らかい髄が容易に枝から取り除け、フルートや笛として利用されたことによる。
Brassica nigra クロガラシ  (アブラナ科アブラナ属)
 褐色の種子がブラックマスタードとしてインド料理等に利用される。
属名はキャベツのラテン古名。
rubra ruber は赤色の Quercus rubra アカガシワ
 英語名は Red oak
(ブナ科コナラ属)
葉が赤く紅葉することから。
属名は本属植物のラテン古名に由来。 
Myrica rubra ヤマモモ (ヤマモモ科ヤマモモ属)
赤い果実を付ける。
属名はギリシャ語の myrizein(芳香)に由来する芳香性の低木 myrike の名から。
 
Plumeria rubra インドソケイ (キョウチクトウ科インドソケイ属)
花がピンクから赤色。
属名はフランスの植物学者 C. Plumier に由来。
Ulmus rubra レッドエルム
 英語名は Red elm
(ニレ科ニレ属)
大きな茶色の冬芽はさび色の毛に被われる。 
属名は本属植物のラテン名。
Alnus rubra レッドオルダー
 英語名は Red alder
(カバノキ科ハンノキ属)
樹皮の損傷部位が赤さび色となる。 
属名は本属の1種の古名 Alnus に由来。
rubrum ruber は赤色の Acer rubrum ルブルムカエデ、アメリカハナノキ、レッドメープル (カエデ科カエデ属)
開葉前に赤い花を付け、葉は美しい赤色に紅葉する。 
属名は Acer campestre(コブカエデ) のラテン名に由来。
glauca glaucus は帯白色の、灰青色の Magnolia glauca ヒメタイサンボク (モクレン科モクレン属)
葉の裏に白い毛が密生する。
属名はフランスの P.Magnol への献名。
Lindera glauca ヤマコウバシ (クスノキ科クロモジ属)
葉裏は灰白色。
属名はスウェーデンの Johann Linder より。
Quercus glauca アラカシ (ブナ科コナラ属)
葉裏は帯粉白色。
属名は本属植物のラテン古名に由来。
Symplocos glauca ミミズバイ (ハイノキ科ハイノキ属)
葉裏は灰白色を帯びる。
属名はギリシャ語 symplocos(結合した)より。
Picea glauca ホワイトスプルース、グラウカトウヒ (マツ科トウヒ属)
葉は青緑色。
属名は pix (ピッチ)に由来するマツの1種のラテン名を転用。
pubescens  pubescens は細軟毛ある  Betula pubescens ケカンバ、プベスケンスカンバ (カバノキ科カバノキ属)
茎に毛が多い。
属名は本属の植物のケルト語の呼び名 betu に由来。
Quercus pubescens ダウニーオーク (ブナ科コナラ属)
若い枝には毛が多い。
属名は本属植物のラテン古名に由来。
Angelica pubescens シシウド (セリ科シシウド属)
茎は太く有毛。
属名はラテン語のAngelus (天使の angelic )に基づく。天使が修道士の夢に現れて、関連植物が伝染病を治すことを明らかにしたという物語による。本属は薬効の高い植物が多いことが知られている。
Siegesbeckia pubescens メナモミ (キク科メナモミ属)
茎の上部に白い開出毛が密生する。
属名はロシアの John Georg Siegebeck に由来。
Phyllostachys pubescens モウソウチク  (イネ科マダケ属)
皮は黒紫褐色で粗毛があり、先端に開出する肩毛がある。
属名は ギリシャ語 phyllon+stachys(穂)。葉片のつく苞に包まれた果穂形から。 
tomentosa     tomentosus は密に綿細毛の    Paulownia tomentosa キリ  (ゴマノハグサ科キリ属)
葉の両面に粘り気のある毛が密生する。
属名はシーボルトが後援を受けたオランダの Anna Paulowna 女王名を記念。 
Prunus tomentosa ユスラウメ  (バラ科サクラ属)
若枝や葉裏に絨毛が密生する。
属名は plum (スモモ)に対するラテン古名。 
Rhodomyrtus tomentosa テンニンカ  (フトモモ科テンニンカ属)
 全体が軟毛で覆われている。葉裏には白い毛が密に生える。
属名は、shodon (バラ、転じて赤い)+Myrtus =赤花を開く Myrtus 属(フトモモ科ギンバイカ属)。
glabra glaber は無毛の Elaeagnus glabra ツルグミ (グミ科グミ属)
属名はギリシャ語 elaia (オリーブ)+agnos(葉が似たChaste Tree セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus )。前者に似た果実と後者に似た白っぽい葉の意。
Pasania glabra シリブカガシ (ブナ科マテバシイ属) 
属名は Java の土名に由来。
Photinia glabra カナメモチ (バラ科カナメモチ属) 
属名は photeinos(輝く)に由来。
Sarcandra glabra センリョウ (センリョウ科センリョウ属)
属名はギリシャ語 sarkos(flesh)+andros(gland)より。
Ulmus glabra セイヨウニレ (ニレ科ニレ属)
属名は本属植物のラテン名。 
Bougainvillea glabra ブーゲンビレア (オシロイバナ科イカダカズラ属)
属名はフランスの海軍提督・探検家 ブーガンヴィルLouis Antoine de Bougainville の名前に因む。
papyrifera  papyrifera は紙を持った  Broussonetia papyrifera カジノキ
  英語名:Paper Mulberry
 
(クワ科コウゾ属)
樹皮繊維が製紙用原料とされた。
属名はフランス モンペリエの植物学の教授 Pierre Maria August Broussonet に因む。 
Betula papyrifera ペイパーバーチ、パピリフェラカンバ 
  英語名:White birch , Paper birch
(カバノキ科カバノキ属)
英語名 Paper birch は樹皮が平滑で白く、紙のように大きく剥がれることから。
属名は本属の植物のケルト語の呼び名 betu に由来。
Tetrapanax papyriferus カミヤツデ  (ウコギ科カミヤツデ属)
髄が通草紙(つうそうし)として利用された。
属名はギリシャ語 tetra(four)+panakeia(panacea)で4つの雄しべがある房となる花の意。 
obtusa obtusus は鈍頭の Chamaecyparis obtusa ヒノキ (ヒノキ科ヒノキ属) 
十字対生する鱗片状の葉は鈍頭。
属名は chamai (低い)+cyparissos (イトスギ)
Sanguisorba obtusa ワレモコウ (バラ科ワレモコウ属) 
小葉は円頭。
属名は Sanguis (血)+Sorbeo (吸う)。根にタンニンが多く、赤痢などの止血に効果があるため。
rigida rigidus は堅い、硬直の Juniperus rigida ハイネズ (ヒノキ科ビャクシン属) 
葉先は尖ってかたい。
属名はラテン古名から。
Pinus rigida リギダマツ (マツ科マツ属)
種小名は球果の種鱗と鋭く尖った太めの葉より。
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。 
pungens pungens は硬くて尖った、刺針の Elaeagnus pungens ナワシログミ (グミ科グミ属)
葉は革質で縁が波打つ。葉裏は銀白色。
属名はギリシャ語 elaia (オリーブ)+agnos(葉が似たChaste Tree セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus )。前者に似た果実と後者に似た白っぽい葉の意。
Picea pungens プンゲンストウヒ (マツ科トウヒ属)
アメリカハリモミの名もある。葉は明るい灰青色。
属名は pix (ピッチ)に由来するマツの1種のラテン名を転用。
pulicata
pulicatum
  
plicatilis
pulicatus は扇畳みの、褶畳の、ひだ・折り目のある 
Thuja plicata ベイスギ、アメリカネズコ、ウェスタン・レッドシーダー   (ヒノキ科クロベ属)
十字対生する鱗片状の葉が重なる。本種に固有ではなくヒノキ科の葉で多く見られる属性。
属名はギリシャ語の thno (to sacrifice 生け贄に捧げる) 
Viburnum plicatum f. plicatum オオデマリ、テマリバナ   (スイカズラ科ガマズミ属)
葉の脈がへこんで裏に突出し、葉面が皺縮。
属名は Viburnum lantana に対する意味不明のラテン古名。 
crispa
crispus
crispum
      
crispus は縮れた、皺がある       Ardisia crispa カラタチバナ  (ヤブコウジ科カラタチバナ属)
どの部分に皺があるのか不明で、縮れ葉の品種に対する命名であったのか?
属名はギリシャ語 ardis(槍先、矢先)で雄しべ葯形が似る。 
Carduus crispus ヒレアザミ  (キク科ヒレアザミ属) 
属名はラテン古名。ラシャカキグサ等につく名の転用。
Lactuca sativa var. crispa サニーレタス  (キク科アキノノゲシ属) 
属名はチサ(L. sativa)古名。
Mentha spicata var. crispa チリメンハッカカーリースペアミンド  (シソ科ハッカ属) 
属名は地獄女王 Proserpine にハッカに変えられたギリシャ神話女神 Menthe。
Perilla frutescens var. crispa シソ  (シソ科シソ属)
属名は東部インド土名。 
Petroselinum crispa パセリ  (セリ科オランダゼリ属)
属名はギリシャ語の petros (石)に由来し、石礫地に生育することから。 
biloba bilobus は二浅裂の Ginkgo biloba イチョウ (イチョウ科イチョウ属) 
属名は日本語の銀杏の誤った音読みに由来し、Ginkjo(ギンキョウ) のミスプリントで発表されたものとされる。
serrata  serratus は鋸歯のある  Abelia serrata コツクバネウツギ  (スイカズラ属ツクバネウツギ属)
属名(前出)は中国に来た英国の医者 Dr. Clarke Abel より。 
Ilex serrata ウメモドキ (モチノキ科モチノキ属)
属名はholly(セイヨウヒイラギ)又は holly oak のラテン古名に由来。
Quercus serrata コナラ (ブナ科コナラ属)
属名は本属植物のラテン古名に由来。
Stewartia serrata ヒコサンヒメシャラ (ツバキ科ナツツバキ属)
属名は英国人 John Stewart に由来。
Zelkova serrata ケヤキ (ニレ科ケヤキ属)
属名はZ. carpinifolia に対するコーカサス名。
crenata crenatus は円鋸歯状の Ardisa crenata マンリョウ (ヤブコウジ科ヤブコウジ属)
波状の鋸歯がある。
属名はギリシャ語 Ardis (槍先、矢先)より。   
Castanea crenata クリ (ブナ科クリ属)
本種は針状の鋸歯があるから、鋸歯間の丸味のある低い凹みに視点があるのか、適用趣旨はよくわからない。属名はギリシャ語の castana (栗)からきたラテン古名に由来。
Rhamnus crenata イソノキ (クロウメモドキ科クロウメモドキ属)
浅い鋸歯がある。
属名はギリシャ語の古名(刺のある低木)より。
Fagus crenata ブナ (ブナ科ブナ属)
波状の鋸歯がある。
属名はギリシャ語の phagein (食べる)に由来。
Ilex crenata イヌツゲ (モチノキ科モチノキ属)
数個の浅い鋸歯がある。
属名はholly(セイヨウヒイラギ)又は holly oak のラテン古名に由来。
ovata ovatus は楕円形の、卵円形の Catalpa ovata キササゲ (ノウゼンカズラ科キササゲ属)
葉は広卵形。
属名は地方語名。この属のアメリカキササゲに対する北米ノースカロライナ州での地方語名。 
Carya ovata オーバータヒッコリー (クルミ科カリア属)
葉は倒卵形~披針形。(果実はやや扁平で丸い。)
属名はギリシャ語の“karya 又はkaura”(セイヨウグルミ Juglans regia)の意。 
macrophylla macrophyllus は大きい葉の、長い葉の Hydrangea macrophylla アジサイ (アジサイ科アジサイ属)
属名は hydro (水)+angeion (容器) 
Swietenia macrophylla アメリカンマホガニー、オオバマホガニー (センダン科マホガニー属) 
属名はオーストリーの女王 Marie Theresia の主治医Gerard von Swieten ( 1700~1772) より。
Podocarpus macrophyllus イヌマキ (マキ科マキ属)
属名は podos (足)+carpos (果)。種子のつけ根(花托の部分)が肥大する特徴からついた。
latifolia latifolius は広葉の Brunfelsia latifolia ニオイバンマツリ (ナス科バンマツリ属)
葉は広楕円形。
属名はドイツの本草学者 Otto Brunfels に由来。
Ilex latifolia タラヨウ (モチノキ科モチノキ属)
葉は楕円形で大きい。
属名はholly(セイヨウヒイラギ)又は holly oak のラテン古名に由来。
Kalmia latifolia カルミア・ラティフォリア 単にカルミア又はアメリカシャクナゲとも。 (ツツジ科カルミア属)
葉は長楕円形。
属名はスウェーデンの植物学者 Pehr Kalm に由来。
Ribes latifolium エゾスグリ (ユキノシタ科スグリ属)
葉身は腎円形で本属中では大型。
属名はデンマーク語に由来するといわれる。
longifolia longifolius は長葉の Actinodaphne longifolia バリバリノキ (クスノキ科カゴノキ属)
葉は被針形で先は長く尖る。
属名はギリシャ語 aktis(放射線)+ Daphne 。
parvifolia parvifolius は小型の葉の Ulmus parvifolia アキニレ  (ニレ科ニレ属)
葉はハルニレより小振り。
属名はラテン古名。本植物に対するケルト古名は elm 。
microphylla microphyllus は小さい葉の Buxus microphylla var. japonica ツゲ (ツゲ科ツゲ属) 
属名は植物のラテン目に由来。
Astilbe microphylla チダケサシ (ユキノシタ科チダケサシ属) 
属名は a (無)+stilbe (光沢)
heterophylla heterophylla は異なった葉のある Corylus heterophylla ハシバミ (カバノキ科ハシバミ属) 
属名は corys (兜)に由来する古名による。
Tsuga heterophylla アメリカツガ (マツ科ツガ属)
属名は日本名のツガに由来。 
Araucaria heterophylla コバノナンヨウスギ、ノーフォークマツ (ナンヨウスギ科ナンヨウスギ属)
属名は南米Chile の種族名 araucanos に由来。 
Euphorbia heterophylla ポインセチア (トウダグサ科トウダイグサ属) 
属名はローマ時代の医師 Euphorbus への献名。
monophylla   monophylla は一葉の。mono はギリシャ数字の「1」。
*以下同様  
Pinus monophylla  アメリカヒトツバマツ
(マツ科マツ属) 
真の一葉松ではなく、3本のうちの2本を失った形態とされる。
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。 
Artemisia monophylla ヒトツバヨモギ  (キク科ヨモギ属)
一葉蓬。ヨモギ属は葉が細かく切れ込むものが多いのに対して、本種は分裂しないことによる。
属名はギリシャ神話女神 Artemis(Diana)に因むヨモギのギリシャ古名、婦人病に効果があったことから。 
(参考)          diphylla    二葉 Jeffersonia diphylla アメリカツタソウ  (メギ科タツタソウ属)
本属には ツインリーフTwinleaf の英語名がある。葉は二つに割れている。
属名は米国大統領トーマス・ジェファーソン Thomas Jefferson の名より。 
triphylla    三葉  Adenophora triphylla var. japonica
 
     ツリガネニンジン 
(キキョウ科ツリガネニンジン属)
葉は茎に3~5枚輪生する。
属名はギリシャ語 adeno(腺)+phoreo(有する)で、植物体全体に乳液を出す腺細胞がある。 
tetraphylla  四葉  Paris tetraphylla ツクバネソウ   (ユリ科ツクバネソウ属)
葉は4個輪生する。
属名は par(同じ)に由来し、花披が左右対称又はギリシャ神話の Paris に基づく。 
pentaphylla 五葉   Pinus parviflora var. pentaphylla 
      ゴヨウマツ 
(マツ科マツ属) 
針葉は5枚が束生する。
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。  
Akebia × pentaphylla ゴヨウアケビ  (アケビ科アケビ属)
アケビとミツバアケビの自然雑種とされ、小葉は3個又は5個。
属名は日本和名アケビから。 
hexaphylla  六葉  Stauntonia hexaphylla ムベ  (アケビ科ムベ属)
掌状複葉で小葉は5~7個。
属名は英国人(中国駐在大使)G. L. Staunton から。 
heptaphylla 七葉    Cardamine heptaphylla カルダミネ・ヘプタフィラ
 
英語名に Seven-leaved toothwort あり  
(アブラナ属タネツケバナ属)
葉葉互生、奇数羽状複葉で、小葉5-7ほど。
属名はギリシャ語の kardamon (カラシナの類、クレソンなど cress )より。料理に使うショウガ科のスパイスcardamom とは無関係。
Potentilla heptaphylla ポテンチラ・ヘプタフィラ  (バラ科キジムシロ属)
葉葉互生で、掌状の葉を7個ほどつける。
属名はラテン語の potens (powerful 力強い)からで、本属植物の薬効特性の貢献による。 
Parthenocissus heptaphylla パルセノキッサス・ヘプタフィラ 
  英語名: Sevenleaf creeper
(ブドウ科ツタ属)
小葉はふつう7個で、ときに5又は6個。
属名はギリシャ語 parthens (処女)+kissos (ラテン語化して cissus ツタ)で、受粉なしで結実できることによる。 
octophylla  八葉  Schefflera octophylla フカノキ
Schefflera heptaphylla
とも)
(ウコギ科フカノキ属)
掌状複葉で小葉は7-10(5-11)個。
属名はドイツの植物学者・医者の ヤコブ・クリストフ・シェフラー Jacob Christoph Sheffler に因む。  
enneaphylla 九葉
(nonaphylla の語は該当なし)     
Caesalpinia enneaphylla 
  
中国名:九羽見血飛
 
(マメ科ジャケツイバラ属)
葉は2回羽状複葉で、小葉は8~12対。
属名はイタリアピサ植物園長 Andrea Caesalpino から。 
Oxalis enneaphylla
  英語名:scurvy grass 
(カタバミ科カタバミ属)パタゴニア、フォークランド産
小葉は約9個。
属名はギリシャ語 oxys (酸っぱい)。本属植物はシュウ酸を含み酸味の種が多い。 
Schefflera enneaphylla  (ウコギ科フカノキ属) 
属名は前出。
decaphylla  十葉  Oxalis decaphylla オキザリス・デカフィラ、十葉カタバミ(仮名) 
  英語名:Tenleaf Woodsorrel
(カタバミ科カタバミ属)
葉は8-10(5-11)裂する。
属名は前出。 
decidua decidua は脱落する(落葉する)  Larix decidua ヨーロッパカラマツ (マツ科カラマツ属) 
属名はケルト語 lar に由来するヨーロッパカラマツの古代名。
pendula pendulus は下垂した Alnus pendula ヒメヤシャブシ (カバノキ科ハンノキ属)
果穗が垂れ下がる。
属名は本属の1種の古名 Alnus に由来。 
Betura pendula シルバーバーチSilver birch 、ヨーロッパシラカンバ、ペンデュラカンバ、シダレカンバ (カバノキ科カバノキ属)
枝垂れる特徴がある。
属名は本属の植物のケルト語の呼び名 betu に由来。 
Cercidiphyllum japonicum f. pendula シダレカツラ (カツラ科カツラ属)
枝が下垂する。
属名は Cercis (ハナズオウ属)+phyllon (葉) 
cristata cristatus は鶏冠(とさか)状の Cryptomeria japonica 'Cristata'  石化スギ (スギ科スギ属)
帯化品種。 
属名は cryptos (隠された)+mens (部分)
Celosia cristata トサカケイトウ (ヒユ科ケイトウ属) 
属名は keleos (燃やした)に由来。
densiflora densiflorus は密に花がある Pinus densiflora アカマツ (マツ科マツ属) 
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。
parviflora 
parviflora は小さい花の  Pinus parviflora ゴヨウマツ 
(マツ科マツ属) 
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。
Mussaenda parviflora コンロンカ (アカネ科コンロンカ属)
黄色の小型の花をつける。
属名は本類のセイロン土名。
micranthum  micranthus は小さい花の  Acer micranthum コミネカエデ (カエデ科カエデ属) 
属名(前出)は Acer campestre(コブカエデ) のラテン名に由来。
laxiflora  laxiflora はまばらな花の  Carpinus laxiflora アカシデ   (カバノキ科クマシデ属) 
属名は car(木)+pin(頂)に由来。
uniflora  uniflora 単花の  Deutzia uniflora ウメウツギ  (ユキノシタ科ウツギ属)
花は前年枝の葉腋に1~3個つく。 
属名はオランダの J. van de Deutz への献名。あーつまらん!
grandiflora  grandiflorus は大きい花の  Campsis grandiflora ノウゼンカズラ (ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属)
属名はギリシャ語で campsis 湾曲。雄しべが弓形。
Fagus grandiflora アメリカンビーチ、カメリカブナ (ブナ科ブナ属) 
属名はギリシャ語の phagein (食べる)に由来。
Magnolia grandiflora タイサンボク  (モクレン科モクレン属) 
属名はフランスの P. Magnol への献名。 
multiflora multiflora は多花の Rosa multiflora ノイバラ (バラ科バラ属)
属名はバラのラテン名 rosa に由来。 
umbellata umbellata は傘形の Elaeagnus umbellata アキグミ (グミ科グミ属)
葉腋に白い花が数個ずつ集まって咲く。
属名はギリシャ語 elaia (オリーブ)+agnos(葉が似たChaste Tree セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus )。前者に似た果実と後者に似た白っぽい葉の意。
Lindera umbellata クロモジ (クスノキ科クロモジ属)
花は散形花序。葉は枝先に集まってつく。
属名は人名 Johann Linder に由来。
Morinda umbellata ハナガサノキ (アカネ科ヤエヤマアオキ属)
和名も花序の形を花笠にたとえたもの。
属名は morusクワ + indica インドので、多肉果をインド産のクワに譬えたもの。
Rhaphiolepis umbellata シャリンバイ (バラ科シャリンバイ属)
枝先に円錐花序を出す。枝は車輪状に出る。葉は枝先に密に互生。
属名はギリシャ語 rhaphis(針) + lepis(鱗片)に由来。
erecta erectus は直立した Ficus erecta イヌビワ (クワ科イチジク属)
8から15ミリの柄のある花嚢を上方に向けてつける。
属名はイチジクに対するラテン古名に由来。
Homo erectus erectus ホモ・エレクトス・エレクトス(ジャワ原人) 飛び入り
pisifera pisifera はPisum(えんどう) を持った Chamaecyparis pisifera サワラ (ヒノキ科ヒノキ属)
球果は球形。
属名は chamai (低い)+cyparissos (イトスギ)。
firma firmus は強固な、堅固な、強い、堅い、stable, firm, strong Abies firma モミ (マツ科モミ属)
何を指して firma なのか確認できないが、モミ属共通の属性として、成熟球果の種鱗は互いに密着してすき間がなく、他の針葉樹の球果と異なる様を本種でたまたま捉えた表現なのかも知れない。 
属名は Abies alba の古ラテン名。
Alnus firma ヤシャブシ (カバノキ科ハンノキ属)
何を指して firma なのか確認できない。
属名は本属の1種の古名 Alnus に由来。
odorata
odorum
odora
odoratus , odorus は芳香のある Daphne odora ジンチョウゲ (ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)
この花の香りは広く知られているところ。
属名はギリシャ神話女神名。転じて月桂樹のギリシャ語。葉形類似から本属に転用。
Mangifera odorata マンゴー (ウルシ科マンゴー属) 
属名は mango+ラテン語の ferre(carry,bring)で、“bringer of mango” の意。
Cedrela odorata セドロ、スパニッシュシーダー (センダン科ケドレラ属) 
属名はギリシャ語 kedros の縮小形。木材の匂いがCedrus ヒマラヤスギと似ていることから。
Cananga odorata イランイランノキ (バンレイシ科オドラタ属)
別名「香水の木」。 
属名は Cananga は南米Guiana の土語。
Allium odorum ニラ (ユリ科ネギ属)
属名はニンニクの古名 allium に由来。 
fragrans fragrans は 芳香のある Osmanthus fragrans モクセイ (モクセイ科モクセイ属) 
属名は osme (香気)+anthos (花)
Myristica fragrans ニクズク (ニクズク科ニクズク属)
香料のナツメグ、メースの原料。 
属名は myristicos (良い香りの軟膏)
glutinosa glutinosus は粘着性の Alnus glutinosa ヨーロッパハンノキ、グルチノーザハンノキ (カバノキ科ハンノキ属) 
若葉と枝は粘り着く。
属名は本属の1種の古名 Alnus に由来。
Rehmannia glutinosa ジオウ、地黄 (ゴマノハグサ科ジオウ属)
根茎を生薬として利用する地黄類の基本種。どこに粘り気があるのか未確認。 
属名はロシアの J.Rehmann への献名。
saccharum
saccharinum 
saccharum
saccharinus は砂糖の 
Acer saccharum サトウカエデ (カエデ科カエデ属) 
メープルシロップが得られる。
属名は Acer campestre(コブカエデ) のラテン名に由来。
Acer saccharinum ギンヨウカエデ  (カエデ科カエデ属)
樹液の糖濃度は低いが軽めのシロップは得られる。
属名は Acer campestre(コブカエデ)のラテン名に由来。 
edulis edulis は食用の、食べられる Debregeasia edulis ヤナギイチゴ (イラクサ科ヤナギイチゴ属)
果実は橙黄色に熟し食べられる。 
属名は人名 S. I. de Bregeas に由来。
Lithocarpus edulis マテバシイ
Pasania edulis
(ブナ科マテバシイ属)
堅果は苦味がなく食べられる。
属名はギリシャ語 lithis(石)+carpos(果実)=石の(硬い)果実。
officinalis officinalis は薬用の Asparagus officinalis アスパラガス (クサスギカズラ科クサスギカズラ属)
食用以前のアスパラガスは薬用に用いられた。
属名はギリシャ語の植物名 Asparagos による。
Rosmarinus officinalis ローズマリー、マンネンロウ (シソ科ロスマリヌス属)
芳香のある精油は薬用にも利用される。
属名はラテン古名を使用。 
Salvia officinalis 薬用サルビア、セージ (シソ科サルビア属)
薬用となる。
属名は salvare (治療する)に由来するセージ(sage)のラテン古名 salvia から。
Cinchona officinalis キナ (アカネ科キナノキ属)
キニーネの原料 
属名はペルー提督の妻Cinchon 伯爵夫人に因む。
Cornus officinalis サンシュユ (ミズキ科ミズキ属)
薬用植物として中国から渡来。 
属名はラテン語 cornu (角のように尖った堅くて骨のような突起物)より。リンネが dogwood (ミズキ属樹種)に充てた語。本属樹種の材が総じて堅いことによる。
Magnolia officinalis 厚朴(コウボク) 、カラホオ (モクレン科モクレン属)
日本薬局方の厚木(コウボク)は中国産の本種及び同変種の凹葉厚木(オウヨウコウボク)並びに日本のホオノキの樹皮と定めている。 
属名はフランスの P. Magnol への献名。
Guaiacum officinale リグナムバイタ (ハマビシ科グアイアクム属)
かつて梅毒の治療にも使用された。
属名は本植物の土名 guajak より。 
Styrax officinalis セイヨウエゴノキ (エゴノキ科エゴノキ属)
シュメール人は樹脂を香油として利用した。
属名は storax (安息香)に由来するギリシャ語の植物名から。 
regia regius は王の Victoria regia オオオニバス (スイレン科オオオニバス属) 
属名 Victorialis は勝利の
Juglans regia カシグルミ(ペルシャグルミ) (クルミ科クルミ属) 
属名は Jovis(ジュピターの)+glans(堅果)
nobilis nobilis は高貴な、著名な Laurus nobilis ゲッケイジュ (クスノキ科ゲッケイジュ属) 
属名はケルト語の laur (緑色)に由来。
montana montanus は山の Aleurites montana アブラギリ (トウダイグサ属アブラギリ属) 
属名は 小麦粉の意のギリシャ語に由来し、葉裏の外観による。
communis communis は普通の Commelina communis  ツユクサ (ツユクサ科ツユクサ属) 
属名はリンネが Commelijn 家の二人のオランダの植物学者(ヤン Jan と甥のキャスパー Caspar )を記念して、ツユクサの大きな華やいだ花弁を彼等の象徴とし、 Commelina の名を使ったもの。
Phragmites communis  ヨシ (イネ科ヨシ属) 
属名は phragma (垣根)に由来。
Juniperus communis セイヨウネズ (ヒノキ科ビャクシン属) 
属名はラテン古名。
japonica
japonicum 
japonicus は日本の  Alnus japonica ハンノキ (カバノキ科ハンノキ属)
属名は本属の1種の古名 Alnus に由来。
Aucuba japonica アオキ (ミズキ科アオキ属)
属名は日本語のアオキの方言アオキバに由来。
Callicarpa japonica ムラサキシキブ (クマツヅラ科ムラサキシキブ属)
属名は collos (美しい)+carpos (果実) 
Camellia japonica var. japonica ヤブツバキ (ツバキ科ツバキ属) 
属名はチェコの G. J. Kamell への献名。
Carpinus japonica クマシデ (カバノキ科クマシデ属) 
属名はケルト語の car (木)+pin (頂)に由来する古代ローマの樹木名から転用。
Cleyera japonica サカキ (ツバキ科サカキ属) 
属名は人名。オランダ東インド会社の医師、軍人で、ジャワと日本の植物を研究したドイツ(プロシア)人 Andreas Cleyer の名に因んだもの。
Coriaria japonica ドクウツギ (ドクウツギ科ドクウツギ属)
属名は corium (なめし革)からできたラテン語の植物名に由来。 
Cryptomeria japonica スギ (スギ科スギ属)
属名は cryptos (隠された)+mens (部分) 
Cryptotaenia japonica ミツバ (セリ科ミツバ属) 
属名は crytos (隠れた)+tainia (紐)
Dioscorea japonica ヤマノイモ (ヤマノイモ科ヤマノイモ属) 
属名はギリシャの P. Dioscorides への献名。
Eriobotrya japonica ビワ (バラ科ビワ属) 
属名は erion (羊毛、軟毛)+botrys (ぶどう)。表面が白い軟毛で被われた果実が房状に着くから。
Eurya japonica ヒサカキ (ツバキ科ヒサカキ属)
属名は日本産のヒサカキに基づいて1873年に Thunberg が命名した eurys (広い、大きい)に由来する。多分がく片や花弁が幅広であるため。 
Euscaphis japonica ゴンズイ (ミツバウツギ科ゴンズイ属)
属名は eu (良い)+scaphis (小舟) 
Fagus japonica イヌブナ (ブナ科ブナ属) 
属名はギリシャ語の phagein (食べる)に由来。
Fatsia japonica ヤツデ (ウコギ科ヤツデ属) 
属名は日本語でヤツデの八に由来。
Forsythia japonica ヤマトレンギョウ (モクセイ科レンギョウ属) 
属名は英国の W.A.Forsyth への献名。
Fraxinus jaonica トネリコ (モクセイ科トネリコ属)
属名はセイヨウトネリコの古ラテン名。 
Gleditsia japonica サイカチ (マメ科サイカチ属) 
属名はドイツのJ. G. Gleditsch への献名。
Hamamelis japonica マンサク (マンサク科マンサク属) 
属名は hama (同時)+melis (リンゴ)で、「果実と同時」の意。開花と前年に結実した果実の成熟時期が同時期となることによる。
Helwingia japonica ハナイカダ (ミズキ科ハナイカダ属)
属名はドイツの G. A. Helwing への献名。 
Kadsura japonica サネカズラ (マツブサ科サネカズラ属) 
属名は日本語でつる植物を意味するカズラ(蔓)に由来。
Kerria japonica ヤマブキ (バラ科ヤマブキ属) 
属名は英国の J. B. Ker への献名。
Lonicera japonica スイカズラ (スイカズラ科スイカズラ属)
属名はドイツの A. Lonitzer への献名。 
Mahonia japonica ヒイラギナンテン (メギ科ヒイラギナンテン属)
種小名にも係わらず中国等原産。 
属名は米国の園芸家で The American Gardener 's Calendar (1807) の著者である バーナード・マクマホン Bernard M 'Mahon (1775-1816) に因む。
Orixa japonica コクサギ (ミカン科コクサギ属)
属名は日本名のコクサギをヲリサギと誤ったもの。 
Ostrya japonica アサダ (カバノキ科アサダ属) 
属名は osteo (骨)に由来。
Pieris japonica アセビ (ツツジ科アセビ属) 
属名はギリシャ神話の女神 Pieris に由来。
Pseudotsuga japonica トガサワラ (マツ科トガサワラ属)
属名は pseudo (偽の)+Tsuga (ツガ属) 
Rhamnus japonica クロウメモドキ (クロウメモドキ科クロウメモドキ属) 
属名はギリシャ古語 thamonos (とげのある低木)のこと。ケルト語では rham は灌木を表す。
Sophora japonica エンジュ (マメ科クララ属)
種小名にも係わらず中国原産。 
属名はアラビア語より。
Sorbus japonica ウラジロノキ (バラ科ウラジロノキ属)
属名はラテン古名に由来。 
Spiraea japonica シモツケ (バラ科シモツケ属)
シモツケの名は下野から。
属名は speira (らせん、輪)に由来。 
Tilia japonica シナノキ (シナノキ科シナノキ属)
シナはchina ではない。 
属名はボダイジュの古ラテン名 tilia を使用。
Acer japonicum ハウチワカエデ  (カエデ科カエデ属)
属名は Acer campestre(コブカエデ) のラテン名で、裂けるという意味があり、切れ込む葉形に基づく。 
nipponicum    nipponicus は日本本州の    Acer nipponicum テツカエデ  (カエデ科カエデ属)
本州、四国、九州に分布。
属名は Acer campestre(コブカエデ) のラテン名で、裂けるという意味があり、切れ込む葉形に基づく。  
Rhododendron nipponicum オオバツツジ  (ツツジ科ツツジ属)
本州に分布。
属名はギリシャ語 rhodon(バラ)+dendron(樹木)で紅花をつける木の意。 
Chrysanthemum nipponicum ハマギク  (キク科キク属)
本州に分布
属名はギリシャ語 chrysos 金の+spleen 脾臓。花色と属中に薬効のある種があるためか。 
yedoensis  yedoensis は江戸の  Prunus yedoensis × cv. Yedoensis ソメイヨシノ  (バラ科サクラ属)
属名は plum(スモモ)に対するラテン古名。 
jezoensis jezoensis  は蝦夷(北海道)の Picea jezoensis エゾマツ (マツ科トウヒ属)
北海道、サハリン、東シベリア、中国東北部等に分布。 
属名は pix (ピッチ)に由来するマツの1種のラテン名を転用。
sinensis sinensis は中国の Camellia sinensis チャ (ツバキ科ツバキ属) 
中国西南部、ベトナムからインド周辺原産。
属名(前出)はチェコの G. J. Kamell への献名。
Celtis sinensis エノキ (ニレ科エノキ属) 
日本(北海道以外)、中国中部に分布。
属名は植物の古代ラテン名に由来。
chinensis chinensis は中国の Juniperus chinensis イブキ (ヒノキ科ビャクシン属)
岩手県以南、中国、朝鮮半島に分布。
属名(前出)はラテン古名。 
Rhus chinensis ヌルデ (ウルシ科ウルシ属) 
日本、中国、朝鮮半島、台湾、インド等に分布。
属名はギリシャの古名 rhous をラテン語化したもの。
sinicus sinicus は中国の Astragalus sinicus レンゲソウ (マメ科ゲンゲ属)
中国原産。 
属名は本属の植物のギリシャ名から。
mandshurica mandshurica は満州の
(現在の中国の北東部)
Fraxinus mandshurica ヤチダモ (モクセイ科トネリコ属)
北海道、本州(長野県以北)、中国東北部、朝鮮半島、サハリン、沿海州に分布。
属名(前出)はセイヨウトネリコの古ラテン名。
Juglans mandshurica マンシュウグルミ (クルミ科クルミ属) 
中国東北部、朝鮮北部等に分布。
属名は Jovis(ジュピターの)+glans(堅果)
davurica
dahurica
dauricum
davuricus はシベリア南部のダウリアDauria 地方の意 Betula davurica ヤエガワカンバ (カバノキ科カバノキ属)
北海道、本州、ウスリー、アムール、中国東北部、朝鮮半島に分布。
属名は本属の植物のケルト語の呼び名 betu に由来。
Rhododendron dauricum エゾムラサキツツジ (ツツジ科ツツジ属) 
北海道、東シベリア、中国東北部、朝鮮半島北部、モンゴルに分布。
属名は rhodon (バラ)+dendron (樹木)
Larix davurica ダフリカカラマツ
Larix dahurica
(マツ科カラマツ属)
Larix gmelinii 
東シベリア、モンゴル東北部、中国東北部、朝鮮半島北部に分布。
属名はケルト語 lar に由来するヨーロッパカラマツの古代名。
orientalis orientalis は東洋の Thuja orientalis コノテガシワ  (ヒノキ科ネズコ属)
中国原産。
属名はギリシャの樹木名 thya に由来。 
Platanus orientalis スズカケノキ (スズカケノキ科スズカケノキ属)
バルカン半島からヒマラヤ原産。
属名は植物の義理社名に由来。 
occidentalis occidentaris は西洋の Thuja occidentalis ニオイヒバ (ヒノキ科ネズコ属) 
北アメリカ原産。
属名はギリシャの樹木名 thya に由来。 
Platanus occidentalis アメリカスズカケノキ (スズカケノキ科スズカケノキ属) 
北アメリカ東部原産。
属名は植物のギリシャ名に由来。 
grandis grandis は大なる Abies grandis グランドモミ (マツ科モミ属)
属名は Abies alba の古ラテン名。
Citrus grandis ブンタン (ミカン科ミカン属) 
属名は Kitrom (箱)に由来。
Tectona grandis チーク (クマツヅラ科チーク属) 
属名 Tectona はインドマラバル地方の土語 tekka より。
Torreya grandis シナガヤ (イチイ科カヤ属)
属名は米国の J. Torrey への献名。 
gloriosa   gloriosus は立派な、見事な   Yucca gloriosa アツバキミガヨラン  (ユリ科ユッカ属)
キミガヨランよりも大型。
属名は西インド諸島Haiti の土語より。 
Pedicularis gloriosa ハンカイシオガマ
樊噲塩竃 
(ゴマノハグサ科シオガマギク属)
和名は全体が壮大なのを中国の豪傑の樊噲にたとえたもの。
属名はpediculus (シラミ )に由来。昔欧州で本属の1種を食べる家畜にシラミが取り付くとの俗説あった。
giganteum  giganteus は巨大な  Sequoiadendron giganteum セコイアオスギ、セコイアデンドロン  (スギ科セコイアデンドロン属) 
属名は Sequoia(先住民の人名)+dendron(樹木)より。
pumila     pumilus は低い、小さい     Malus pumila セイヨウリンゴ  (バラ科リンゴ属)
属名はギリシャ語 malon (リンゴ)より。 
Pinus pumila ハイマツ  (マツ科マツ属)
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。  
Ficus pumila オオイタビ  (クワ科イチジク属)
常緑つる性木本
属名はイチジクのギリシャ名 sycon に由来する古ラテン名から。 
Betula pumila ボグバーチ Bog birch   (カバノキ科カバノキ属)
低木で3メートル以下。
属名は本属の植物のケルト語の呼び名 betu に由来。 
sylvestris sylvestris は森林に生ずる Elaeocarpus sylvestris var. ellipticus  ホルトノキ (ホルトノキ科ホルトノキ属) 
属名は elaios (オリーブ)+carps (果実)
Pinus sylvestris  ヨーロッパアカマツ (マツ科マツ属)
属名はケルト語の pin (山)に由来するラテン名から。 
Rhus sylvestris  ヤマハゼ (ウルシ科ウルシ属) 
属名はギリシャの古名 rhous をラテン語化したもの。
Malus sylvestris マルス・シルウェストリス (バラ科リンゴ属)
栽培リンゴの成立過程で、もとになったマルス・プミラ Malus pumila に対してマルス・シエウェルシイ Malus sieversii とともに関与したと考えられている。(植物の世界)
属名は melon (リンゴ)に由来。 
silvatica silvaticus = sylvaticus は森の Fagus silvatica ヨーロピアンビーチ、ヨーロッパブナ (ブナ科ブナ属) 
属名はギリシャ語の phagein (食べる)に由来。
 注:一部に草本類を含む。語尾の変化はカバーしていない。
参考資料: 生物学名辞典:平嶋義宏(東京大学出版会)
生物学名命名法辞典:平嶋義宏(平凡社)
学名の話:平嶋義宏(九州大学出版社)
  植物学ラテン語辞典(ぎょうせい) 
有用植物の学名:角倉 一(廣川書店)
  植物の学名を読み解く:田中 學(朝日新聞社) 
  新牧野日本植物図鑑(株式会社北隆館) ほか  
(注) イチョウの属名 Ginkgo の補足
 Ginkgo
というのは、1700年頃オランダ商館付け医官として日本に来ていたドイツ人のケンペルが、その著「廻国奇観」の中で、銀杏の漢音ギンキョウをGinkjo と書くべきところが j を g に誤植されていたものを、命名者のリンネがそのまま記載してしまったという冗談のような話が定説となっている。ところが、次のような情報も目にする

 後にケンペルの手書が発見され、書き違いではなかったことが判明した。(出典不明) 
 ケンペルの出身地である北ドイツのレムゴー(Lemgo)では、g は j あるいは i と発音するから、必ずしも間違いではない。(前川ほか) 
 ケンペルは「廻国奇観」をまとめるに際して「訓蒙図彙」などを資料としたとされ、当時ケンペル付きとして働いていた今村源右衛門がこれらを読んで聞かせたが、彼の発音に長崎方言があり、これを厳密に反映した表記としたものと考えられる。(長田敏行ほか)  
 
 なお、イチョウの種小名の biloba は「2浅裂の」の意で、リンネが標本としたものがたまたまイチョウの若い苗の葉であったため、その形態が反映したものとされる。