樹の散歩道 名前と分布・原産国の怪
植物の和名でしばしば地域の名称が頭に付いたものがあり,図鑑類で名前の由来が,その地域で発見されたことによる等の説明を目にする。しかし,地域名が付いていてもその地域固有のものではないことの方が多く,この点は本当に迷惑な話である。要はある分類学者がその地域で採取したものが他のものと違うことに着目したという沿革を示しているだけで,分布の実態とは無関係に特定の地名を取り込んだ命名をしていることに問題がある。学名でも同じようなことが見受けられる。等々に関する樹木名のメモである。 |
国内の地域名
唐(カラ)
唐(トウ)
支那(シナ)
南京(ナンキン)
朝鮮(チョウセン)
その他,「セイヨウ」,「アメリカ」の語が付く外来種は数多く,また次のような例もある。 ・イタリアポプラ:イタリアで早期の木材生産を目的に品種改良された多くの品種で,かつて我が国でも導入を試みたが,成績は良くなかったという。 ・ドイツトウヒ:明治中期以降に北海道へ林業用,鉄道防雪林用として導入された経過がある。現在ではヨーロッパトウヒ,又はオウシュウトウヒの名の方が使用される。 ・ホルトノキ:ホルトノキとは〈ポルトガルの木〉で本来はオリーブを意味したものであるが,平賀源内がまちがえて本種にこの名を与えたとの説があって真偽はわからないがおもしろい。 学名までが・・・ 公園樹としてもおなじみのこれらの学名を見ると
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