樹の散歩道
蠢く雄しべと雌しべ
主人公が雌しべだけであれば「蠱惑の雌しべ」としたかったところであるが、雄しべもいることから「蠢(うごめ)く」とした。 さて、「震動傾性」という言葉がある。日本語の宿命で、ある属性、現象を表現するためには漢字3ないし4文字くらいで格調高く表現することが求められ、しかもそれは音読みとなるから、音だけ聞いたら何のことやらさっぱりわからないという現象が生じる。 |
生物学辞典によれば以下のとおりである。 【震動傾性(seismonasty)】:植物体を震動することが刺激となっておこる傾性運動。ごく軽い接触、液体や気体による局部的な圧迫、急激な温度変化なども刺激となる。この性質を持つ植物を感覚植物(sensitive plant)という。傾震性、振動傾性、震動傾性運動 とも。 NHKが持てる機材を活用すれば、簡単に映像に納めることができるであろうが、ちょっと前のコンパクトデジカメの能力では使用前、使用後をアップで撮影するのも容易ではない。 |
トレニア 雌しべの先端の柱頭が、口のように上下に割れて開いている形態で、これに触ると閉じてしまう。この反応は、昆虫が持ってきた花粉をしっかりしまい込んで、乾燥を防ぎつつ受精を確実なものとしているとのことである。さらに、別の言い方もあり、ハチが花に入り込む時に柱頭で花粉を受けても、出て行く時には自分の花粉がつかない仕組みである(田中肇)ともいう。 ムラサキサギゴケでも同様の反応が見られるという。また、ゴマノハグサ、ノウゼンカズラ科、タヌキモ科にも見られる(植物観察事典)という。 柱頭運動と呼ばれる一種の震動傾性運動とされている。 |
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ヒイラギナンテン 雄しべに触ると、雌しべのある中心方向へ雄しべ全体がなびくように曲がる。このことで、昆虫が持ってきた花粉をもらい、あるいは昆虫に花粉を付けることに効果を発揮しているとされる。 同様の現象はメギ、ヤグルマギク、アザミ類、マツバボタン、ミゾホオズキ類、ウリクサ類、サギゴケ類でもみられる(生物学辞典)という。 |
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ヒイラギナンテン その2 今度は慎重に補助具を使い、1個の雄しべの基部だけに触ってみたところ、 触った雄しべだけが素早く中心方向に動いて雌しべに密着した。反応性がなかなかよろしいことに改めて感心した。 |
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ポーチュラカ (ハナスベリヒユ) ポーチュラカの雄しべもヒイラギナンテンのような動きが見れれるというが、触るとザワザワ動くものの、機嫌が悪いのか方向性をもった動きは見られなかった。 模範的なポーチュラカの雄しべは、圧力を受けた方に曲がるとされる。 |
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