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サネカズラの雄花
中心部は雄しべの集まりとされる。 |
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サネカズラの雌花
中心部は雌しべの集まりとされる。 |
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サネカズラの果実1
艶のある鮮やかな色合いが食欲をそそる。 |
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念のために図鑑で確認すると、食べられるとしている記述は全く見当たらない。また、有毒であるとする記述も見当たらない。
これから想像できるのは、毒ではないが、積極的に食べるような代物ではないということかもしれない。しかし、ネット検索しても、これがどんな味であったかとするレポートが全く見つからない。山野でこんなにおいしそうに見える果実に出会ったら、太古から現在に至るまで、多くの人が口に入れたはずである。
こうした事情であれば、迷うことはない。さっさと自分の口に入れてみればよいのである。できることなら身内で立候補してくれる者がいれば喜んで順番を譲るところであったが・・・ |
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鮮やかな色合いのサネカズラの果実
白い皿に盛れば豪華なデザートといった風情である。(長い果柄は邪魔なので短く切ってある。) |
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液果を取り去ると、花床がまるでヤマボウシの果実のように見える。 |
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果実の断面と種子
中心部の花床の内部は真っ白である。 |
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液果の食感: |
白い種子が1~3個入っていて、わずかに酸味があり、ジューシーであるが、残念ながら甘味が全くない。 |
花床の食感: |
見た印象のとおり、ちょっと硬めでしゃきしゃき感があるが、これも甘味がない。スライスしてドレッシングをかければいけるかもしれないが、わざわざ試す気は失せてしまった。ジャムにしてはどうだろうかという提案があったが、聞き置くに留めた。 |
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食糧事情が決していいとは言えなかったかつての我が日本国。いつもひもじい思いをしていた腕白坊主たちの多くが一度はサネカズラの実を口に含み、ペッと吐き出す風景があちこちで見られたに違いない。 |
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1 |
サネカズラについて
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(サネカズラのあらまし)
マツブサ科サネカズラ属の常緑つる性木本(Kadsura japonica)。雌雄異株又は同株。果実の中心の球体は花床で、回りにびっしりと液果を付けている構造である。一般に、日本、台湾、朝鮮、中国に分布するとされるが、中国には分布していないとする見解もある。
A: |
分布:本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄、済州島、中国、台湾【山渓
樹に咲く花】 |
B: |
分布:関東地方以西から南西諸島までと、朝鮮半島南部の暖帯林に生育する。【朝日百科植物の世界】 |
C: |
福建と台湾に産し、朝鮮、日本ほかにも分布する。【中国植物誌】
注:中国名は、奇妙なことに日本南五味子である。 |
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(サネカズラの名前の由来)
「サネ」について「実」のこととする説明があるほか、ややこしい講釈もあって、興味がわかないため転記はしない。
別名のビナンカズラの名は、広く知られているように、その枝皮の煮汁の粘物質(キシログルクロニド xyloglucuronide )を整髪用に使用したことによると言われている。以下に少し詳しい説明例を紹介する。
「茎の粘液を滲出して絹の糊づけとし光沢を出させる、また製紙にも用う、整髪用には茎を適当の長さに切り、鍋で煮ると粘汁を得るからこれを保存して使う、この太い茎を削って使ってもよい、中国ではこの材を削るのでそれを鉋花という、ビナンカズラの名は調髪用より、トロロカズラは粘液より来た名称である。【樹木大図説】
ところで、なぜ美男なのか。肝心な美女はどうしたのであろうか。そのほうが気になる。詳細は明かではないが、「主として男性用に使っていた。【平凡社世界大百科事典】」とする記述を見るだけであった。
なお、属名の Kadsura は日本語の「カズラ」に由来し、種小名の japonica は日本に産することを意味する。 |
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つる性であるが、こうして植木鉢で仕立てることができる。 |
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サネカズラの種子
種子は淡褐色から茶褐色の腎臓形で、硬くて艶がある。ふつう2,3個入っている。 |
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サネカズラの樹皮の様子
樹皮を剥ぐと、ノリウツギと同じようにぬめりがある。こんなものまでよく利用したものである。 |
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サネカズラの乾燥果実 果実を乾燥してみた。チョウセンゴミシの代用品として強壮効果があるとされる。効果は未確認で、老後のために保管している。。 |
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(サネカズラの薬効)
サネカズラの果実は、生薬として有名なチョウセンゴミシ(朝鮮五味子Schisandra chinensis 、中国名、生薬名のいずれも「五味子(日本薬局方)」)の果実の代用として、漢方で滋養・強壮、鎮咳剤として用いられてきたという。
さて、サネカズラの生薬名は、国内では「南五味子」と一般に呼んでおり、その他単に「五味子」と呼んでいるケースも見られる。一方、チョウセンゴミシの生薬名「五味子」の別名を「北五味子」とも言うとしている。ところが、漢名の本家中国の図鑑では「南五味子」は全く別の種を指している模様である。中国での呼称と日本国内での呼称が例によってズレがあるようで、少々ややこしいため、以下に中国の図鑑掲載種を紹介する。 |
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2 |
五味子いろいろ
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日本にはマツブサ科は3種しか存在しないが、中国の図鑑を見ると、○○五味子がぞろぞろ登場する。以下は「中国樹木誌:中国林業出版社」掲載種をベースとし、薬用に係る記述があったものはその旨を付記した。青文字部分は参考となることを追加的に付記した内容である。赤文字は中国植物誌による。 |
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