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木の散歩道
 
  トウガラシ飾りは美しい!
             


 飛騨高山の白川郷に立ち寄った際に、数ある合掌造りの民家の一つの前に目にも鮮やかな赤い物がぶら下がっていた。愛しのトウガラシであった。穂付きの稲わらに編み込んだトウガラシが実にきれいに整列していた。わらの取扱いに熟練しているとこんなにもきれいに仕上がるものかとしばし感心して見とれてしまった。そのうちにムラムラとした欲求が頭をもたげてきた。よし!自分で作ってみよう!【2008.1】   


         トウガラシ飾り 1
 見事な仕上がりである。ピッチリと締まっていて、掛ける部分もきれいに撚られている。見本とするにふさわしい。さて、この製品には決まった名前が見当たらない。魔除けとか、唐辛子すだれ縄ない唐辛子わらないトウガラシ)とした名を見かける。別に中国雑貨で魔除け唐辛子の名のガラス製のぶらぶらした飾りも販売されている。
       トウガラシ飾り 2
 別の合掌造りの前で見かけた製品。こちらは赤米の穂のついた稲わらで編み込んだバージョンで、おまけとして縁起物の「さるぼぼ」がしがみついている。
 目にするものはすべて達人の技によるものである。


           トウガラシ飾り 3
 都内の日本橋・にいがた館NICOプラザでの装飾展示品。このくらいのレベルのものは自分でもできそうで、励みになる。
       トウガラシ飾り 4
 道端の物産館で見かけた製品。堅実な出来である。
ふるさとふれあい特産館
 岡山県真庭市蒜山下長田2050-1


 要は、仕上がり時に全体にねじれが生じないように、左右の2本ペアのわらをそれぞれ逆回転させながらトウガラシを挟み込んでいるということである。

 これが確認できれば早速トウガラシとわらの調達である。トウガラシは韓国産のヘタなしの乾燥トウガラシと、中国産のヘタ付き乾燥鷹の爪を確保。次にわらであるが、これが身近には全くない。そこでとりあえず代用品として麻ひもとラフィアを確保した。

  
麻ひも版


麻紐のトウガラシ飾り


 麻ひもをよく見ると、3本撚り(3本のストランド)となっていて、さらにそれぞれのストランドが2本撚りとなっていた。そこで、2本撚りの1本目を確保して、もう1本を湯につけてくせを戻した上で逆回転の撚りを加えて2本目を確保した。要はS撚りとZ撚りの2種類を確保したわけである。この2本の麻ひもにトウガラシを差し込んだのが下の写真(部分)である。実は2本の撚りの強さに少々違いがあって、下の方がよじれてしまっている。麻ひもは素線を撚らないとまとまらないためそのままでは使いにくいし・・・ 限界を感じた試作品である。  
ラフィア版   


 麻と違ってこちらは軟らかいから扱いやすい。しかし、ひものように撚ってしまったら麻の二の舞である。そこで自然のまま(撚りなし)でトウガラシを1本1本編み込むことにしたが、ラフィアは軟らかく、ふにゃふにゃしていて締めるのが難しい。そこで、ラフィアの端に適度なオモリをつけた作業を続行したが、これでもあまりうまくいかない。どうしてもゆるふん状態となってしまう。ストレスがたまる一方である。とても白川郷の製品に及ばない。
 写真の右側のへたのついたトウガラシは鷹の爪である。  
           ラフィアのトウガラシ飾
 やはり、稲わらの適度な堅さ、ピタッと平になる中空構造に由来する特性、さらにはこれを使いこなす技術があってはじめて平面をなし、隙間なく整列した美しいトウガラシ飾りができるのであろう。そんな思いでいたところ、偶然にも穂付きの稲わらが手に入ったのである!!

稲わら版


 わらはそのままではパリパリであるから、余分な葉を落として水につけ少ししごいてから作業開始である。オモリなしでもできるが、わらの前処理がイマイチなのか、見本写真のようにはいかない。まあ、素人のお遊びとしてはこの辺で一段落とすることにした。なお、写真の左は細いリボンで編み込んだもので、こちらは適度なオモリをつけないと扱いにくい。ちなみに、このトウガラシは中国産である。

 試作品をすべて部屋の白いドアに吊したところ、トウガラシだらけになってしまった。白のバックにトウガラシの赤がまぶしいくらいに美しい。魔除けによく使われるともいうが、そんなことより金運の方に関心があるのだが・・・
  稲藁のトウガラシ飾り