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樹の散歩道
 葉のかたちの不思議
  針葉樹の芽生えは何を語るのか、そして先祖返りとは


 スギやヒノキの芽生えの姿は成木の葉のイメージと随分違うことに驚かされる。特にヒノキでは誰が見ても全く別物としか思えないはずである。ヒノキの芽生えを見ると、裸子植物より進化したとされる双子葉植物の芽生えで見る双葉を思わせるような、薄い2枚の葉を広げてすましているのである。この姿は本当に他の雑草とそっくりである。また、スギはヒノキとそっくりな葉を3枚出している。こうした事象をどのように理解すればよいのであろうか。
【2010.10】


芽生えの様子
(1) スギの芽生え(ヒノキ科スギ属 かつてはスギ科とされていた。)
@種皮を頭に載せて発芽する。 A子葉は3枚が普通である。 Bしばしば4枚のものが見られる。幸運をもたらすかも。 C続いて、また3枚の葉が出てきた。4枚のものは律儀にまた4枚出す
D上下に重ならないように角度を変えて、三輪生に近い形態で葉を螺旋状に出す。
A→B→Cの順。
E子葉以後の葉の上面には2条の気孔線が認められる。成葉では鎌状針形の葉の4面に気孔線が見られるのとは、随分雰囲気が異なる。 F先端部のアップで、初回の分岐が見られる。この段階でも、葉は依然として成葉とは異なり、ぺらぺらで薄いく、スギ葉の印象はない。 Gまだ成葉より細長いが、既にこの段階の葉では4面の気孔線が確認できる。
(2)ヒノキの芽生え(ヒノキ科ヒノキ属)
@この段階ではスギとそっくりである。 Aヒノキの子葉は2枚で、双子葉植物と変わりなく、雑草と間違えそうである。 B次は子葉と直角に2枚の小さな葉を出す。
Cその後の葉はスギのように規則性が見られる。(後述)
D直交する2枚の葉の後は十字対生の葉を上下に重ならないように繰り返し出す。これらの葉裏には2条の白い気孔線が見られ、成葉とは全く異なっている。 E十字対生の葉を3回出した後にはじめて分岐した。分岐以降の葉は、それまでとは形態が異なっている。 F先端部のアップで、既に4回分岐し、それぞれがさらに分岐している。葉はサワラ型の十字対生の形態に変化している。葉裏の白い気孔帯もサワラと同様で、依然ヒノキの成葉とは異なっている。 Gますますサワラと同じ印象の葉となっている。全体が成木の枝の葉のように単一の裏表を持ったままである。当年はヒノキらしく葉先を丸い形態にするつもりはないようである。
(3)アカマツの芽生え(マツ科マツ属)
@屋外のテーブルの隙間から発芽したど根性アカマツ。 A初期葉は6〜8枚であった。 B中心部から追ってざわざわと葉が出てくる。 Cアカマツらしい葉の感触になってきた。
(4)クロマツの芽生え(マツ科マツ属)
@アカマツのイメージと変わりないが、美しい造形である。 Aやはり6〜8枚である。 Bもじゃもじゃ状態となってきた。 Cこちらもクロマツらしい硬めの葉となってきた。
(5)トガサワラの芽生え(マツ科トガサワラ属)
@種皮がなかったらマツと区別しにくい。 Aマツの葉よりピンとしている。6〜7枚の子葉が見られた。基本形は7枚であった。 B葉の色はマツや次のがグラスファーよりも濃い。上面の白い線は気孔線であろう。
C子葉以後の葉は、螺旋状に付いている。
(6)ダグラス・ファーの芽生え(マツ科トガサワラ属)
@トガサワラとは同属で、イメージはそっくりである。 
A子葉は6〜8枚あるのを確認した。
Bマツ科は成葉の形に関わらず、皆こんなイメージなのかもしれない。 Cもじゃもじゃ状態である。
 上記で観察した結果を再整理すると以下のとおりである。
スギ  子葉の基本型は3葉で、しばしばへそ曲がりの4葉のタイプが見られる。
 次に角度を変えてほとんど三輪生(子葉が4葉の場合は十字対生)に近い形態で葉を出し、次第に葉を出す位置が螺旋状となってくる。子葉以後の葉の上面には2条の白い気孔線が認められた。次第に肉厚の葉を出し、4条の気孔帯が確認できるようになる。
ヒノキ  子葉はすべて2葉のタイプであった。ヒノキで3葉のものがあったら大発見であろう。
 その後直交して小振りの葉を2枚、次に角度を変えて十字対生の葉を2〜3回出す。この葉の下面には2条の白い気孔線が見られる。以降、分岐を繰り返して、サワラのような先のとがった短い葉を出す。葉の着生形態はサワラ状の十字対生で、葉裏の白い気孔帯の形状もサワラと同様である。
アカマツ  子葉は6、7,8葉のタイプが見られ、アバウトな感じである。続いてもしゃもしゃと同様の細い葉を出す。
クロマツ  アカマツと同様に子葉は6、7、8葉のタイプが見られた。あとはアカマツと同様である。
トガサワラ  成葉はモミやツガのように葉を左右に振り分けているが、子葉はマツのように輪生する。子葉は7葉が基本形で、しばしば6葉のものが見られた。マツに似ているが、わずかに短くて幅が広く、緑色が濃い。上方から見ると白い気孔線が認められた。
(参考)ハイネズの成葉では上面に気孔線があり、ヒムロの成葉では下面に気孔線がある。
ダグラスファー トガサワラと同属で、よく似ている。子葉は6、7、8葉のタイプが見られた。
 マツの初期葉は面白味に欠けるが、スギやヒノキでは成葉とは全く異なる葉が子葉のあとにも続き、これらは枚数こそ違うが、形はよく似ていて、ひょっとしてこれらのご先祖様が近いのではという印象がある。DNAによる系統分類ではスギはヒノキ科に区分するのがふさわしいとされるのだが・・・ 初期葉から進化の系譜の一面を説明できれば非常に興味深く、今後の楽しい成果、情報を期待したいものである。
先祖返りと呼ばれる葉
 ヒノキ科の庭木を強く刈り込んだ場合に、全く異なる形態の葉をよく出すことが知られている。カイズカイブキはよく知られたその例である。この場合は、一般に「先祖返り」と呼んでいて、あたかも進化の過程のごく初期の、原始の形態が現れたかのような呼称である。
 この名称は庭木を扱う者であれば誰でも知っていて、慣用語のような印象もあるが、実は岩波の生物学辞典にも掲載されている。しかし、カイヅカイブキのご先祖様とは一体何者なのかについては説明は聞かないし、その発現のメカニズムに関してはよくわかっていないようである。
 先祖返り せんぞがえり atavism,reversion :ある個体に,親はもっていないがそれ以前の祖先がもっていた形質が現れることを先祖返りという。【世界大百科事典】
 先祖返り atavism , reversion [同]帰先遺伝。現在は一般に見られない、先祖の形質が、おる個体において偶然のように出現する現象、もしくはそのような形質を持つ個体。ヒトに尾が生じたり、多毛となったり、またウマの肢に過剰の趾骨を生じるのはその例。先祖返りは、形質の分離・遺伝子の組換え・不完全表現・突然変異(復帰突然変異)などによって説明される。 【岩波生物学辞典第4版】
(事例)
    カイヅカイブキ 1
 2型の葉が混在したカイヅカイブキ。 先祖返りの事例として挙げられる筆頭である。

     カイヅカイブキ 2
 先端部のみ鱗状葉となっているものも部分的に見られた。
     チョウセンマキ 1
 チョウセンマキのふつうの葉。イヌガヤの品種とされている。
  チョウセンマキ 2
 これもチョウセンマキの同じ樹の一部であるが、イヌガヤに戻っている。これも先祖返りとして一般に認知されている。
       モチノキ
 モチノキの植栽木であるが、部分的に葉に鋸歯が見られた。特に幼木でよく見られるという。これを先祖返りと呼ぶかは不明。
      ヤマモモ 1
 ヤマモモの植栽木であるが、部分的に葉に鋸歯が見られた。これを先祖返りと呼ぶかは不明。幼木ではすべて鋸歯があるのを確認した。 
     
   
     ヤマモモ 2
 ヤマモモの芽生えは全く別物に見える。あなたのご先祖様は一体誰なんだいと聞きたくなる。
     ヤマモモ 3
 
このまま、スイカにでもなってしまいそうである。
     ヤマモモ 4
 ヤマモモの幼木の葉で、鋸歯の切れ込みは浅くなっているが、まだ全く別物である。 
 このほか、サワラの変種であるヒムロの葉はサワラのような鱗状ではなく、針状であるが、時に先祖返りで鱗葉を混ずる【樹木大図説】という。残念ながら、2型の葉が混生するのは見たことがない。カイズカイブキとは逆のパターンである。

 なお、「先祖返り」の語は、例えば葉変わりの園芸品種で、しばしば普通の葉が生じた場合にも使用されている。また、竹の場合でも、亀甲竹は孟宗竹の変種とされていて、時に孟宗竹に先祖返りする【京都府立植物園】と言っている。
(興味深い見解等)
 植物の形態やDNAと進化に関して、次のような見解を目にした。
 サカキヤマモモの芽生えにつく葉は明らかに鋸歯があるが、すぐに鋸歯のない全縁の葉に替わる。同様にヒノキコノテガシワの芽生えの1、2年生の苗は針状葉だが、その後から出てくる葉は鱗片状にかわる。これは、サカキやヤマモモが鋸歯をもった樹から進化したためで、ヒノキやコノテガシワは、スギ型のような針葉をもった樹から進化したものと考えられている。【えれきてる(生原 喜久雄)】
(メモ):ヒムロはふつうは針葉で、先祖返りで鱗状葉を出すが、この場合はどのように理解すればいいのであろうか?
 進化を考えるとき、祖先となる系統の形を、現存の系統の形と同じだと想像しがちですがそうではありません。裸子植物と被子植物は共通の祖先をもっていますがその形ははっきりしません。【今関 英雅】
 裸子植物はシダ植物から進化してきたと考えられている。生殖器官の形態から見ると裸子植物はシダ植物と被子植物との中間の進化段階にある植物で、現生のものはわずかな生き残りといえる。【朝日百科植物の世界】
 分子系統の研究結果では、少なくとも現生の裸子植物が単系統ではなく多系統であるということを示すものはない。葉緑体DNAによる分子系統の研究結果では、現生の裸子植物相互の関係では単系統であることが支持されている。【朝日百科植物の世界】
 被子植物の祖先である裸子植物は今も不明です。【西田 治文】
 動物では胚の成長過程で進化の形態的な変化を短期間に再現するというドラマチックな事実が知られていて、これと類する事象が植物でいろいろと認知されたら興味深い。今後の研究成果が楽しみである。
<参考1>
ヒノキ科で複数の形態の葉が見られる種名がややこしいので、類似種を含めて以下にポイントを整理した。
ビャクシン属 】
 葉は鱗片状または針状。【樹に咲く花】
 鱗片葉と針葉の2種類の葉がつくものをネズミサシ属として分ける考えもある。【樹に咲く花】
イブキ(別名ビャクシン、イブキビャクシン) ヒノキ科ビャクシン属 伊吹
Juniperus chinensis 
 枝を刈り込んだあとなどから、3輪生した針葉がでることもある。【樹に咲く花】
 枝を切り込むとしばしば針葉をつける枝が出る。【保育社原色日本植物図鑑】
 葉は2型あり、生長したものは鱗葉だが幼時又は大木の下枝、萌芽枝のものは針葉である。同一株に2葉を生ずるので花戸では「七化」という。針葉が多く、鱗葉に白斑の入るのを三化ひばという。2型の葉があるのは植物学上では先祖返りの現象という。針葉の方を杉葉型、鱗葉の方を檜葉型という。【樹木大図説】
 葉に二型あり、一は小鱗片状にして交互対生し枝上に密着して細円紐の如し、是れ普通形なり、他はスギ葉の如き長針状にして長さ5−10ミリを有し、交互対生するか或は三個輪生す、是れ原始型にして多くは下部の枝に出現す【増補版牧野日本植物図鑑】
 イブキの仲間はナシの赤星病を媒介する。【山渓日本の樹木】
 
 針状葉の写真なし。
ハイビャクシン ヒノキ科ビャクシン属 這柏槇
Juniperus chinensis var. procumbens , Juniperus procumbens
 名は地を這うビャクシンの意。
 葉はほとんど針状まれに鱗片状。【保育社原色日本植物図鑑】
 ほとんどが針状葉であるとか、老木ではまれに鱗状葉がでるとかいわれているが、目にする「ハイビャクシン」の樹名板が取り付けられている植栽樹は、鱗状葉が主役で、部分的に針状葉となっているものものばかりである。
 そうした中で、左のものは珍しく針状葉が主体で、一部が鱗状葉であった。
 植栽樹では要注意か。  
   
カイヅカイブキ  ヒノキ科ビャクシン属  貝塚伊吹  写真は前出
Juniperus chinensis cv. pyramidalis
 イブキ(ビャクシン)の変種とする見方と、ミヤマビャクシンの変種とする見方がある。
 強く刈り込むとイブキと同様に先祖返りして針葉をつける枝が出る。
 枝は幹に巻きつくようにねじれてつく。【樹に咲く花】
 カイヅカの語源は不明だが大阪府下に貝塚町あり、同地の寺院にこの樹が多く植えられてあり、直径0.6m内外の大木もある。【樹木大図説】
フイリビャクシン ヒノキ科ビャクシン属  斑入り柏槇
Juniperus chinensis cv.Aibovariegata 
 イブキ(ビャクシン)の変種。葉は両型、鱗葉端は乳白色。【樹木大図説】
 関西育種場植栽のものは基本形が針葉で、一部に鱗片葉が見られるといった状態である。また、針葉と鱗片葉の両方に斑入り葉が見られる。
   
ミヤマビャクシン ヒノキ科ビャクシン属 深山柏槇 常緑低木
Juniperus chinensis var. sargentii
 若いうちは針葉をつけ、成木になると鱗片葉をつける。【樹に咲く花】
 葉は鱗片葉が多く、下枝には針状の葉がまじり、母樹のイブキに似ているが、白っぽい。【山渓日本の樹木】
 盆栽として好まれ、「真柏(しんぱく)」の名で呼ばれる。
   
ネズ(別名 ネズミサシ、古名 ムロ・ムロノキ) ヒノキ科ビャクシン属 杜松、榁
Juniperus rigida
 葉は針状で3輪生し、さわると痛い。【樹に咲く花】
 材は淡褐色、緻密で光沢があり、腐りにくい。和ビャクダンと呼ばれ、床柱、彫刻材に使われる。【樹に咲く花】
 常緑小喬木。葉は全て針状、3片輪生、正面に白色の狭く深い溝あり、白色気孔線を有す、他の二面は緑色。【樹木大図説】
 和名ネズはネズミサシの略【増補版牧野日本植物図鑑】
 
 
       ネズで見られた鱗状葉  
 
   
ハイネズ ヒノキ科ビャクシン属  ネズはネズミサシの略 這杜松
Juniperus conferta
 常緑低木で、葉は針状で3輪生し、さわると痛い。【樹に咲く花】
   
セイヨウネズ(ジュニパー) ヒノキ科ビャクシン属 
Juniperus communis
 
 北アメリカ、ヨーロッパ等原産で日本でも緑化木として利用される。 
 日本のミヤマネズ、ホンドミヤマネズの母種(基本種)。  
 球果は杜松実(としょうじつ)と呼ばれ、ジンを蒸留するときに香り付けに使われる。また、食欲増進、利尿、咳止めなどの薬用にも利用される。【樹に咲く花】
 ジュニパーオイルはシダーオイルとともに古代エジプト人が遺体防腐処理に使った。中世には、果実を薬として使い、今もジンの香り付けに使う。葉はつぶすとリンゴ又はジンの香りがする。【新樹社:樹木】
 
   
エンピツビャクシン ヒノキ科ビャクシン属 
Juniperus virginiana
  ・ 米国東部原産で、かつてはエンピツの主要材料とされた。 
 
 緑化葉樹木として、国内でも販売されている。
エンピツビャクシンの通常の葉  一部で見られた針状葉   
   
 【ヒノキ属】
   
ヒムロ(ヒメムロ) ヒノキ科ヒノキ属  姫榁
Chamaecyparis pisifera var. squarrosa
 サワラの変種。小喬木。葉はサワラの如く鱗状でなく細かい針状(時に先祖返りで鱗葉を混ず)上面(内面)は灰緑色乃至浅緑色、下面は銀緑色、全容は灰白色に見えて美しい。下面に白色気孔線あり、これはサワラの葉の幼型である。【樹木大図説】
 針葉は、ネズと違ってさわっても痛くない。
 和名ヒムロは姫ムロの略称にして姫ムロはムロノキの姫性即ち軟弱なるムロノキの意なり。【増補版牧野日本植物図鑑】
 ヒムロは姫ムロの意でやさしいムロとの意。【保育社原色日本植物図鑑】
ヒムロ  ヒムロで見られた鱗状葉 
     
   
参考:キンヒムロ(園芸種)  参考:ギンヒムロ(園芸種)    
   
 【コノテガシワ属(クロベ属)】
   
ワビャクダン ヒノキ科コノテガシワ属  和白檀
Biota(Thuja,Platycladus)orientalis var. falcata
 コノテガシワの変種で、葉は細く、球果は大型、果鱗の突起は反捲するのが特徴とされる。【樹木大図説】
(注)一般に和ビャクダンはネズのこととされるため、ここでいう種の詳細は不明。
   
<参考2> いろいろなマツ類の針葉数(例) (青色は国内自生種)

 アカマツやクロマツは葉が2枚でセットになった二葉松であるが、世の中にはいろいろある。
 原則からはずれたものをどのように解釈すればいいのかはわからない。
一葉松 アメリカヒトツバマツ Pinus monophylla 米国産
葉は3本のうち2本を失って1本になったものと見なされることから、真の一葉松ではない(朝日百科植物の世界)とされる。
二葉松 クロマツ Pinus thunbergii 黒松 本州、四国、九州に分布
アカマツ Pinus densiflora 赤松 本州北部以南、屋久島に分布
リュウキュウマツ Pinus luchuensis 日本の南西諸島固有
ヨーロッパアカマツ Pinus sylvestris 欧州全域からシベリアに分布
フランス海岸松 Pinus pinaster 南欧地中海沿岸から西アジア、北アフリカに分布
メルクシマツ Pinus merkusii 中国西南部、東南アジアほかに産す
三葉松 ウンナンマツ Pinus yunnanensis 中国産 (中国名:雲南松)
ダイオウショウ Pinus palustris 米国産
テーダマツ Pinus taeda 米国被害海岸地方に主として産す
スラッシュマツ Pinus elliottii  北米東南部原産
ヒマラヤマツ(ナガバマツ) Pinus roxburghii ヒマラヤの産
リギダマツ Pinus rigida 米国産
ラジアータマツ Pinus radiata 米国西海岸の産
シロマツ Pinus bungeana 白松 中国固有種 (中国名:白皮松)
四葉松 アメリカヨツバマツ Pinus parryana , P.quadrifolia , P.cembroides var.Parryana , P.Llaveana メキシコのローワーキャリフォルニア州の乾燥山腹で海岸近いところに生ず、一般にピニョンと総称する。米国にも生ずるという。【樹木大図説】
五葉松 ゴヨウマツ Pinus pentaphylla 北海道、東北地方、本州中部に分布
チョウセイゴヨウ Pinus koraiensis 本州、朝鮮、中国に分布
ハイマツ Pinus pumila 北海道、千島全列島、本州北中部に産す
ヒメコマツ Pinus pentaphylla 本州中部、四国、九州に分布
ストローブマツ Pinus strobus 米国産
ナガミマツ Pinus lambertiana 米国産
注1  アカマツで葉が合着して一葉となったもの(アカヒトハノマツ、アカヒトツバノマツ)や三葉のもの(ミツバアカマツ、サンコノマツ(三鈷松、三股松))の存在が知られている。
注2  クロマツで葉が合着して一葉となったもの(クロヒトハノマツヒトツバクロマツ、ヒトツバノマツ、ヒトツマツ、ヒトハノクロマツ)や三葉のもの(ミツバノマツ)の存在が知られている。
注3  葉の基本数に対して、数が前後するものが混生することは広く見られる。
注4  3,4,5本の葉が混成するものとして、ローソンマツ Pinus lawsonii 等がある。
参考資料: 樹木大図説:上原敬二(有明書房)
世界の針葉樹:杉本順一(昭和62年10月30日、井上書店)
 アカマツの幼木で普通に見られた若い3葉。基本形はもちろんクロマツと同様2葉である。
 
 クロマツの幼木で普通に見られた若い3葉。
 
 テーダマツの幼木の同じ枝で、基本の3枚より多い4枚、5枚の葉が見られた。