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樹の散歩道
  カメムシ軍団の総攻撃に対して如何に対処するか


  カメムシは人が栽培している作物や樹木に取り付けば害虫そのものであり、当然ながら防除対象とされるが、自然の中で群れていなければ、そんなに意識して目を向ける存在ではない。しかし、これから寒い冬を迎えようとする時期、突然、カメムシは穏やかな住宅地を襲い、わずかな隙間を見つけて住宅内に次々を侵入した上、傍若無人に室内を飛び回り、住人を地獄に突き落とす。

 これは、緑豊かな環境≠ノおかれた、決して上質ではない住宅に住んでいた時の経験談である。【2012.1】


 憎きカメムシは、少々寒くなってくると、住宅の玄関、窓枠等の隙間にわんさかと集まってくる。僅かな隙間を見つけて住宅内に執拗に侵入し、カーテンや窓ガラスに点々としがみつき、床を徘徊し、時に人をあざ笑うかのように頭をかすめるように飛来し、中には旋回しているものまでいる。ついには飲んでいるものにも飛び込みかねない状態となる。彼らにとっては、越冬するために都合のよい場所を探しているだけとのことであるが、ヒトにとってはたまらない。

 ティッシュでつまんでも、つまんでも次々と登場する。臭い攻撃を受けたら、もう頭を抱えるしかない。この地獄からの使者には全くうんざりである。 
         おなじみのクサギカメムシ
 
最も地味な外観のカメムシのひとつである。
       舶来風の名前のスコットカメムシ
 
スコットは学名の種小名に由来するもので、命名者の学者の名前とのことであり、これでは面白くも何ともなく、がっかりである。
 
 同じうんざり虫のワラジムシであれば、百円の透明ガムテープ(ポリプロピレン製)で効率的に、直接触ることもなく捕獲できる。最後は念のため折り曲げて脱出不能とし、別にブチュッとやることもなく屑入れにポイすればよい。

 そこで、カメムシにも百円の透明ガムテープを押しつけてみたものの、何と貼り付かない! 背中も腹も同様である!
 

 これは恐るべきことである。まるで、体全体にフッ素樹脂加工が施されているような印象である。百円の透明ガムテープはハイテク装備したカメムシには全く無力であることを思い知ると同時に、地味なクサギカメムシごときがこうした能力を備えていることに、改めて感心することになった。しかし、ここで感心している場合ではない。

 そこで考えた。別の材質のガムテープなら、粘着材の特性が異なる可能性があり、何とかなるかもしれない。そこで、最近使っていなかった紙ガムテープ(クラフトテープ)と布ガムテープを取り出して、早速試してみた。上からそっとテープを当てると、どちらのガムテープでもあっさりとカメムシは貼り付いてしまった。

 侵入したクサギカメムシスコットカメムシのいずれも結果は同じであった。あっけない結果に、少々拍子抜けしてしまった。テープを短く切って、獲物を次々にペタペタ貼り付けて、(決して気持ちよくというわけではないが、)簡単に捕獲できる。これを確認して以来、低価格のクラフトテープは欠かすことのできない常備品となった。
 
 以下の写真は、ガムテープにくっついた少々気の毒な状態のカメムシたちである。折角なので、この機会にカメムシの腹をじっくり観察すると、セミと同じカメムシ目ということで、形態的にはストロー状の口器が共通していることがよくわかった。普段は目にしない腹の模様も写真に撮れば非常にわかりやすく、なぜか新鮮に見えてしまうのは不思議である。 
 
          クサギカメムシの腹             スコットカメムシの腹
  
 
<参考:虫対策いろいろ> 
 
@  虫に触らずに吸引する秘密兵器

 NHKの「まちかど情報室」で紹介していた商品である。昔、コルクを飛ばす銃があったが、これは逆に吸引して虫を捕獲する“短筒型”小道具である。スイスのJANCIC AG (Inc.)の製品で、商品名をFly-GoodBye(フライグッバイ)としている。日本国内での商品名は「虫ハンター」で、価格は2,980円である。
メーカーの製品写真
 これは誘惑を感じるおもしろ製品である。
 間違いなく、最初は家庭内でのいいおもちゃになるであろう。

 欠点は、虫を昇天させることなく、優しく捕獲するに止まることである。(本場での仕様では、脱着可能なカートリッジタイプのシリンダーのひとつとして、内面に粘着剤を塗布した使い捨てのものが用意されている。)

 また、言うまでもなく、標的がいなくなると、無用の長物と化してしまう。

 子供たちは多分これを手に虫を求めて家中を探し回り、最後には「何だ、虫が全然見つかんないよ。つまんない!!」ということになる恐れがある。

 一方、最初の興奮から冷めたおやじは、虫くらいティッシュでつまんでポイすればそれだけのことで、何か余分なものを買ってしまったと後悔するかもしれない。
A  簡易ゴム銃

 30センチの物差しに輪ゴムをかけた簡単ゴム銃は、ハエに対してはきわめて有効で、少し練習すれば、壁の高い位置や天井に止まったハエでも1発で撃墜することが可能である。
B  忌避剤

 これは侵入防止効果があるということであろうが、コストがかかりすぎる。ただし、敵がムカデである場合は、大切な家族を守るためには一定の出費は避けられないであろう。 
   
C   殺虫剤

 住宅内で自分も吸引することになる殺虫剤を噴霧するのは避けたい。 
   
D  掃除機

 また這い出してきそうで、お薦めできない。 
 
<参考:ガムテープで捕獲したワラジムシ> 
 
 ワラジムシも、住宅に侵入する典型的不快虫として有名である。

 どんな種類のガムテープでもペタペタとよくくっつき、まるでガムテープに貼り付けられるために存在しているかのようである。

 現物を見るのはうんざりするが、こうして写真で腹の側を客観的に見ると、透明感のある足が美しい。
 
 
<余談>

 しばらく放置したままとなっていたマグカップに冷えた苦丁茶が入っていて、今度は別のものを飲もうと、カップを傾け飲み干したときのことである。上唇に何か当たる感覚があって、カップを戻してのぞき込むと・・・・ゲゲッ! そこにはなんと! 大柄のクサギカメムシが裏返しになって、モゾモゾともがいていたのである!!

 これはとんでもないことである。クサギカメムシが苦丁茶が大好きなのか否かはどうでもいいことで、腹立たしいことにクサギカメムシのエキスを飲み干してしまったのである!!あぁ〜〜・・・・