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樹の散歩道
   食べられる木の実
 ファッショナブルな輸入ナッツ以外の身近な環境の木の実は,既に老眼になりかけた世代のノスタルジーの世界の存在になってしまった感がある。生活空間の木の実を口にすること自体が日常生活の一部ではなくなったということである。しかし,例えば,街路樹や公園樹としてどこにでもあるマテバシイやスダジイの実でも,何かの機会に子供たちに食べられることを教えて,実際に食べさせると結構喜んだりもする。スナック菓子の前には影が薄いものの,機会をとらえた演出に使いたいものである。




広葉樹


ばら科 ○○イチゴ クサイチゴ,ナワシロイチゴ,クマイチゴ,クロイチゴ,エビガライチゴ,モミジイチゴ,ナガバモミジイチゴ,カジイチゴ,フユイチゴ・・・ キイチゴ属
みずき科 アオキ 「グミ特有の渋みが残るが,甘くておいしい。大量に手に入る実だけに,ジャムや果実酒の材料としては最高の果実。」との記述を目にしたが,未だに実感なし。 アオキ属
あおぎり科 アオギリ 種子はタンパク質や脂肪に富み,炒って食べられる。 アオギリ属
ぐみ科 アキグミ 落葉。果実は直径6〜8ミリの球形で,10〜11月に赤く熟し,やや渋いが食べられる。(生で食べると苦みが口に残るので,果実酒などに利用する。) グミ属
あけび科 アケビ 果肉や厚い果皮は食用とされる。 アケビ属
くわ科 イヌビワ 雌雄異種。秋に雌花のうは直径,1.5〜 1.7センチの果のうとなり,黒く熟したものは塩水で洗えばそのまま食べられるが,少量の砂糖を加えてジャムにすると美味。雄花のうは直径1.5センチで赤くなるが,食べられない イチジク属
すいかずら科 ウグイスカグラ 液果は広楕円形で長さ約1センチ,6月頃赤く熟して食べられる。赤い実は水分が多く甘くておいしい。 ズイカズラ属
つつじ科 ウスノキ 果実は液果。直径7〜8ミリの卵状球形で,5個の稜がある。7〜9月に赤く熟す。 スノキ属
ぶな科 ウバメガシ 生食できるが,炒る方が美味とされる。 コナラ属
ばら科  ウワミズザクラ  果実は核果で赤色から黒色に熟し、甘くて食べられることが広く知られている。その他、サクラ属ではオオシマザクラの果実も甘く、知っている人だけが食べる。  サクラ属 
にれ科 エノキ 果実は直径6〜8ミリの広楕円形又は卵状球形で10月頃赤褐色に熟し食べられる。関西ではエノキの実をヨノミといい子供が採って食べる。北京原人もエノキ属を食べたので,遺蹟に多くの種子が発見されたという。小鳥が食べてその糞と共に分布する。 エノキ属
ぶどう科 エビヅル 果実は黒く熟し食べられる。 ブドウ属
くるみ科 オニグルミ 核果は直径約3センチで,核の中の種子は食べられる。種子は脂肪が多く美味。生食よりはクルミあんなど調理しての利用が一般的。 クルミ属
くわ科 カジノキ 6月頃から結実する実は黄緑色から紅色となり,甘みがあり生食もできる。 コウゾ属
ばら科 カマツカ 果実は食べられるとされるが、あまりに小さい上に種子が邪魔である。リンゴに似た香りと酸味がある。 カマツカ属
すいかずら科 ガマズミ 果実は核果で赤熟し,甘くて食べられる。果実酒によいとされる。 ガマズミ属
がんこうらん科 ガンコウラン 果実は黒紫色に熟し,甘酸っぱくておいしい。 ガンコウラン属
なす科 クコ 果実は長さ1.5〜2.5センチの楕円形の液果で,橙紅色熟し,食べられる。薬膳料理に利用される。薬酒としても有名。 クコ属
ぶな科 クリ 別名シバグリ。堅果は長いとげのある殻斗(イガ)に2〜3個が包まれる。多くの栽培品種があり,果樹としてよく植えられる。 クリ属
つつじ科 クロマメノキ 液果。直径1〜1.5センチの球形又は楕円形。8〜9月に熟すと紫黒色になり,白い粉をかぶる。生食のほかジャム,ジュース,果実酒などにする。 スノキ属
すいかずら科 クロミノウグイスカグラ ヨノミとも。ケヨノミの変種といわれる。 スイカズラ属
すいかずら科 ケヨノミ 北海道ではアイヌの名称に由来するハスカップと呼ばれている。実は長さ1.2〜1.5センチの長楕円形,濃紺で表面に白い粉を吹いている スイカズラ属
くろうめもどき科 ケンポナシ 肉質枝(果柄)は梨のような甘味があり、生食される。果実そのものは食べられない。大木になると一見シナノキに似る。 ケンポナシ
くわ科 コウゾ 集合果は球形で,6月頃赤く熟し,甘みがある。塩水などで洗い,そのまま食べられる。色が美しく,ケーキのデコレーションにも利用できる。 コウゾ属
つつじ科 コケモモ 液果は甘みと酸味があり,味も良い。ジャムや果実酒の材料として古くから人気がある。 スノキ属
もくれん科 コブシ 9から10月頃に結実するが,握りこぶし状の果実で種子は赤くおいしい。なめると辛みがある。 モクレン属
ばら科 ザイフリボク 実は秋に黒紫色に熟し食べられる。 ザイフリボク属
ざくろ科 ザクロ 酸味の強い甘さで美味。グレナデンジュースはこれを使う。元々外来種であるが,普段見かける日本のものは食用とするミザクロより観賞用のハナザクロが主。このため,食用として輸入されるザクロの大きさにはビックリする。 ザクロ属
またたび科 サルナシ シラクチヅル又はコクワとも。果実は淡緑黄色に熟し,甘酸っぱくておいしい。ジャムにもよい。実の断面はキウイそっくり。果実酒には堅い実を使う。なお,キーウィフルーツは中国の長江南部に自生するシナサルナシ(羊桃)の種子が1906年にニュージーランドに導入され,その実生苗から改良されたものという。 マタタビ属
ぶどう科 サンカクヅル 果実は直径約7ミリの球形で,黒く熟し食べられる。実は甘いが,ヤマブドウほどの酸味はない。ジャムなどに良し。 ブドウ属
みずき科 サンシュユ 果実は漿果(しようか),鮮紅色で生食できる。 ミズキ属
つつじ科 シャシャンポ 液果。直径約5ミリの球形で頂部に萼片が宿存する。9〜10月に紫黒色に熟し,白い粉をかぶる。甘酸っぱくて食べられる。クロマメノキに似ているがやや硬い。 スノキ属
トウダイグサ科 シラキ 種子は食用となり,油がとれる。シラキ油といい,塗料,灯用,髪油として用いられた。 シラキ属
つつじ科 シラタマノキ 果実を生食するとサロンパス・トクホンの香りがある。 シラタマノキ属
ぶな科 シリブカガシ 渋みが少なくて,生でも食べられるので,昔は食糧にした。 マテバシイ属
ぶな科 スダジイ 暖地の海岸寄りの平地に多い。そのままでもおいしいが,炒ると香ばしい。 シイノキ属
ばら科 ズミ 酸味があり,ジャムや果実酒への利用が最良。小粒の果実で生食はされない。 リンゴ属
かばのき科 ツノハシバミ 皮をむいて生食もするが,炒って食べるとよい。 ハシバミ属
ぶな科 ツブラジイ 炒って食べると香ばしくておいしい。味はスダジイよりツブラジイの方が優れている。 シイノキ属
とちのき科 トチノキ 種子は光沢のある赤褐色で,灰汁抜きして栃餅などを作る。下呂温泉では昔から栃の実せんべいが有名。 トチノキ属
ぐみ科 ナツグミ 落葉。果実は1.2〜1.7センチの広楕円形で,6月頃赤く熟し食べられる。最近のガキにはあまり受けない。 グミ属
つつじ科 ナツハゼ 液果は径7〜9ミリの球形で,黒紫色に熟し酸味があって食べられる。汁がブチュッと出る感じで美味しいとはいえない。見た目にも食欲をそそる印象はない スノキ属
くろうめもどき科 ナツメ パサパサした口当たりと,わずかな甘みが持ち味とされるが,ガキ共には不人気。砂糖で煮て砂糖漬け,あるいはジャムに。 ナツメ属
ばら科 ナナカマド 生食はしないが,果実酒に利用される。 ナナカマド属
ぐみ科 ナワシログミ 常緑。果実は長さ1.5センチの長楕円形で,翌年の5月頃熟し,食べられる。やや渋みがある。 グミ属
ぶどう科 ノブドウ @色とりどりの実はきれいだが食べられない。ブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して,虫えいをつくることが多く,紫色や碧色などになる。有毒説もあるがはっきりしない。
A生食には適さない。しかし,液果は薬効高く,ホワイトリカーに漬けたものは,風邪の時ののどの痛みや,腫れ物,打ち身,虫さされ,リューマチなどの痛みに効果があるとされる。【長澤】
B果実はまずくてほとんど利用されることがない。斑入り葉のニシキノブドウ var. elegans (Koch.) Bailey は中国では薬用とされることがあり,利尿,解熱に効があるという。【百科】
ノブドウ属
ばら科 ハマナス 果実は直径2〜3センチの扁球形で,8〜9月に赤く熟し食べられる。生でも食べられるが,ジャムにすると最高。果実酒としても利用する。和名は果実をナシにたとえたもので,「ハマナシ」の東北なまりからハマナスになったもの。 バラ属
ゆきのした科 フサスグリ やや酸味があって美味。ジャムに適している。果実酒にもよい。 スグリ属
ぶな科 ブナ 秋に1cmほどの柄で,長さ2cmほどの殻斗果が立ち,殻斗(総苞)は4裂して,2個の堅果を出す。堅果に3本の稜角(そば)があるので,ブナをまたソバグリともいう。堅果は食用あるいは豚などの飼料となる。 ブナ属
つつじ科 ブルーベリー スノキ属数種の総称。日本ではヌマスノキが栽培されている。北アメリカ東部の沼沢地に野生する種から改良されたもの。 スノキ属
またたび科 マタタビ 果実は長さ約3センチの長楕円形で先が尖り,黄熟する。青い果実は非常に辛いが、熟した果実は甘い。青い果実は塩漬けや果実酒にする。ネコは虫えい果を好む。 マタタビ属
あつぶさ科 マツブサ 熟果はヤマブドウに似ているが松脂臭がある。 マツブサ属
ぶな科 マテバシイ やや硬く,生食もできるが一度ゆでるのがよい。焼いたり焙ったりすると芳ばしくておいしい。味はツブラジイやスダジイに比べると落ちる。過食は便秘になるため禁物。 マテバシイ属
にれ科 ムクノキ 果実は直径7〜12ミリの卵状球形で黒く熟す。果実は甘みがあって食べられる。エノキと同じく平場に多い木である。ムクドリがこの果を好んで食べるため,その糞によって広まったとされる。糞鳥木といわれる所以。 ムクノキ属
むくろじ科 ムクロジ @種子は炒って食べる。 A核は油脂を多く含むので食用にもされた。 ムクロジ
ばら科 モミジイチゴ 黄色に熟し,味良し。 キイチゴ属
いらくさ科 ヤナギイチゴ 果実は集合果で7ミリの球形。5〜6月に橙黄色に熟し,食べられる。 ヤナギイチゴ属
ぶな科 ヤマグリ 野生の栗の実は小ぶりだが香りが強く,甘みが濃い。木からたたき落とさないとよい実は得られないとされる。生でかじるより茹でるか焼くかした方がおいしい。 クリ属
くわ科 ヤマグワ 集合果は長さ5〜14ミリの楕円形で,7〜8月に赤色から黒く熟して食べられる。甘くておいしいが,虫もよく来るため塩水で洗う。ジャムや果実酒にも利用できる。栽培グワの実は大きい。 クワ属
ぶどう科 ヤマブドウ 秋に黒紫色に熟す実は酸っぱいが食べられる。果実酒やジュース,ジャムなどに利用される。ヤマブドウワインの名も耳にする。 ブドウ属
みずき科 ヤマボウシ 秋に赤色系に熟する液果は丸形で甘みがある。ぽろぽろ落ちやすい。 ミズキ属
やまもも科 ヤマモモ ・果実は夏に赤く熟す。生食をはじめ,ジャム,ゼリー,果実酒と用途が広い。少し塩をつけると甘みが一層増すが,水洗いすると味がなくなってしまうので洗ってはいけないとされる。大粒の栽培品種も見られる。
・街路樹や公園樹に多用されるが,多くの実を落とすと歩道ブロックなどはぐちゃぐちゃになるためか,雌木はあまり見かけない。
ヤマモモ属
ばら科 ユスラウメ 中国華北地方原産。初夏に赤熟する果実は甘酸っぱく美味。 サクラ属


針葉樹

いちょう科 イチョウ(銀杏) ・外種皮は黄色で悪臭がある。白くて硬い内種皮がいわゆる銀杏(ギンナン)で食用にする。たくさん食べると中毒を起こし,時には死ぬこともあるので注意が必要。
・種子が悪臭を放つため,街路樹としては主として雄木が使われる。神社のイチョウのギンナンは,その臭いにもかかわらず,近所の爺さん,婆さんの楽しみである。
イチョウ属
まき科 イヌマキ 果実は緑色のほぼ球形で9〜10月に熟し,赤紫色の花托(果床)の上につく。花托(果床)は甘い。 マキ属
いちい科 イチイ 種子を覆う仮種皮は赤く熟し,甘くて食べられる。粘りけのある甘さ。中の種子は有毒なので,必ず吐き出すべし。 イチイ属
いちい科 カヤ 花の翌年の秋に結実する。落果はいって食べるとおいしい。
生では苦味が強く食べられない。殻から取りだし,天日で乾燥し,木灰の灰汁に3日から長くて1週間漬けておくことで,アクが抜けて食べやすくなる。灰汁で茹でてもよい。
カヤ属
いちい科 イヌガヤ 果実は長さ2から2.5センチの倒卵状球形で,翌年の秋に褐紫色に熟す。外種皮は肉質で甘味がある。
種子は油脂を多く含むが悪臭が強くその上苦味があって食用にはならないが,油はかつては灯明用に利用された。
イヌガヤ属
いぬがや科 ハイイヌガヤ 果実は楕円形で紅色に熟し,やや甘みがあって食べられる。 イヌガヤ属
まつ科 チョウセンゴヨウ 種子は食用。
松の実のうち,日本で食べられるのは翼を持たないハイマツ,チョウセンゴヨウ,ヤクタネゴヨウ。市販されているのは中国からの輸入品。中国北部にはチョウセンゴヨウの松の実があるが,南部で売られているのはヤクタネゴヨウの仲間のタカネゴヨウで,ヨーロッパで食用にされるのはイタリアカサマツの実といわれる。
マツ属