樹の散歩道 カエデとモミジ
この件に関しては,昔からの話題である。植物の分類上,カエデとモミジの区別はなく,カエデといえば,カエデ科カエデ属の総称とされている。ただし,分野によっては慣用的な呼称があるようである。語源の定説,異説と併せてそのポイントを以下に整理してみる。 |
区分 | カエデ・楓 | モミジ・紅葉 |
小学館 日本国語大辞典 |
かえるで(蛙手)の変化した語。 カエデ科カエデ属植物の総称。(葉の形がカエルの手に似ていることによる。) 【注】中国でカエデ科の植物には「槭」の字が用いられている。 |
紅葉,黄葉,[木偏+色] 動詞「もみず」(紅葉)の連用形の名詞化。古くは「もみち」 @秋に草木葉が赤や黄に変わること。紅葉すること。また,その葉をいう。 A楓(カエデ),または楓の葉をいう。・・・・ |
三省堂 大辞林 | 「かえるで」(蛙手)の転。カエデ科カエデ属の植物の総称。 | ・動詞「もみず」の連用形から。秋の終わり頃,木の葉が赤や黄などに変わること。また,色づいた葉。 ・もみず,もみづ(紅葉)づ:四段動詞「もみつ」が中古に上二段化し語尾が濁音化したもの。 |
(村上) | カエデはカエルデ(蛙の手)がつまった呼び名。 | モミジは紅葉を揉んで色を出す揉出(もみず)から来ている(紅絹をモミというのと同じ)というのがほぼ定説である。 |
盆栽(群 境介) | カエデ科カエデ属のうち,切れ込みが3裂で浅いものをいう。(トウカエデなど) | カエデ科カエデ属のうち,切れ込みが5裂以上で深いものをいう。(イロハモミジ,ヤマモミジなど) |
園芸(岩槻) | イタヤカエデなどのように切れ込みの浅いもの。 | 葉が掌状に裂けるもの。 |
園芸(菱山) | イタヤカエデのように切れ込むもの | 葉が深く切れ込むもの |
紅葉を楽しむための園芸品種群を特にモミジと呼ぶ。 | ||
単にモミジというとイロハモミジを指す。 | ||
楓のなかで特に紅葉の美しい種類を「モミジ」と呼ぶという説がある。 | ||
植物分類上 | カエデとモミジの区別はなく,カエデといえば,カエデ科カエデ属の総称。 |
イロハモミジ (大分県三重町) |