トップページへ   樹の散歩道目次へ

樹の散歩道
 
  栗物語4 さあ 栗を食べよう!! その2
             


 今度は栗納豆つくりである。  
 栗納豆は準備作業が少々厄介である。久し振りに「栗くり坊主」に登場を願った。この栗剥きは随分前に購入したものであるが、現在でも同じものが販売されている。改めてよく見れば SUWADA とある。なんと、高品質のネイルニッパー(ニッパー型の爪切り)で不動の地位を築いたメーカーのスワダ(SUWADA 諏訪田製作所)である。高級爪切り栗剥きという恐るべき落差のある製品を扱っていること自体が実に興味深い。【2008.10】


 栗はイガがまだ柔らかい時点で、その多くにクリ虫の卵が産み付けられているという。したがって、叩き落とした栗なら大丈夫であると思ったら大間違いである。したがって、手に入ったら、さっさと調理するのがいい。

 栗はムシたちにとってもこの上ないごちそうであるに違いない。
栽培種(中生種)の果実 (岡山県)
 栗剥きは根気仕事である。身近におばあちゃんがいれば、是非とも依存したい仕事である。床にべったり座って作業すると、まもなく腰が痛くなってくる。日本の伝統的作業スタイルである座業はやはり腰によくない。したがって、作業はテーブルに向かい椅子に腰掛けたスタイルがお奨めである。

   「栗くり坊主」

 原理は、ギザギザの下刃を鬼皮の表面に引っかけながら上の刃でズルズルと剥くという仕組みである。もはや日本の季節的刃物として定着した。

 刃部はネジ止めの替え刃方式で、大抵替え刃も並べて販売されている。新しいタイプの製品もあって、それは替え刃方式ではないがステンレス刃となって、メンテについては楽になっている。

株式会社 諏訪田製作所
 新潟県三条市大字高安寺1332
第1ラウンド 

 さて、栗納豆の作り方はネット検索にお世話になった。いろいろなパターンが見られたが、大きな流れは以下の方法によった。
 A 剥き栗を薄い塩水に一晩つけてあく抜きをする。
 B 水、砂糖、みりん(又はみりんもどき)でことこと弱火で煮詰める。
 C 一晩寝かして翌日もう一回火を通す。
 D 糖蜜を切って、グラニュー糖をまぶして冷蔵庫で水分を飛ばす。
 結果は左の写真のとおりで、仕上がりはあまりよい状態ではなかった。そもそも、栗の淡い上品な黄色い色が失われてしまって、変に濃くなってしまった。やはりクチナシの着色パワーに頼らないときれいな色にならないのであろうか。あるいは砂糖が濃すぎたのであろうか。しかも、小割れしてしまう。これでは母さんに自慢できない。
 問題は、黄色味の喪失、実の小割れ、糖蜜の浸透のムラから生じた硬さのムラの発生である。

:小割れしたものはみっともないので写真の対象外とした。以下同じ。
第2ラウンド

 再挑戦した結果が下の写真である。今度は砂糖で煮る前にクエン酸を入れた水で茹でる行程を加えた。火が通ったことを確認してから水洗いした上で砂糖、みりんでコトコト弱火で煮詰めた。今度は不織布の落としぶたを使用した。翌日もう一度火を通してさました上で糖蜜を切ってグラニュー糖をまぶし、冷蔵庫で水分を飛ばした。クチナシは手元にないためお世話にはなっていない。
 なお、クエン酸は変色を防ぎ、えぐみを減らす効果があるという。ついでに、仕上がり時にも淡い酸味が残って心地よい。
 
 結果は左の写真のとおりで、落としぶたを使用しても実の小割れを防ぐことができなかった。そもそも沸騰させない方がよいのかも知れない。あるいは割れが生じやすい品種なのであろうか。
 それにしても、色が美しくない!
第3ラウンド
 今度は鍋で煮立てることなく、電子レンジのみで加熱してみた。仕上がった栗納豆はやや粉っぽいのと、くせのある匂いが少々生じて、あまりお奨めではない。眼目とした割れの防止効果も今ひとつであった。
 結論的には、とりあえずは第2ラウンドの製品で十分であろうと感じた。水分を飛ばすには冷蔵庫を利用したが、日数がかかるのは何とももどかしい。また、乾燥しすぎると硬くなって食感が悪くなることもわかった。市販されているような状態に近づけるのはなかなか難しい。しかし、これでしばらくは持ちそうである。食べ過ぎに注意しよう!!